ヨガで頭が良くなるのでは?という割と説得力のあるレビューが出てた件
ヨガはメンタルにいい!って話は昔からあって、「よくわからんけど恐らくヨガは脳にいいんじゃないかなー」みたいな報告もチラホラと出てたりするわけです。有酸素運動が脳機能を向上させるように、ヨガでも脳の働きが上がるのではないか?と言われてるんですな。
といっても、実際にヨガで頭が良くなるのかどうかは未知数だったんですけど、近ごろ「ヨガと脳の健康」に関する先行研究を調べたデータ(R)が出てましたんでメモっときます。
これはBrain Plasticity誌に発表されたレビューで、「ヨガをやったら脳の働きは良くなるの?」って疑問について調べた11件の研究を精査しております。ざっくりと各研究の内訳をまとめておきますと、
- 5件の研究では、ヨガの経験がない人を対象に、1週間に1回以上のヨガを10〜24週間にわたって行い、介入の開始時と終了時の脳の健康状態を比較している
- その他の研究では、ヨガを定期的に実践している人とそうでない人の脳の違いを測定している
- 各研究では、MRI、fMRI、単一光子放射型コンピュータ断層撮影などの脳画像技術を使っている
- 全ての研究でハタヨガが使われており、ポーズの維持、瞑想、呼吸訓練などが採用されている
みたいになってます。ハタヨガってのはポーズの維持と呼吸法を中心にしたヨガで、一般的なスタジオでも教えられてるケースが多いはず。運動の負荷が低いんで、初心者に優しいと言われております。
さて、それではどんな傾向が認められたのかと言いますと、
これら11件の研究により、一貫していくつかの脳領域が変化することが特定された。それの変化は、エクササイズが脳に与える研究で見られるものと、驚くほど違わない。
だったそうで、有酸素運動で脳が発達するのと同じような現象がヨガにも起きるんだ、と。おもしろいもんですねぇ。
具体的にヨガで脳がどのように変わるのかと言いますと、
- 海馬の体積が増加する=海馬は記憶処理に関与しており、年齢とともに小さくなることが知られ、認知症やアルツハイマー病で最初に影響を受けるエリアでもある
- 前頭前皮質もデカくなり機能も上がる=前頭前野は額のすぐ後ろにある脳の領域で、計画、意思決定、マルチタスクなどに不可欠
- 帯状皮質のサイズも大きくなる=帯状皮質は辺縁系の一部であり、情動の調節、学習、記憶に重要な役割を果たす
- デフォルト・モード・ネットワークの性能もアップする=デフォルトモードネットワークは、自己について考えること、計画すること、記憶することに関係している)
みたいになってます。全体的に脳の機能が上がっているうえに、ヨガを続けている人は認知テストや感情コントロールのパフォーマンスも改善していることがわかってまして、どうやら現実的なメリットも大きいみたい。これはヨガ好きにはうれしいニュースっすね。
ただ、ここで謎なのが「なんでヨガが運動と同じぐらい脳に良いのか?」ってとこです。ヨガは有酸素運動ではないので、ランニングやHIITほど脳の血流アップが起きるはずもなく、そこまで頭の機能が改善する理由はわりと謎なんですよねぇ。
この問題については現状でどんな感じかと言いますと、
- 基本的にヨガで頭が良くなるメカニズムを特定できるような証拠はない
- おそらく、ヨガによって感情のコントロールが上手くなり、そのおかげで頭が良くなったのかもしれない
とのこと。まだまだ謎は多いものの、エクササイズが脳機能の働きをプラスにするのに対して、ヨガは脳機能を下げる要因を取り除いてくれてるのではないか?って感じですね。実際のところ、ストレスで脳にダメージがあるって話は多いですし、ヨガでコルチゾールが下がるってデータも多いんで、可能性としてはありえるかなーとは思うわけです。
まぁ、まだ全体的には初歩的な研究が多いですし、過去には「ヨガで頭は良くならないかも?」みたいな見解も出てたりするんで即断はしづらいところですが、とりあえずメンタル改善の技法として続けてみるのもアリじゃないかと愚考する次第です。