カレー粉の成分「クルクミン」がメンタルの改善に効くぞ!というメタ分析の話
鬱ってのは単なる心の病気ではない、体の炎症が原因なのだ!って考え方はわりとメジャーになってきて、「「うつ」は炎症で起きる」なんてタイトルの本まで出てたりします。体内に炎症が起きたせいで脳がうまく働かなくなり、おかげで気分がやたら沈んじゃうってことですね。
そうなりますと、「じゃあ体内の炎症に効くものは鬱にも効くんじゃないの?」って発想が出るのは当然でして、このブログでも過去に「サフランのメンタル改善効果が凄そう!」みたいなデータを取り上げたことがありました。実はサフランって意外なほど抗炎症作用があるんで、やっぱメンタルにもよさげなんですよ。
以上の話をふまえたうえで、新たに出てきたのは「クルクミンと鬱病」のデータ(R)であります。ご存じのとおり、クルクミンはウコンにふくまれる有効成分の一種で、昔からとにかく抗酸化性能が高いことで知られてきた物質のひとつ。事実、過去にも「クルクミンでメンタルが改善するかも?」みたいな報告はありまして、わりと有望視されてきた成分であります。
で、今回のデータはさら過去のクルクミン研究から質が高めな9件をピックアップし、531人分のデータをあつかったメタ分析になっております。クルクミンとメンタルについて調べたデータのなかでは、そこそこ質が高めでよろしいのではないでしょうか。
ここで扱われている実験の概要をまとめておくと、以下の感じになります。
- 実験の期間は4週間〜12週間のあいだ
- 参加者の年齢は33歳〜63歳
- クルクミンの使用量は1日150mg〜1500mg
- 鬱の症状を調べるのに使ったのは、HAM-D、MADRS、BDI、IDS-SR30、HADSなどさまざま
1日の用量は結構バラバラだし、メンタルの指標も多種多様なんで、そこらへんがちょっと難点ですかねー。まぁメンタルの指標については8割ぐらいの項目が被ってるんで、そこまでしんぱいしんあくてもいいのかもですが。
また、全体の参加者数は少なめながら、実験の質は中程度から高いレベルに入ってまして、全体的にはそんな悪くないです。ちなみに出版バイアスについてはチェックしてないので、そこはやや残念ポイントすかね。
さて、分析の結果、以下のような傾向が確認されました。
- クルクミンは鬱の症状を統計的に有意に減らす(Hedge’s g = -0.75)
- 不安の症状も有意に減らす (g = -2.62)
- 実験ごとの結果の差は少ない。外れ値もない
- メンタルに効くクルクミンの量、使用期間、鬱病の症状度などはよくわからない
- クルクミンを使った人の77%になんらかの改善が見られた
ということで、個人的には「えっ、こんなに効果あるの?」という感想を持ちました。正直、こんだけの数値が出る成分ってなかなかない気がするんですが。
まー、もちろんメタ分析としてはサンプル数が少ないし、全体的に実験期間も短いし、出版バイアスの存在も否定できないしで、「みんなで鬱対策のためにクルクミンを飲もうぜ!」とは申しません。なのですが、鬱の症状ってのがしばしば炎症やHPA軸の不調、腸内フローラの乱れなどと相関することを考えると、クルクミンがメンタルに効く可能性は十分にあるよなーとも感じるんすよね。
以上の話をふまえまして、個人的にはやっぱクルクミンは使って見てもいいなーとか思いました。ただ周知のとおりクルクミンサプリは正しいものを選ぶのが難しいんで、そこらへんは厳選していただければと考える次第ですが。