フルーツの果糖がメタボの原因に!はどこまで本当なのか?
果糖がメタボの原因?
昔から「果糖はヤバい!」って考え方があるわけです。果糖はフルーツに多くふくまれる糖の一種で、普通のブドウ糖よりも中性脂肪を増やして、メタボや糖尿病につながるというんですな。
というのも、果糖は大半が肝臓で処理されまして、ブドウ糖とは体内での扱われ方がまったく違うんですよ。そのため、カリフォルニア大学のロバート・ラスティグ教授なんかは、果糖はアルコールと同じ!って説(1)を唱えてたり、メタボの原因は果糖!とする論文(2)を発表してたりします。怖いですねぇ。
この説は日本でも割りとメジャーで、糖質制限ダイエットの世界などではフルーツを避けるケースが多め。果糖は危険!と主張するサイトも多かったりします。
短期と長期で果糖のダメージをくらべた
ってところで本題。近ごろ「正味なところ、果糖ってどうなのよ?」について調べたメタ分析が2本(1,2)出まして、かなり参考になる内容になっております。
これは、どちらもキャンベラ大学による調査で、
- 果糖を摂った直後にカラダがどう反応するか?
- 定期的に果糖を摂ってしばらくしてからカラダはどう反応するか?(14〜70日ぐらい)
について調べたもの。短期と長期の2パターンで、果糖がどれぐらいの影響をあたえるのかを調べたわけっすね。具体的には、
- 短期=81本のデータを精査(936人)
- 長期=14本のデータを精査(277人)
ってボリュームになっていて、研究の質はなかなか高めであります。ちなみに、どちらのメタ分析でも1回の実験で使われた糖質量は60〜70gぐらい。
逆に果糖はメタボへのメリットが大きい
さて、その結果がどうだったかと申しますと、
- 短期
- 果糖は食後の血糖値が42mg/dLほど下がる(ブドウ糖は30mg/dL)
- ブドウ糖を果糖に置き換えると、インスリンの分泌量も下がる。特に糖尿病の人ほどその効果は大きい
- 中性脂肪の変化は、果糖もブドウ糖も変わらなかった
- 長期
- 果糖を増やしたほうが、空腹時血糖値は平均で2.5 mg/dLほど低くなった。その効果は、糖尿病の患者ほど大きい。
- また、果糖のほうがHbA1cの数値を平均0.3%ほど下げた
- 果糖を増やしたほうが平均で1.4kgの体重減少が見られた
- 中性脂肪やコレステロールには目立った差がなかった
といったところです。ざっくり言えば、果糖のほうが中性脂肪を増やすってことはなかったし、逆に果糖は糖代謝に良い影響をあたえるんだ、と。中性脂肪についてはまだ限定的な結論ですが、なかなかおもしろいもんですな。
まとめ
簡単にまとめると、
- ブドウ糖より果糖が中性脂肪を増やすってことはなかった
- 長期的には果糖のほうが血糖値や体重の改善にはよさげ
ってことでして、「あとは好みの問題じゃないの?」という気分になってまいりました。
そもそも、これまでの「果糖はヤバい!」説は、マウスに大量の果糖をあたえた実験から出てきたものなんで、どうも常識的な範囲で消費してれば特に怖がる理由はないっぽい。
もちろん、ソフトドリンクで大量の果糖を摂るのはNGでしょうが、多くのデータでも「フルーツは食べたほうが痩せる!」って結果が出てますし、普通に果物を食べてるぶんには何の心配もない感じ。あくまで問題はカロリーオーバーなんでしょうな。
ということで、当ブログでは普通に果糖推奨(というかフルーツ推奨)。普通にフルーツを丸ごと食べてる限りは、メリットのほうが格段に多いかと存じます。