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ミシガン大学流「どんな本でも内容をガッツリと身につけるための13のポイント」前編


 

こんなご質問をいただきました。

 

鈴木さんはいろいろな本を読んで、よく覚えてらっしゃいますが、どのようにして読書をしてらっしゃるのでしょうか。前に速読は不可能とおっしゃていたと思いますが、なにか他に方法はあるのでしょうか?

 

ということで、本をどういうふうに読んでいるのか、と。この問題については、

 

 

って話を書いたことがありまして、「本をじっくり読むには?」と聞かれたら前者をおすすめしますし、「本をたくさん読むには?」と聞かれたら後者の答えを返すことが多い感じですね。

 

ただ、基本的な読書の方法については、「なんとなく決まった型はあるけどうまく言語化できんなー」とか思ってたんですよ。読書の方法は学生時代からいろいろと変えながらやってきたんで、人様に言えるほど落とし込めてなかったんですよ。

 

 

が、そんな折に、ミシガン大学のポール・N・エドワーズ先生が「本を読む方法バージョン5」というナイスなPDFを公開してくれていて、「これは私がやってることに近い!」とか思ったりしました(R)。もちろん、これはあくまでノンフィクション限定の読み方なので、小説についてはまた別の話になりますが、文献を当たる際の基本がシンプルにまとめられていて、かなり使えるんじゃないでしょうか(小説でも使えるとこはあるけど)。

 

 

ってことで、エドワーズ先生による読書ポイントを見てみましょう(他人のふんどしですいません)。

 

 

  • 読書ポイント1. 細部にこだわらず全体把握につとめる:学ぶための読書では、細部まで理解することよりも、議論の流れ、仮説、証拠、結論などを大まかに把握することの方がはるかに重要。どんなに注意深く読んでも、細部はほとんど覚えていないので気にするだけムダ。読書で専念すべきは、要点を記録して覚えることであり、それさえできていれば、詳細を思い出す必要が生じたときに再び資料を探すことができる。

 

 

  • 読書ポイント2. 時間を決める:事前に「読む時間は6時間!」とあらかじめ決めていれば、読書のペース配分をしやすくなる。時間制限を守らないと、ひたすらダラダラ読むだけになるので、事前に「このタイミングで読むのを止める!」と定めておくのがよい。

 

 

  • 読書ポイント3. 目的と仮説を持つ:なんも考えずに読み出すと漫然と読むだけに終わるので、事前にその本についての仮説を立てて良い。具体的には、読み始める前に「なぜこの本を読むのか?」「この本をどのように読むのか?」ぐらいは考えておきたいところ。でもって、読み始めたらすぐに、以下のことはチェックして一言で言えるようにしておきたい。

    • 著者のメインの主張は何か? この本の結論は何か?

    • 本の主張を支える証拠は何か?

    • これらの主張、証拠、結論の弱点は何か?自分では、その議論、証拠、結論についてどう思うか?

    • 著者はこれらの弱点にどのように対応しているか(何もしてない時は、どうすれば弱点を改善できるかを自分で考えてみる)?

 

 

 

  • 読書ポイント4. 3回読む:「これは大事だ!」と思った本は、3回読む方が良い。その際には、読む回数ごとに、以下のように目標の違いを意識しておく。


    • 1回目の読書(概要と発見):まずは全体の5-10パーセントの時間を使い、1回目はだだーっと非常に速く読みます。1回目の読書における目標は、その本をの概要を把握することで、著者の目的と結論についておおまかなイメージをつかめればOK。この時には、重要そうな見出し、文章、フレーズなどがあったら、適当にマーキングしておく(私は付箋を使ってますが、ペンで印を付けても良い)。


    • 2回目の読書(詳細と理解):続いて、全体の70-80%の時間を使い、2回目の読書を行う。この時の目標は「理解」で、1回目の読書で理解したキーポイントをじっくり読んで、読書ポイント3で立てた目的と仮説を検証し、著者の主張の根拠を評価していく。

      特に、各章の始まりと終わり、1回目にマークした箇所には特に注意。また、1回目の読書で自分が抱いた疑問があれば、必ず解消するようにする。


    • 3回目の読書(回想と記録):最後に、総時間の10-20%を使い、3回目の読書を行う。この時の目標は、本の最も重要な要素を記憶にとどめることにある。3回目の読書では、議論の証拠、結論、パンチラインについて簡単にメモを取る。これは、テキストのマークアップとは異なり、本の内容をできるだけ自分の言葉で再表現するのが最大のポイントになる(つまり、ただの抜き書きでは意味がない)。

      といっても、そこまで肩ひじをはる必要はないので、「自分の言葉で簡潔にまとめるだけで十分な効果が得られるんだなー」ぐらいにとらえておくぐらいで良い。重要なことを記憶できるように、必要最小限の内容を自分の言葉で書くと良い。目安としては、本文100ページに対して1~3ページのメモを作るが目安で、それ以上だと多すぎる場合がある。

 

 

などと書いてたら、そこそこの文字数になりましたので、今回はこんなところで終了。エドワード先生の読書ポイントは13までありまして、残りの9個はまた次回にまわすことにします。ではまたー。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。