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自分で自分の成功をジャマする「セルフサボタージュ」問題を、ラランドの動画から学ぶ話


 

以下の動画を見たんですよ。

 

 

およそ1時間20分の長編なので、ざっくりご説明しますと、

 

  1. ラランドニシダ氏の素行が悪い(常習的な遅刻や仕事の態度など)

  2. そこで、ニシダ氏の仕事仲間にインタビューを行い、本当の思いを尋ねる

  3. その映像をニシダ氏に見せて反省をうながす

 

みたいな内容になっております。ニシダ氏といえば「クズ芸人」として有名ですが、その態度が一線を超えたために、上記のような企画を行うに至ったんだそうな。

 

 

で、ここではニシダ氏に対して「反省の仕方をしらない」とか「番組の趣旨を把握できない」「できる人がいると明らかに手を抜く」といった評価が語られるわけですが、すべてを見たうえで個人的に思ったのは、

 

  • これは「セルフサボタージュ」の典型例では?

 

ってことでした。セルフサボタージュってのは、自分で自分の足を引っ張ろうとする心理現象のことで、直訳すると「自己妨害」ですね。

 

 

いくつか例を挙げますと、

 

  • 大きな仕事に対して「自分はふさわしくない」という思いが強く、そのせいで締め切りをぶっちぎる(もしくは、仕事の前夜に深酒してしまう)
  • 「他人を失望させたくない……」という思いがあるあまり、あえて「自分はまだ何も準備ができていない!」って態度をとる
  • 仲良くなりたい人がいるが、「こんな自分じゃダメだろう……」と思い、つい飲み会の約束などをぶっちぎる

 

みたいになります。基本、失敗によって起きる恥や恐怖の感情に耐えられず、本人でも意識せずに自らの足を引っ張ってしまう現象でして、おそらく誰もが少しは当てはまるところがあるんじゃないでしょうか(私もよくあります)。

 

 

もちろん、セルフサボタージュのせいで少し仕事の先延ばしが起きるぐらいならいいんですが、恥と恐怖から逃れる作業を何度もくり返していると、

 

  • めちゃくちゃだらしない人間に見える(遅刻や締切破りが頻発するので)

  • やたら傲慢に見える(他人に迷惑をかけても平静を装うので)
  • なにも意見が響かないように見える(無意識でやってる行動なので本人もどうしていいかわからないので)

  • 人間関係がうわっつらだけになる(深入りして傷つくのが嫌なので)
  • 大舞台になるほどパフォーマンスが低下する(デカい目標ほど回避しようとするので)

 

 って感じになります。プライドが高いが故の行動と言えばそうなんですが、「あの人はプライドが高いからねー」だけで済ませてしまうと、本人が抱いている深い恥と恐怖に思いが至らなくなるので注意が必要と申しますか。

 

 

セルフサボタージュが起きる原因はいくつも指摘されてまして、たとえばサザンクイーンズランド大学 などの調査(R)だと、

 

  • 自尊心がとにかく低い
  • 特定のものごとにコミットすることへの恐怖
  • メンタルのトラブル対処がヘタ

 

といった問題が挙げられておりました。なかでも多いのは「自尊心の低さによるセルフサボタージュ」でして、自分自身について否定的なイメージが強いあまり、いざ成功に近づいたとしても自らの手で状況を破壊した上で、「ほら!やっぱり自分はダメなんだ!」と確認することで安心しようと試みがちなんですよ。うーん、難しい……。

 

 

また、こういったメンタルが出来上がる理由もまた複数ありまして、ざっくり以下のようなものが挙げられます。

 

  • 子供時代の困難:親からけなされて育ったせいで愛着スタイルが安定せず、自分自身にハンディキャップを与え流ようになるケース。

 

  • 人間関係の困難:友人やパートナーなどにけなされて育ったり、手ひどい裏切りにあって再び傷つくことを恐れるようになるケース。

 

  • 仕事の失敗:不運にも仕事で失敗が続いたのを自分で背負いすぎ、やがて自分自身で同じ失敗を再現しようとし始めるケース。

 

ってのがありまして、一般的にはなんらかの傷がもとになっているケースが多め。私の場合は、父親が他人を貶めるタイプのコミュニケーションスタイルを乱用する人だったので、ニシダ氏の反応は非常に身につまされました。

 

 

ちなみに、それでは、セルフサボタージュ気味な人間はどうすべきかってとこですが、いみじくも動画の後半で山里さんが語ったアドバイスが芯を食っていたため、あんま書くこともないと申しますか。具体的にどんなアドバイスだったかと言うと、

 

 

 

って感じでして、「お説ごもっともでございます!」って気分になりました。

 

 

まー、これは本当に長い道のりなんですけど、実際のところ、セルフサボタージュをどうにかするにはこれしかないんすよねー。正直、自分もまだセルフサボタージュから完全に抜けたとはとうてい言えないんですけど、動画のコメント欄に「自分のなかにニシダがいる」って書き込みがやたら多いので、心当たりのある人が多い問題なんでしょうな。

 

 

ってことで、自分がセルフサボタージュに陥っていないかや、周囲からセルフサボタージュがどう見えるのかをチェックできる、非常に良い動画だったと思う次第です。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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