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筋トレ前にスマホを見るとパフォーマンスが落ちるぞ!という話


 

メンタルが疲れてると筋トレもはかどらない!」 ってのはよく知られた事実であります。当たり前ですけど、脳と筋肉の働きはつながってるんで、心が疲れてたらトレーニングもうまくできなくなっちゃうんですよね。

 

 

これは過去の研究(R)でもチラホラ確認されていて、「トレーニングの30分前に認知テストをやると、スクワットのパフォーマンスが15.8%低下する!」って報告されてたりします。ただし、ここらへんの研究では、ストロープ課題みたいに現実世界では実行しないテストを使ってるんで、本当にどこまで筋トレに悪影響があるのかはわからないんですよね。

 

 

ってことで新しい研究(R)では、「筋トレ前にスマホを使うとヤバいのか?」を調べてくれてて有用でありました。具体的には、トレーニング前にSNSを使うと、筋トレのボリュームとモチベーションは変わるのか?をチェックしてくれたんですよ。これは現実的ですね〜。

 

 

参加者は一般的な男女16名で、年齢はだいたい25歳前後。研究のデザインは単盲検のクロスオーバーで、

 

  1. 30分間のドキュメンタリー番組(NASAのドキュメンタリーだったらしい)を視聴した後、15RMでスクワットのテストを3セット行う(RMの意味がわからない方はこちらをどうぞ)

  2. スマホでSNSを30分ほど視聴した後、15RMでスクワットのテストを3セット行う

 

って2つのパターンで、筋トレの成果に違いが出るかをチェックしております。筋トレ前にスマホを見ると見ないでは、果たして効果に差があるのかって問題ですね。

 

 

その後、みんなの精神的な疲れと筋トレボリュームなどの変化を調べたところ、

 

  • 筋トレ前に、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターなどを使った場合は、ほとんどの人の精神的な疲労(RPE)が59.9%増大し、スクワットの回数が29%減少した!

 

ということで、やはりトレーニング前にSNSを使うと、筋トレのボリュームと主観的なツラさはガッツリとダメージを受けるらしい。こうして考えると、私のように「仕事の疲労を筋トレで癒やす!」みたいなノリでやってる人間は、本来のパフォーマンスを発揮できてないのかもですな。

 

 

まぁ精神疲労と筋トレに関する他の研究を見てみると、

 

  • 筋トレ前の作業でパフォーマンスが下がる!(R,R)
  • 筋トレ前に作業をしてもパフォーマンスは下がらない!(R,R)

 

っていう真逆の報告をしてるケースも多いので、今回の結果ですべてが決まったわけではございません。そこらへんはご注意いただきたいところですが、このような食い違いが起きる原因としましては、

 

  • おそらく、仕事とか勉強みたいに脳への負荷が高いものは筋トレに悪影響なんだろうなー
  • 長い時間にわたって頭を使うと血中のアデノシン(疲労物質)が増えるから、作業時間も大事なんだろうなー

 

ぐらいに考えております。まだまだ最終的な結論は出せないものの、現時点では「筋トレで最大のパフォーマンスを出したいなら直前のSNSや仕事は避けよ!」ってのが無難でしょうね。

 

 

では、具体的に、作業とどれぐらい時間をあければいいのかと申しますと、

 

  • だいたいトレーニングの2時間前くらい前には脳が疲れる作業は終えておきたい!

 

ぐらいの感じです。もちろん作業の負荷と長さによって最適な時間は変わりますけど、おおまかな基準としてはこれぐらい。トレーニングの2時間前までには仕事を終え、それ以降はSNSを見たりせずリラックスして暮らすのが良さげっすね。

 

 

が、そうは言っても、「そんなトレーニングのために2時間の余裕なんて作れないよ!」って方は多いでしょうから(私もそうです)、

 

  • いつも「100kgのベンチプレスを10回3セット」やってる人は、仕事で脳が疲れた後のトレーニングは「100kgのベンチプレスを5回6セット」に変える

 

みたいに対処するのもありかもしれません(最終的なボリュームは同じになるので)。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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