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オレンジの眼鏡で睡眠の質はどこまで改善するか? を調べた研究の話



何度か書いてるとおり、わたしはブルーライト対策のために日常的にオレンジのサングラスを愛用してるわけです。


これは、その名のとおりオレンジのレンズを使った眼鏡のことでして、電子機器や蛍光灯から出るブルーライトをブロックしてくれるアイテムであります。オレンジのレンズはとにかくブルーライトをカットする働きが強いんで、睡眠の質を上げてくれるのではなかろうか、と。


実際のところ、個人的にもオレンジのサングラスを使いだしてからよく眠れるようになった気がするわけですが、まだまだ歴史が浅いアイテムなので実証研究が少ないのが難点。過去には「オレンジの眼鏡で脳の機能がアップ!」みたいなデータも出てたものの、果たしてどれぐらいの効果があるのかは謎なところが多いんですよね。


ってことで新しい研究(R)では、「オレンジの眼鏡で睡眠の質はどこまで改善するか?」ってとこをガッツリ調べてくれてて有用でした。

これはラドバウド大学などの研究で、15人の運動好きが対象。少なくとも週に1時間のエクササイズをしていて、現時点で特に睡眠の問題を抱えてない人だけを選んだとのこと。完全に健康体な人でもオレンジの眼鏡で効果が得られるのかを調べてくれたわけですね。


実験デザインはクロスオーバーになってまして、

  1. オレンジの眼鏡をつけて夜を過ごす
  2. 特にブルーライト対策をしないで夜を過ごす

って2パターンの状態を、全員がそれぞれ7日ずつ行ってます(ウォッシュアウト期間は5日)。


ちなみに、この実験デザインだとプラシーボの可能性を除去できないので、参加者の人たちには「これはオレンジの眼鏡で日中の気分や集中力に変化が出るのかを調べるテストですよー」と伝えたらしい。これでも完全にプラシーボを取り除けるとは思えないものの、いたしかたないところですかね。


でもって、すべての参加者にはアクチグラフをつけてもらい、夜間の活動や睡眠サイクルをチェック。本人にもアンケートを行って、主観的なグッスリ感の変化も調べたそうな。


そこでどんな変化が確認されたかと言いますと、

  • オレンジ眼鏡をつけても就寝時間や起床時間が早くなるわけではない
  • ただし、オレンジ眼鏡をつけた場合、入眠までの時間が7分ほど早くなり(p = .005)、睡眠の質が0.6ポイントほど改善し(p = .027)、朝の集中力が改善していた (p = .049)

だったそうです。この結果をどう解釈するかってのは難しいところですけど、個人的には「まぁまぁやってみたらいいんじゃない?」ぐらいの変化だと思います。オレンジ眼鏡で爆睡できるわけじゃなさそうだけど、2009年のデータ(R)でも良い結果は出てますし、なんらかの改善は得られるだろう、という。


ただ、さっきも言ったとおり、このデザインだとプラシーボの可能性を排除できないし、はっきりしたコントロール群があるわけでもないのが難点ではあります。正確な結論を出すには、もうちょい時間がかかりそうっすね。


そんなわけでいろいろ書いてきましたが、先行研究と合わせて考えてみれば、

  • オレンジ眼鏡は試す価値ありだけど、ほかのテクニックの方が大事っぽい

ぐらいが現在の結論じゃないでしょうか。「ほかのテクニック」ってのは、「睡眠を改善するぞ!と誓ったときに使っていたチェックリスト」に並べたようなやつのことです。オレンジ眼鏡は睡眠改善の基本を押さえた上で導入しよう!って話ですね。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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