長生きとメンタルに効く「歩数」のガイドライン
何歩歩けばウォーキングのメリットは得られるのか?
「パレオダイエットの教科書」では、「なんだかんだで運動はウォーキング最強説」を唱えております。なんせウォーキングは体に負担をかけずに健康になれるし、さらには、
みたいなメリットもあったりして、いいことだらけなんですよ。もちろん他のエクササイズでも同じ効果はあるものの、手軽さって意味ではやはりウォーキングがベストかな、と。
で、本のなかでオススメしたのは、だいたい8000〜1万歩ぐらい。多くのデータを見てると、まぁこれぐらいなら無理なく達成できて効果も大きいかなーって感じなんですよね(1)。
ただ、本には「歩数とカラダ」の関係について詳しいところは書いてなかったんで、ここではそのへんをまとめておきます。
5,000歩レベル「最低ライン」
150人を調べたパロアルト病院の2011年研究(2)などを見ると、だいたい1日の歩数が5,000歩を下まわったあたりから、太ももの骨がスッカスカになっていく模様(とくに女性の場合)。最低でも1日5,000歩以上は確保しないとヤバいかなーと思う次第。
健康な骨を保つには、やはり1日10,000は欲しい!って結論になってますが、体重が平均よりも軽い人の場合は19,000歩ぐらいが目安になるとのこと。万全の態勢を整えるためには、5,000歩レベルじゃダメってことですな。
また、2016年の実験(3)では、5,000歩を下まわると睡眠の質が有意に低下するそうなんで、やはりここらが最低ラインってことになりそう。
7,500歩レベル「体型の維持と睡眠改善」
上で軽く取り上げた2016年論文(3)によれば、だいたい毎日の歩数が7,500を超えたあたりから、
- スリムな体型の維持
- 睡眠の質の改善
といった効果が現れてくるっぽい。これは国立再生可能エネルギー研究所の実験で、278人に歩数計をつけてもらって日常の歩数をチェックしたんですね。
すると、1日7,500歩を超えたあたりから肥満率がガクンと減り、睡眠の改善効果も確認されたとのこと。現時点で歩数が7,500に届いてない方は、まずこれぐらいを目指すと生活の質が上がりそうであります。
10,000歩レベル「メンタル改善&長生き」
そこまで精度の高いデータはまだないものの、タンマサート大学の2016年論文(4)などを見ますと、1万歩を超えたあたりからさらに肥満率が下がって行き、メンタルにも良い影響が出てくる感じ。1万歩を歩くようにした参加者は、不安・怒り・疲労といったネガティブな要素が格段に改善したんだそうな。
同時に心疾患のリスクも低下していく傾向(5)がありまして、アンチエイジングにもかなり効きそうなのがこのレベル。インスリン抵抗性にも改善が見られますんで、とりあえずこれだけ歩いてれば、心も体もかなり最適化されると考えてよさげ。
12,500歩レベル「さらなるアンチエイジング効果」
ここからはほとんど研究例がないんですけど、2012年に東京医科大が行った研究(6)は、12,500歩レベルまでカバーしていて参考になります。これは2,619人の男女を対象にした観察研究で、これによると、
- 男性の場合は、12,500歩まで右肩上がりで心疾患リスクが下がる
- 女性の場合はイマイチはっきりしないが、高齢の場合は12,500歩を歩く意味があるかも
って感じ。微妙な男女差はあるものの、基本的には12,500歩まで行ってもメリットは上昇を続けると考えていいっぽい。余裕のある方は、ぜひこのラインを目指してくだされば。
15,000歩レベル「完全体」
さらに研究例は減るものの2017年のワーウィック大論文(7)は、15,000歩レベルについて調べてくれております。
これは111人の男女を対象に、毎日の歩数と血液検査の結果をくらべたもの。その結果はと言いますと、
- 毎日15,000歩を歩く人はメタボの兆候がゼロ!
って感じだったらしい。サンプルが少ない観察研究なので信頼度は低いものの、モチベーションアップの材料としてお使いください。
まとめ
というわけで、1日の歩数ごとの効果をまとめてみました。いまんとこ横断研究がメインなので精度は低いものの、だいたいの目安にしていただければ幸いです。
ちなみに、私はいま1日3万歩ずつ歩いてますけど、これが正解なのかはよくわかっておりません。上記のデータをみると、そこまでやんなくてもいいような気もしてきますが(笑)