「1日1万歩」とは言うけれど、実はもっと少ない歩数でも健康になれるんじゃないの?説
歩くのが健康にいい!ってのは多くのデータが示すとこですが、まだよくわからんのは、
- 具体的に1日何歩ぐらい歩くのがいいの?
- どれぐらいの強さで歩くのがいいの?早歩き?普通のスピードでもOK?
みたいなポイントです。このブロフでは、2017年に「いちおう現在のデータを見てるとこんな感じじゃない?」ってとこをまとめたりしてますが、あくまで暫定的なものだとお考えください。ちなみに私は1日3万歩ぐらい歩いてますけど、これはあくまで趣味と実験を兼ねてますので、みなさまにオススメするものではありません。
で、新しい研究(R)も「歩数と健康」に関するもので、まず結論から言っちゃいますと、
- 高齢の女性なら1日4,400歩でもかなりいいんじゃない?
って内容になってます。世間的には「健康のためには1日8,000歩!いや、1万歩!」みたいによく言われますんで、だいぶ敷居が低くなってていいんじゃないでしょうか。
これはハーバードなどの研究で、どんなデザインだったかと言いますと、
- 16,741人の高齢女性(平均年齢72歳)に活動量計を着けてもらう
- 7日間の活動量計のデータを集めて全員がどれぐらい歩いているかを把握
- 4.3年の追跡調査を行い、歩数と死亡原因の関係性を調べる
みたいになってまして、調査中に504人が亡くなったとのこと。参加者の歩数データを四分位数にすると、だいたい1日ごとに以下のようになってます。
- 2700歩
- 4400歩
- 5900歩
- 8400歩
でもって、いろんな外部要因を調整したところ、以下のような傾向が確認されました。
- 1日4400歩を超えてるグループは、1日2700歩のグループに比べて死亡リスクが低かった
- 死亡リスクの低下は1日7500歩まで確認され、そこでレベルオフした(つまり、それ以上は歩いてもメリットが確認されなかった)
- 歩行強度は健康メリットとあんま関係なさそう
- 1日の歩数が1000歩増えるごとに全死亡率が15%下がる
ということで、「4400歩でも結構イケるんじゃないの?」というナイスな結果だったんですよね。これはだいぶ敷居が下がりましたなぁ。
ただし、当たり前ですが、これは「歩けば死亡リスクが下がる」ってことを証明した研究ではありませんし、
- 活動量の記録が、たった4〜7日間のデータをもとにしている(同じ活動量が数年にわたって続くかはわからない)
- 16,741人のうち504人で全死因死亡率を割り出している(このサンプル数で傾向をつかむのはちょいこころもとない)
- 先行研究では、「1日に7500歩より多く動いた方がいい」って結論を出したものも少なくない
みたいな難点もありまして、やっぱ判断がムズいよなーとも思っております。
まぁしかしこのデータを見て思うのは、
- 運動ぎらいで高齢の親を持つ人が、「まずは1日4500歩ぐらいを目指してみたら!」というアドバイスしてみるのはあり(そこからジワジワ歩数を上げるように誘導する)
- 若い人はやっぱ1日1万歩以上はあるても損はないんじゃないか?
といったところですね。実際、この研究チームも、
高齢の女性においては、わずかな歩数であっても死亡率が下がる傾向が確認された。今回のデータが、「1日1万歩」の目標が無理だと思われる個人の励みとなることを願っている。
と言ってまして、とりあえずスモールステップを踏み出すための動機づけに使うのが良いのではないかと思っております。どうぞよしなに。