難しい本の理解度を格段に上げる「メタ認知的読書術」
「難しい本を読む方法!」って論文(1) がおもしろかったんでメモ。
著者はチャールストン大の哲学科の教授で、「本はメタ認知を使いながら読もう!」ってのがメインの主張になっております。「哲学書の読み方」に特化した内容ではありますが、あらゆる読書に使えそうな感じ。
ちなみに「そもそもメタ認知ってなに?」という場合は、「メタ認知を鍛える50の質問」をどうぞ。ざっくり言えば「自分が何を考えているのか」を把握する能力のことです。
メタ認知的読書術
で、具体的な方法は以下のようになっております。
▼ステップ1.プレ読書
まずは本の下調べから。本のタイトル、チャプターやセクションの見出し、参考文献、著者の履歴などをチェックし、「そもそも何の本なのか?」ってところを明確にしていきます。各チャプターの最初と最後のパラグラフだけを読んでみるのもアリ。
また「プレ読書」の段階では、以下の質問を自分にしてみるとよさげ。
- このタイトルからどんな内容が想像できるだろう?この著者はどんな内容を書きそうだろう?本の出版日は、内容に影響を与えているだろうか?
- チャプターや節の見出しからわかることはなんだろうか?
- 参考文献からわかることはなんだろうか?
▼ステップ2.速読
続いては速読。本を開いたら、一回で最後までサッと呼んでみます。このステップの目標は内容の基礎をつかむことなんで、以下のポイントでメタ認知を発動していくとよさげ。
- 結論やテーマに見えるものに、片っ端からマークをつけていく。すべてが終わったら、そのなかからさらに最も重要そうなものをチェック。
- 知らない単語をピックアップして、余白に意味を書き込んでおく。
- 重要だと思ったセクションや文章に適当な目印をつけてフラグを立て、なぜ自分が重要だと感じたのかをメモっておく。自分が理解できなかった箇所にもフラグを立てる。結論にいたるまでのステップには、番号をふっておく。それぞれの文章では、前提と結論を意識しておくと吉。
- 速読中は、定期的に「もっとも重要なポイントが見つかったか?」「議論の結論がわかったか?」「結論にいたるまでの道筋にフラグを立てたか?」を自分に問いかける。
▼ステップ3.再読
続いては再読。この段階では、「自分の言葉で友人に本の結論を説明できる」レベルを目指します。その際に何を意識するかというと、
- 「著者の主張を本当に理解できているか?速読で理解できなかった点をチェックしたか」と自分に質問。
- 「すべての概念や用語の意味は確認できたか?」と自分に質問。
- 「点は線にできたか?(一貫した論理が自分のなかに構築デキたか?)」「著者の結論を自分の言葉で解説できるか?」と自分に質問。
- 自分が立てたフラグの修正、または追加。
- 著者の主張を自分の言葉で言い換えてノートに書く。
- 本の論理展開をダイヤグラムやチャートにまとめてみる。
- 「それゆえに」「つまり」「したがって」などの言葉に注意して結論を探す。
- 「なぜなら」「のように」「なので」などの言葉に注意して前提を探す。
- ここまでのステップで行ったことを総合して「まとめ」を書く。再び本を読まなくてよいレベルの細かさで書ければOK。
▼ステップ4.評価のための再々読
最後に、ステップ3で作った「まとめ」を使って、本の内容を点検していく段階。ここでは本の内容を吸収するのが目的ではなく、著者とディベートしていくようなイメージで進めていきます。
その際のポイントは、
- 自分の作ったノート、まとめ、チャートなどに誤りがないかをチェック
- さらに新しい発見があった場合はメモしていく
- 以下の質問を自分にしてみる
- 「この本の結論は正しいか?」
- 「正しくない結論を正しくするにはどうすればいいか?」
- 「本の議論に説得力を感じるか?その理由は?」
- 「著者の主張に反する事例はないか?」
- 「著者が誤ったと思う部分を正確に指摘できるか?著者が誤った箇所をちゃんと説明デキるか?」
- 「著者の間違いを指摘した場合、著者はどんな反応をすると思うか?」
- 「逆に自分が間違っていた点はどこか?」
- 「自分と著者の考えに食い違いはないか?もしあるなら、自分と著者のどちらが間違っているのか?」
- 「本を読んだことで自分のどんな考えが変化したか?」
まとめ
ってことで、メタ認知を使った読書法でした。いやー、これだけやれば、確かに理解は深まるでしょうね。
ただし、すべての本でこの手法を使うと時間がいくらあっても足りませんので、「これぞ!」と思った一冊に絞って使うのがよさげ。私の場合は「呼吸による癒し」とか「認知行動療法実践ガイド」とかですかねー。
ちなみに、もうちょいマイルドな読書法としては、ハーバードのショーン・エイカーによる「難しいけど重要な本を読み抜くための4ステップ」がオススメ。こちらもメタ認知を効かせた手法になってますが、かなり手軽な感じにまとまっております。