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今週末の小ネタ:日々の”気にされ”が幸福度を決める、人間のやる気が最も高まるコミュニケーションとは?

Summary


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。   

  

 

日々の”気にされ”で人間の幸福度は上がる

ヒトの幸福は日々の”気にされ”が左右する!」みたいなデータ(R)がおもしろかったんでメモっときます。

 

 

これは212人の男女を対象にした研究で、全員にスマートフォンを渡したうえで、こんな指示を出しております。

 

  • 自分が「誰かから気にかけられた!」と感じた瞬間と、幸福感の変化を記録してください

 

記録のタイミングは1日ランダムに6回ずつで、4週間にわたって日々の幸福感と”気にされ度”をチェックしたそうな。ここでいう"気にされ”っては非常に些細な出来事を意味してまして、

 

  • 誰かに体調を気にされる
  • いい感じにほめられる
  • 心からのお礼を言われる

 

みたいな感じで、日々の暮らしにおけるちょっとした良いコミュニケーションぐらいにお考えいただくといいかもしれません。

 

 

さて、それで4週間後にどんな傾向が確認されたかといいますと、

 

  • 日々の暮らしで”気にされ”が増えるごとに、人生への楽観的な態度と目的意識が増えた
  • というか、”気にされ”の記録を行った人は、それだけでも日々の幸福度が増した

 

だったそうです。つまり、人間は日々の小さな”気にされ”に幸福度を左右されてるし、その”気にされ”に意識を向けるとさらにウェルビーイングが加速するんじゃないか?ということっすな。実際のところ、ポジティブ心理学の世界でもよく「感謝日記をつけるといいよー」みたいなことはよく言われますし、「”気にされ”の記録」も似たようなもんですもんね。

 

 

ってことで、日々の暮らしでコツコツと幸福度をあげたいためには、「日常の”気にされ”に注意を向ける!」ってのを意識しとくといいかもしれませんねー。

 

 

人間はどんなコミュニケーションに最もやる気が出るの?問題

「ヒトは社会的な動物だ!」とはよく言われることで、他者とのコミュニケーションが私たちのモチベーションを大きく左右するのは間違いないところ。では、そんな社会的な動機の中でも、もっとも人間のやる気を高めるものはなんなの?ってとこを調べたユニークな研究(R)が出ておりました。

 

 

こちらは27か国から集めた約7000人超を対象にした研究で、日本人もふくまれているのがうれしいところ。研究ではまず全員に対して、「以下の基本的な社会的モチベーションのなかで一番大事なのはなんですか?」と尋ねたんだそうな。

 

  • 自己防衛(危険な人から身を守ること)
  • 病気を避けること
  • 所属(なんらかのグループまたはコミュニティの一部であること)
  • 愛着(友達と時間を過ごすこと)
  • 除け者への不安(仲間から受け入れられ、その集団の一員になれること)
  • ステータス(他の人に自分のステータスを尊重してもらうこと)
  • 求婚(新しい恋人や性交渉相手を見つけること)
  • 配偶者の保持(恋人や配偶者と長期間の交際を行うこと)
  • 肉親(親や兄弟姉妹などの親族と一緒に過ごしたり、世話をしたりすること)
  • 養育(子供の世話をすること)

 

でもって、すべての回答をまとめたところ、こんな結果になりました。

 

  • どの国でも一貫して「肉親」と「配偶者の保持」がワンツーフィニッシュを決めていた!

 

というわけで、西洋や東洋を問わず世界的に「肉親」と「配偶者の保持」でモチベーションが上がる人が多かったらしい。

 

 

一方で、「求婚」の重要性はもっとも下だったうえに、つねに新たな恋愛を探しているような人は一貫して人生の満足度が低かったようで、これはちょっと意外な結果かもしれません(まぁたんに「自分は求婚こそが最高のモチベーションです!」と答えるのが恥ずかしかった可能性もありますが……)。

 

 

研究チームいわく、

 

 

「人間の魅力」に関して研究するのは手軽で魅力的だが、多くの人々の現実的な興味は、実際にはもっと健全な価値観に集中している。すなわち、家族の価値だ。

 

誰もが家族や愛する人のことを気にかけているわりに、これを人間の行動のモチベーターとして調べた研究は少ない。

 

複数のパートナーと性的な関係を結ぶことが幸せだと思う人は少なくないだろうが、実際には、すでにあなたの側にいる人の面倒を見ることが一番の幸せへの道なのだ。

 

 

とのことで、まことに道徳的な結論になっておりました。まぁ進化的に見れば、確かにいたずらに生殖の確率を増やすよりは、すでに築いた家族を保護するほうが低コストな気がしますもんね。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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