死ぬ前の後悔をなくして力に変えるためにはどうすればいいのか?「後悔を使って成長するぞ!編」
こないだ書いた「後悔を活かして人生の役に立たせる方法」の続きでーす。
このシリーズでは、「When 完璧なタイミングを科学する」で有名なダニエル・ピンク先生の「後悔の力(The Power of Regret)」の要点をまとめております。前回は「後悔には4つのパターンがあるよねー」って話をしまして、今回はその続きとして、「それでは具体的に後悔に対処するにはどうすればいいの?」ってあたりをチェックしていきましょう。
で、「うわー、やってしまった!」って後悔がわいたらどうすればいいのか?ってことですが、ダニエル・ピンク先生は、
- セルフ・ディスクロージャー
- セルフ・コンパッション
- セルフ・ディスタンシング
という3つの技法を提唱しておられます。いずれもこのブログで過去に取り上げてきたポイントですが、あらためてまとめてみましょう。
後悔対策1. セルフ・ディスクロージャー
セルフ・ディスクロージャーってのは、このブログでよくいう「自己開示」のことで、コミュニケーションの相手に自分のことをさらけだす行為を意味します。友人や仲間に対して自分の正直な気持ちを話すようなイメージですね。
これが後悔の対策に必要な理由は、自分の感情を認めないことは過去から抜け出せないからです。いかに後悔を忘れたふりをしても、後悔にまつわるネガティブな感情が心の奥底に残ったままだったら意味がないもんで。
このポイントについて著者いわく、
後悔を否定することは心と体に負担をかけるし、そこにこだわりすぎれば有害な思考におちいってしまう。しかし、後悔を誰かに打ち明けることができれば、その負担を軽減し、後悔を理解するための道を開くことができるの。
ってことで、まずはネガティブな感情を誰かに打ち明けるのがはじめの一歩なのだ、と。
では、自分の後悔をいかにセルフ・ディスクロージャーするかということで、本書では具体的に3つの作業が提案されております。
- 1日15分間、自分の後悔について書いてみる。これを3日間連続で続ける。
- ボイスレコーダーに15分間、3日間連続で自分の後悔について話してみる。
- 誰かに自分の後悔を直に話してみる。
って感じで、とにかく自分の後悔を外部に吐き出すのがポイント。「友人との約束を破ったことを後悔している。思い出すと心臓が痛い!彼も傷つけているだろうなぁ…」みたいに、その時に何が起こったか? 自分がどんな感情を抱いたか? ってあたりをくわしく説明してみるのが吉であります。ただし、何度もくり返すと、その思考でダメージを受ける可能性もあるので、上述のように制限時間を設けるのがポイントとのこと。これは大事なとこですね。
後悔対策2. セルフ・コンパッション
セルフ・ディスクロージャーを練習したら、次に行うべきが「セルフ・コンパッション」です。こちらもこのブログでは定番のワードでして、簡単に言えば「自分を過度に批判せずに優しく接すること」ぐらいの意味になります。
このポイントが重要なのは、後悔の念に弱い人ってのは「後悔に厳しすぎる人」または「後悔にポジティブに立ち向かいすぎる人」のどちらも後悔をうまく活かす役には立ないからです。確かに、過去の失敗をいつまでも責め続けても、逆に「失敗は乗り越えた!」と安易に思っても、どっちも後悔を活かすことはできませんもんね。
というわけで、ここで使うべきがセルフ・コンパッションであります。これは、ご存じクリスティン・ネフ先生が提唱する考え方で、実践法はいくつかあるんですが、ここでは以下のやり方がおすすめされておりました。
- セルフコンパッション持つには時間と練習が必要だが、まずは以下の質問に答えて、その答えを考えてみると良い。
- いまの自分と同じ後悔をしている人に、あなたは親切に接しますか? それとも軽蔑して接しますか? もし同じ後悔を友人や親戚が抱いていたら、あなたの目からはどのように見えるのでしょうか? 同じ後悔をしている親友に親切に接するばら、同じような親切を自分自身に向けることはできますか?
- このような後悔をしているのは自分だけでしょうか? いま自分が抱いている後悔と同じものを、過去に味わったことがある人はいないでしょうか? 過ちを犯さない人間や、後悔をしたことがない人間は存在するでしょうか?
- その後悔によって、自分の人生は決まるのだろうか? 後悔が自分のアイデンティティの一部になっていないだろうか?
ということで、以上の質問には、セルフ・コンパッションに欠かせない3つの要素が入ってますんで、確かにスターティングポイントとして使うのはよろしいのではないでしょうか。
後悔対策3. セルフ・ディスタンシング
セルフ・ディスクロージャーとセルフ・コンパッションの2つを押さえたら、最後にてをつけるのがセルフ・ディスタンシングです。直訳すれば「自己と距離を取ること」で、後悔から学んで前進するのに役立つ考え方です。最初の2つのステップで土台を築き、最後にセルフ・ディスタンシングで、後悔から学ぶための戦略的な計画を立てるイメージですね。
「意志力を手軽にアップさせる秘技「サードパーソン・セルフトーク」」でも書いたとおり、自分と距離を置くのはメンタル改善の基本。自分のことを他人のように考えることで後悔を客観視できるようになり、ネガティブな感情を取り除きつつ効果的な解決策を考えることができるわけです。
で、自己と距離を置く方法について、ダニエル・ピンク先生はまず「3つの距離感」を押さえることを提唱しておられます。
- 空間的な距離を取る:いまの自分から一歩下がって、自分の状況を他人のものであるかのように想像してみる(自分のスタンドが分離して、自分を見つめているようなイメージ)。
- 時間的な距離を取る:いまの自分を「未来の自分」だと想像して、未来から過去の自分を見ているかのように観察してみる。
- 言語的な距離を取る:いま自分の状況を二人称(「あなた」)または三人称(「彼」、「彼女」、「彼ら」)で説明してみる。
って感じで、セルフ・ディスタンシングを行う際は、空間、時間、言語という3つの方向から距離を取るのがいいわけですね。このまとめかたは考えたことがなかったので、勉強になりました。
でもって、セルフ・ディスタンシングは練習するほどスキルが身につくので、以下のようなエクササイズを行うのも良い感じです。
- なにか失敗をしたら、「私の友人が同じ後悔をしていたら?」と想像し、「友人に何をアドバイスするか?」や「友人にかけてやってアドバイスを自分で使うにはどうすればいいか?」と考えてみる。
- 「私は自分の後悔を分析する専門家だ!」と想像してみて、他の人に、自分の後悔をできるだけ客観的に説明しなければならないとしたらどするかを考えてみる。それと同時に、「解決策として何を処方できるか?」を考え、具体的にできそうな対策を「あなた」は「彼は/彼女は」 を使って文章にしてみる。
- 仕事に関する後悔がある場合は、「もし明日、私が辞職するとしたら、後任者は何をするだろうか?」と自分に問いかけてみる。
- 今から10年後の自分を想像し、「この後悔にどう対応したか?」を未来から見ているところをイメージする。「その後悔に対処するために自分は何をしたのか?」と考えて、紙
- に書き出してみる。