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今週末の小ネタ:ヨガで発想力向上、ガーデニングで免疫改善、軽い運動でポジティブに

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

      

 

 

ヨガで良いアイデアが出やすくなるかもねー

20分間のハタヨガで創造性が上がる!」みたいなデータ(R)が出ておりました。ハタヨガといえば「脳の働きが良くなるのでは?」みたいな話もありまして、いろんな可能性が指摘されてるんですよね。さすが古代インドの秘術。

 

 

実験は92人のヨガビギナーが対象で、全体を2つのグループに分けてます。

 

  1. 20分間のハタヨガのクラスに参加

  2. ケーススタディで創造的な解決を考える20分のクラスに参加

 

でもって、全員に「日用品(レンガやはさみ)の斬新な使い方を考えてくださいねー」や「あるなしクイズを解いてくださいねー」って指示を出して、それぞれの創造性をチェックしたら、こんな違いが出ました。

 

  • ハタヨガのクラスに参加したグループは、発想の柔軟性と独創性の向上が見られた
  • ケーススタディグループは、柔軟性の低下がみられた
  • どちらのグループも収束思考に変化はなかった(収束思考は、与えられた問題に対する最善策を絞り込む能力)

 

まー、この実験だけだと「ヨガで体を動かしたから創造性が上がったの? それとも、ヨガでメンタルが落ち着いたから創造性が上がったの?」ってのは判断できないんですけど、研究チームの見解としては、

 

先行研究では、瞑想をベースとしたヨガが創造的思考を改善しないことが示唆されている。そのため、身体的な要素が重要である可能性が高い。

 

ってことらしい。瞑想で頭が休まったから創造性が上がるのではなく、体を軽く動かす作業が大事なのではないか?って意見ですね。ここらへんはまだ謎が多いですが、アイデア出しをするときは軽くストレッチなどしてみてもいいかもっすな。

 

 

 

ガーデニングが免疫を改善する?

最高の体調」でも「自然だ!とにかく自然と触れあうのだ!」みたいなことを言ってますが、新しい研究(R)は「ガーデニングで免疫が整うぞ!」と主張されております。

 

 

これはシンガポールで暮らす61歳から77歳までの成人59人を対象にしてまして、「園芸療法(HT)は免疫の働きを改善するか?」ってのがテーマになってます。園芸療法ってのは庭仕事を通して健康維持を狙う手法で、すでにいくつかの病院で高齢者のQOLアップに取り入れられてたりします。

 

 

実験では参加者の半分に園芸療法を指示して、6ヶ月で合計15時間のセッションに参加。屋内での園芸や屋外でガーデニングをしつつ、定期的に血液サンプルを採取したそうな。

 

 

すると、園芸療法の参加者は血液の状態が良い方向に変わってまして、

 

  • T細胞の働きが改善!(感染症や癌などの発症にかかわる免疫細胞ですな)
  • インターロイキン6(IL-6)のレベルが低下!(炎症のマーカーですな)

 

ってな違いが見られたらしい。いずれも免疫系の働きを示す重要な指標っすね。

 

 

まぁこの研究はサンプル数が少ないですし、ほとんどの参加者が女性なんで、もうちょい追試を見ないと効果のほどはよくわからんとこではあります。が、とりあえずガーデニングにいそしんでみるのも良さそうだなーとか思いますね。

 

 

 

たった1回の軽い運動でも人間の意識はポジティブに向かう

このブログでは「有酸素運動はメンタルにいい!」とクドいぐらい言ってますけど、最新研究(R)では「たった1回の軽い運動でも良い影響が出る!」って結論になってました。

 

 

こちらは66名の大学生が対象で、そのうち抑うつ症状を持つ人が20人含まれていたとのこと。みんなにどんな指示を出したかというと、まずは全体を2つに分けまして、

 

  1. エアロバイクで30分間の有酸素運動を行う
  2. 30分間だけ座り続ける

 

って指示を出したそうな。さらに、その後で「みんなにいろんな画像を見てもらい、脳波がどんな反応をするか調べる」って作業を行ったらしい。例えば「赤ちゃんの画像」とか「ケガをしてる人の画像」みたいな画像を見せて、それぞれの反応をチェックしたわけです。

 

 

で、結果はこんな感じになりました。

 

  • 運動をしたグループは気分が良くなり、ポジティブな画像への反応が良くなった!

 

そもそもなんでこういう実験をしたかと言いますと、「メンタルが落ち込んでる人は、ネガティブな情報に目が向かいがち」って傾向があるからです。たとえば、抑うつ気味な人たちは、怒ってる人の顔とか戦争の光景といった情報へスピーディに意識が向きやすくて、そのせいでさらに気分が落ち込む悪循環にハマりやすいんですよ。

 

 

ところがこの実験では、たった1回の運動でも、意識がポジティブな刺激に向かいやすくなったわけで、まことにすばらしいお話ですなー。

 

 

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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