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人生の幸福度を左右する4つの「ユーモアスタイル」

Laugh
 
幸せになりたきゃユーモアスタイルを変えよ!」って論文(1)がおもしろかったんでメモ。




個人の「笑い」は4つのスタイルにわかれる
ユーモアスタイルってのは2003年に出てきた考え方(2)で、個人の「笑い」の表現方法を4つのパターンに分類したものです。具体的には、

  • 親和的ユーモア:周囲との共感を上げて、他者との結びつきを強めるために使われる笑い。「あるあるネタ」とかが典型例かも。誰も傷つけないことが重要なので、たとえば「顔芸」や「ダジャレ」なんかもこの範疇。

  • 自己高揚的ユーモア:ストレスフルな状況を笑い飛ばしたり、何気ない日常におもしろポイントを見出すような笑い。自分の失敗を笑い飛ばしたり、嫌な作業をゲーム形式にしてみたりとか、そういうことっすね。最近の映画だと「オデッセイ」の主人公とか、自己高揚的ユーモアの固まりでしたな。

  • 攻撃的ユーモア:他人をけなしたり、からかったり、皮肉ったりするタイプの笑い。差別ネタなんかもこの範疇。昔の「ねこぢる」とか「サウスパーク」的なやつですかね(どっちも好きだけど)。
  • 自己卑下的ユーモア:いわゆる「自虐ネタ」的な笑い。マルクス兄弟の「私に入会を勧めるようなクラブには入りたくない」みたいなやつが典型例でしょうか。自らを笑い物にする点では「自己高揚的ユーモア」と近いんだけど、こっちは他人の承認を得るために自分を下にさげちゃうとこが大きな違い。


ユーモアスタイルと性格の違い
この4分類は過去に何度も検証されていて、個人の性格や幸福度と大きな相関が認められてたりします (3)。軽く並べると、

  • 親和的ユーモア:友だち多め。自尊心や幸福度もかなり高めで、感情的に安定しており、社会にもよくなじむ。鬱傾向にはなりにくく、ビッグファイブでいうと外向性と開放性が高め。

  • 自己高揚的ユーモア:鬱や不安傾向はかなり少なめ。創造性が高くてストレスにも強い。自信、楽観性、幸福度はいずれも高め。ビッグファイブでは外向性と開放性が高く、神経症傾向は低め。

  • 攻撃的ユーモア:ビッグファイブの神経症傾向がかなり高め。いっぽうで調和性と誠実性がかなり低く、不安を隠すために攻撃的な冗談に走る傾向がみてとれる。
  • 自己卑下的ユーモア:こちらも神経症傾向がかなり高く、調和性と誠実性は低め。自信や幸福度は低く、鬱や不安症にもなりやすい。

といったところ。「親和的」「自己高揚的」はヒトの幸福度をあげ、「攻撃的」「自己卑下的」は自信や不安を増してしまうわけですな。そりゃそうでしょうね。


モテて幸せになりたきゃ「自己高揚的ユーモア」
特に「自己高揚的ユーモア」は幸福度との相関が高くて、このあたりは「人生の幸福は『遊び心』の量で決まる」にもつながる話。さらにいえば、「自己高揚的」はプレイフルネスと似た概念なんで、異性からモテやすいタイプのユーモアだとも申せましょう。


というと、「笑いのスタイルなんて変えられないんじゃない?」と思いがちですが、最初に取り上げた論文では「自己高揚的ユーモアは心がけ次第で身につく!」って結論なんですな。


「自己高揚的ユーモア」は作れる!
これはウェスタン・キャロライナ大学の研究で、3つの実験を通して「ユーモアスタイルのメンタル効果」をチェックしたもの。具体的には、128人の男女に以下のような2パターンの指示書を読んでもらったそうな。

▼自己高揚的ユーモア

「これから、あなたには難しくてイライラするような数学のテストを受けてもらいます。しかし、想像してみてください。あなたはテスト中もユーモラスな視点を維持することができます。嫌な数学テストのなかにもバカげたポイントを見つけ、それを笑い飛ばします」


▼自己卑下的ユーモア

「これから、あなたには難しくてイライラするような数学のテストを受けてもらいます。しかし、想像してみてください。あなたはテスト中に、自分の数学の能力の低さをネタにしたり、問題が解けなくてがっくりした自分の姿を笑い飛ばします」


そのうえで実際に数学テストをしてもらったところ、

  • 自己高揚的ユーモアのほうが格段に成績が向上
  • さらに、自尊心がアップして不安も減った

って違いがハッキリ出たんですね。「自分の弱さを笑い飛ばす」というと良いことのような気もしますが、自己卑下的ユーモアになった場合はメンタルに悪影響が出ちゃうわけですね。


まとめ
まぁ体に染みついたユーモアスタイルは変えにくいかもですが、「意識するだけでもなんとかなる」って結果が出たのは心強いっすね。手順としては、

  1. 自分のユーモアスタイルを4つから認識
  2. 「自己卑下的」「攻撃的」が多い場合は「自己高揚的」「親和的」の導入を考える
  3. ストレスフルな状況の前に「おもしろポイントを探すぞ!」と心がける

って感じになりましょうか。ストレス対策のひとつとして、手持ちの武器に加えとくとよさげですねー。


ちなみに、「自分のユーモアスタイルがわからない!」って方もいるかもですけど、これについては簡単なテストがありますんで、また別のエントリでご紹介いたします。どうぞよしなに。
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。