睡眠不足で脂っこいものが食べたくなる理由
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なぜ寝不足で食欲が増すのか?
「寝不足は太る!」って話を何度か書いてまして、直近のメタ分析だと「1日の平均睡眠が5時間ぐらいの人は18日で1kgも太る」傾向があったとか。おそろしいもんですねぇ。
その理由はもちろん食べ過ぎが原因なんですけど、近ごろチェックした論文(1)では、「なんで寝ないと食欲が増すの?」ってとこまで具体的に調べてておもしろかったです。
これはペンシルバニア大の実験で、46人の健康な男女を対象にしたもの。年齢は21〜50才で、睡眠には問題がない人だけを選んだんですね。
完徹の状態で自由に食事
で、実験では参加者を2つのグループにわけました。
- 8時間寝たあとで好きなように食事
- 完徹したあとで好きなように食事
そのうえで、全員の脳をfMRIでチェックしつつ、摂取カロリーの変化を調べたんですな。
徹夜をすると脂肪が欲しくなる
それで何がわかったかと言いますと、
- 両グループとも、一夜明けたあとに食べた食事の量は同じぐらい(2250cal)
- ただし徹夜したグループは、夜中のあいだに900calを余計に食べていた
って感じ。900calってのはかなりの数値っすねぇ。さらには、
- 徹夜したグループは脂肪の量が増え、炭水化物の量が減っていた
- 脳の主要ネットワークに変化が起きた
みたいな変化が起きた模様。徹夜をすると、なぜか油ものが食べたくなっちゃうらしい。
徹夜でカラダが危機を覚えて脂肪に目が向く
「主要ネットワーク」ってのは脳の重要なエリアで、体を守るために周囲の環境から大事なものを選ぶ働きを持っております。「難しいポエムを読むと頭がよくなる?」って話でも出てきましたな。
主要ネットワークと油ものがどうやって結びついてるかというと、
- 睡眠不足でカラダに負担がかかる
- カラダの危機に主要ネットワークが起動
- ストレスを軽減するために手っ取り早く「ごほうび」が欲しくなる
- 簡単に高カロリーを得られる脂肪に注意が向く!
みたいな流れです。脂っこいものが食べたくなるのは、脳がカラダを守ろうとする自然な反応なんだ、と。
まとめ
この研究からすぐに役立つ教訓を引き出すのは難しいですが、
- マインドフルネス瞑想で食欲が減るってデータが多いのは、脳の主要ネットワークに働きかけてるからかもしれない(実際、マインドフルネス瞑想で主要ネットワークが変化したって報告もある(2)
- 脂っこいものが欲しいのはストレスのサインかもしれないので、油ものを食べる代わりに「自分なりのコーピング」を試してみるとよさげ
- 2015年の報告(3)だと、もし睡眠不足の場合でも、夜中には食べないほうが翌日の注意力が保たれるらしいので、徹夜の場合でもダラダラと食わないほうが何かとよさそう
ってのは言えるのかも。まぁ私としては、いろいろ考えるよりも「睡眠時間の確保を最優先にする!」と決めちゃって、そこから日中の仕事を逆算していくほうをオススメしますが。