このブログを検索




今週末の小ネタ:グチをこぼすとストレスが悪化する友人、うまくいくカップルの秘密、睡眠不足の脳とカフェイン

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

友人にグチをこぼすと、逆に不満がブーストしちゃうパターンもある

なにか嫌なことがあった時に、誰かに愚痴をこぼして発散する人は多いでしょうが、それって逆効果なんじゃないの?って話(R)が出ておりました。

 

 

これはアリゾナ州立大学の研究で、

 

  1. 170人のバス運転手を集める
  2. みんなに「上司への不満をどのように友人にグチっていますか?」と尋ねる
  3. 参加者が友人にグチをぶつけた後で、気分が改善したか悪化したかを調べる

 

みたいな調査をしたところ、結果はこんな感じになりました。

 

  • 「それはひどいですね」「君の言うとおりですよ」のように、受け身でグチを聞いてくれる同僚に不満をこぼすと、その後で上司に対する怒りがアップし、仕事をサボるようになった

 

  • 研究者が上司を追跡調査したところ、上司の側も「受け身の同僚にグチをこぼした社員は、仕事の手を抜いている」ってところに気づいていた

 

ってことで、こちらの話をただ聞いてくれる相手にグチをこぼすと、その後で仕事の不満や怒りがブーストしちゃうんだ、と。まさに逆効果ですね。

 

 

しかし、一方でグチを聞いてくれる相手によっては、仕事の不満の解消効果も認められてまして、

 

  • 「上司にも何か理由があったのかもしれない」「そこまで悪いことを言われたわけではない」「ここから学べることもある」といったように、問題を「リアプレイザル」してくれるような同僚に不満をぶつけた参加者は、ネガティブな感情がブーストせず、仕事のパフォーマンスも低下しなかった

 

だったそうです。昔から「怒りの対策にはリアプレイザルが効く!」と言われてきましたが、これをやってくれる友人に話すのがベストなわけですね。

 

 

研究者いわく、

 

私たちが動揺したとき、自分の気持ちを聞いてくれる人に「あなたは本当に不当な扱いを受けたんだね」と言ってもらいたくなるのが自然な傾向です。しかし、ネガティブな状況を克服したいのであれば、そのようなフィードバックはベストではありません。

 

ってことで、友人に不満をぶちまけたい時は、リアプレイザルをしてくれるような相手を選んだ方が良さそうっすねー。

 

 

 

うまくいくカップルに必要なのは”パワーバランス"

カップルがうまくいくかどうかはパワーバランスが重要だ!」って話(R)が出ておりました。パワーバランスってのは、収入や社会的な地位が同じってことではなく、

 

  • 生活のなかで同じぐらいの意思決定権があり、同じぐらい発言権があると感じられている状態

 

ってことでして、このバランスが同じレベルなカップルほど、関係の質が高いんだそうな。まぁそんな感じはしますね。

 

 

これはMLUなどの研究で、異性愛のカップル181組が対象。回答者の年齢は18〜71歳で、相手との関係は平均して約8年だったとのことです。

 

 

調査ではみんなに何を尋ねたのかと言いますと、

 

  1. パートナーをどれぐらいほめているか、関係性へのコミットメントはどれぐらいか、抑圧感や束縛感、性的満足度などをチェックする

  2. 上記の答えからみんなのパワーバランスを計算する

 

って感じになってます。すると、

 

  • 幸せなカップルほど個人のパワーを平等に感じている傾向があった

  • 収入や地位などの客観的なパワーの格差は、関係の質にマイナスの影響を与えない

 

ということで、カップルのどちらかが「私には発言権がない…」とか感じた場合は、関係の質は低くなる傾向があるわけっすね。あくまでカップルの関係の質は主観的なパワーバランスに左右され、どちらかの稼ぎや教育レベルが高いとか低いといった客観的なパワーバランスには影響されないらしい。

 

 

ってことで、いまの相手と長期的な関係を築きたいのであれば、「ふたりのパワーバランスは均等か?」ってあたりを自問してみると良いかもしれません。

 

 

 

睡眠不足の脳はカフェインじゃリカバーできない?

カフェインは単純作業の効率しか上げない!」って話 (R)が出ておりました。カフェインは脳を覚醒してくれるものの、仕事のパフォーマンスはそこまであげてくれないかもしれないみたいなんですよ。

 

 

こちらはミシガン州立大学の調査で、どんな実験デザインだったのかと言いますと、

 

  1. 参加者に一晩だけ徹夜してもらう
  2. 寝不足でフラッフラの参加者に、2種類の認知テストを指示する

 

みたいになってます。徹夜で脳機能が下がりまくった状態で、果たしてカフェインはどこまで効いてくれるものなのか、と。

 

 

結果はこんな感じになりました。

 

  • たんに数を数えるような単純作業の場合は、カフェインでパフォーマンスが上がった
  • いったん打ち切った作業にまた取り組むような、継続力の必要な作業の場合は、カフェインでパフォーマンスが上がらなかった

 

どもカフェインってのは、主観的に「脳が目覚めた!」って感覚は与えてくれるものの、難しい作業のパフォーマンスを高めるほどの効果はないかもしれないらしい。

 

 

まぁ、これはあくまで「寝不足の脳にカフェインが効くか」ってのを調べたものなので、ちゃんと睡眠をとった後でカフェインを使った場合の効果についてはまた別物だとお考えください。とりあえず、睡眠不足をカフェインでリカバーするのは無理っぽいなーってことで。

 

 


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM