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血管も脳もめちゃくちゃ若い「チマネ族」のくわしい食事内容を調べてみたよーという話


 

不老長寿メソッド」では、巻頭でチマネ族の若さについて言及しております。チマネ族はボリビアのジャングルに住む狩猟採集民で、過去の研究では、「血管年齢が世界一健康なんじゃないか?」と言われてるんですよ。どうも彼らは70代になっても心疾患リスクが異常に低いらしいんですな。

 

 

というと、「おい!チマネ族の平均寿命は短いだろ!」みたいなツッコミが入るケースがよくあるんですけど、これは近代医療へのアクセスがないせいで感染症の死亡率や乳幼児死亡率が高いことによるものですんでご注意ください。うまいこと感染症などを生き抜いた場合には、チマネ族の健康レベルが先進国より高いのは間違いないっぽいんですよね。

 

 

では、チマネ族はいったいなぜそこまで健康なのか?何を食べて生きてるのか?ってことで、カリフォルニア大学サンタバーバラ校の人類学者チームが、ナイスな調査をしてくれておりました(R)。具体的には、チマネ族の食生活を、わりと近所で暮らしてるモセテン族の食生活と比較したそうで、合計で1,299人のチマネ族と229人のモセテン族に話を聞き、両者の食生活の詳細なプロフィールをまとめたらしい。

 

 

ちなみに、モセテン族ってのは、チマネ族と同じ言語を話すもののライフスタイルは近代化されてて、市場から農産物を購入し、お菓子やソフトドリンクなんかも普通に摂取するそうな。確かに比較対象としては最適かもですね。

 

 

ということで、世界一血管が若い部族がどんな食事をしてるのかを、ざっとまとめてみましょうー。

 

 

  • チマネ族の普段の食事は、基本的に炭水化物とタンパク質が多く脂肪が少ない

 

  • チマネ族は1日あたり2,433〜2,738キロカロリーを食べ、その内訳は炭水化物が64%、タンパク質が21%、脂質が15%

 

  • カロリーの約3分の2は、オオバコなどに含まれる複合炭水化物から摂取。カロリーの約16%は40種類以上の魚から取り、さらに6%は野生の狩猟動物から摂取。市場で購入する食品は全体の8%

 

  • チマネ族の食生活には多様性がないが、ビタミンやミネラルの欠乏はほとんどない。逆にカリウム、マグネシウム、セレンなどは北米の一般的な食事よりもはるかに多く摂取しており、これらの栄養素が心血管の健康を促進しているのかも

 

  • チマネ族は、モセテン族や米国人に比べて、食物繊維を多く含む食品を約2倍食べている

 

 

ってことで、チマネ族の方々は精製されてない炭水化物をガンガン食べ、そのおかげで食物繊維の摂取量がとても多く、さらに魚から大量のタンパク質を摂取してるわけっすね。もちろん具体的な食材は違うものの、大枠では地中海式ダイエットにも似てまして、やっぱ健康的な食事は似てくるんだなーってとこですね。

 

 

ただ、この研究を見てると「さすがのチマネ族も生活が近代化しつつある!」みたいな話になってまして、今回の調査では、ここ5年間でチマネ族のカロリーと炭水化物の総摂取量が急増し、ラード、油、砂糖、塩などを大量に摂取するようになった人もいるんだとか。研究チームいわく、

 

この地域では道路が整備され、モーターボートの普及で川の交通も発達している。カロリーを安く、手間をかけずに手に入れることができるのだから、誰だってそうするだろう。

 

とのことで、アマゾンの奥地にもグローバリゼーションの波が!みたいな話になってました。まー、これは仕方ないっすよね。

 

 

もちろん、食事だけが健康の秘密じゃないでしょうが(運動もあるだろうし)、 この研究であきらかになったチマネ族の食事スタイルについては今後も参考にしていきたいところです。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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