メンタルが強くて幸福度が高い人の特徴「感情の多様性」をアップさせるにはどうすりゃいいの?
「無(最高の状態)」のなかで、わたくしこんなことを書いております。
「感情の粒度」は心理学の概念で、あいまいな感情をくわしい言葉で表現できるスキルのことです。このスキルが高い人と低い人の違いはこうなります。
- 感情の粒度が低い:なにか嫌なことがあった際に、すべてを「むかつく」や「気持ち悪い」など1〜2つのボキャブラリーだけで表現する
- 感情の粒度が高い:気分が悪いことに対して、「癇にさわる」「憤る」「いらつく」といった複数の表現を思いつき、その中から一番しっくりくる言葉を選ぶことができる
ささいなスキルのように思えるかもしれませんが、ここ数年の研究で「感情の粒度」がメンタルの安定に大きく関わることがわかってきました。「感情の粒度」が高い人たちを調べたジョージ・メイソン大学などのチームは、彼らは総じてセルフコントロールがうまく、アルコールやドラッグに依存しにくいうえに病気にもかかりにくいと報告しています。
ってことで、ざっくり言えば「いろんな感情を味わえる人はメンタルが強いよー」みたいな話でして、たんに快不快で世の中を判断してるとなかなか精神は改善しづらいっすよねーという話でもあります。
で、新しいデータ(R)では「いろんな感情を味わうにはどうすりゃいいの?」って問題を調べてまして、いろいろと参考になりました。
これはサウスフロリダ大学などのチームによる研究で、まず著者はこんなことを言っておられます。
幅広い感情を経験することは、日常生活をよりバランスよく、微妙に評価することを意味し、日々の暮らしに適応的であり、健康に有益である。
例えば、ネガティブな感情であっても、様々な場面で激しい怒りを感じるということは、その人が狭い範囲で状況を評価していることを意味するが、そこに怒り、悲しみ、恥の感情が混在しているということは、より広い範囲でニュアンスに富んだ評価をしていることを意味する。
内容は「感情の粒度」にかなり近くて、要するにすべての状況に「ムカつく!」だけで対応してるとうまく問題は解決できないけど、そこで「これは悲しみと呆れが混ざった怒りだ」みたいに多様な感情を味わえる人は、そのぶんだけものごとに対処しやすいんですよーってことです(さらにくわしいメカニズムなどについては「無(最高の状態)」をご参照ください)。
でもって、これがどんな研究だったかと言いますと、アメリカの全国調査から合計2,791人のデータを使い、全員から、
- 8日間のあいだにどんな活動をしたか?
- 8日間でどのような感情を体験したか?
って質問の答えを集めてます。そのうえで、いろんな感情を体験してる人の特徴を割り出したところ、
- いろんな感情を体験している人は、とにかくいろんなバリエーションの活動をしていた
- 活動のバリエーションが多ければ多いほど感情の多様性は高くなり、幸福度も高くなる
って傾向があったそうです。余暇や仕事でいろんな新しい活動をしている人ほど複数の感情を経験しており、具体的には、
- 喜び
- 元気
- 幸せ
- 穏やかで平和
- 満足
- 充実感
- 情熱
- 思いやる
- 誇り
- 活気
- 親密さ
- 所属感
- 無価値
- 神経質
- 落ち着きがない
- そわそわ感
- 絶望
- 怖い
- 怯え
- イライラ
- 恥ずかしい
- 動揺
- 孤独
- 怒り
- 不満
といった感覚を報告したんだそうな。とにかく、複数の活動をする人はポジティブやネガティブを問わずに多様な感情を経験し、それが最終的な幸せや人生の満足感につながってるわけですね。やっぱ感情の多様性は大事っすねぇ……。
ってことで、この研究から得られる教訓としては、
- いろいろと新しい活動に参加して感情の多様性を増やそうぜ!
- 新しい活動に参加すると、必ず不満や失望、怒りなどのネガティブな感情が生まれるけど、それは人生の一部だから受け入れようぜ!
みたいな感じになるでしょうね。私の場合、近ごろはひたすら自宅で文章を書いてるだけなので、行動の多様性は減ってるかもなぁ……。