死ぬ前の後悔をなくして力に変えるためにはどうすればいいのか?「後悔のパターン編」
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「後悔の力(The Power of Regret)」って本を読みました。著者は「When 完璧なタイミングを科学する」で有名なダニエル・ピンク先生で、ずーっとベストセラーを出してるジャーナリストさんですね。
で、本書は名前のとおり「人間なら誰でも後悔のひとつやふたつあるけど、うまく使うと人生を改善する力になるよ!」みたいな内容になってます。「あそこで仕事をやめておけば!」とか「あの人に声をかけておけば!」みたいな経験は誰にでもありましょうが、これをネガティブに捉えるだけじゃもったいないんじゃないか、と。
「ネガティブな感情が成功を呼ぶ」や「スタンフォードのストレスを力に変える教科書」みたいに、近ごろはネガティブな感情をポジティブにとらえるタイプの本が多いんですが、これもその流れにつながる一冊ですね。「後悔」ってテーマは、意外とありそうでなかったんで、個人的にいろいろ勉強になりました。
ということで、本書のポイントをざっくりまとめると、こんな感じになります。
後悔のメリットとか
- 一般には「後悔」はただのネガティブ感情ととらえられがちだが、実際には、後悔していることに向き合うことで、より良い人生を送ることができるようになる。後悔を認めることは、逆境を乗り越えるだけでなく、自分の目的を明確にし、より高い目標に向かうことにつながる。
- 具体的には、後悔は決断力を高めることがある。たとえば、求職の締め切りに間に合わなかった後悔があれば、「自分は本当にその仕事を望んでいるか?」をあらためて考え直すきっかけになり、将来の計画を考え直す時間を余分に取れるかもしれない。
- また、後悔はパフォーマンスアップに繋がることがある。過去に時間の管理不足で仕事に失敗した後悔があれば、それが仕事量をうまく管理する方法を学ぶ原動力になるかもしれない。
- 上述のメリットを得るためには、まず自分が後悔していることについて考えてみた上で、「ここから何を学べることないかなぁ?」「この後悔は、自分のどんな願望や目的意識を反映してるのかなぁ?」「この後悔を、自分のやる気につなげるために再定義できないかなぁ?」などと考えてみるとよい。
後悔には4つのタイプがある
- 筆者は、「後悔」のパターンを大きく4つに分類している。
- 基礎的な後悔=事前に準備をしなかったことを悔やむタイプの後悔
- 勇気の後悔=リスクをとって行動しなかったことを悔やむタイプの後悔
- 道徳的な後悔=人として間違ったことをしたことを悔やむタイプの後悔
- つながりの後悔=気になる人と仲良くなれなかったことを悔やむタイプの後悔
基礎的な後悔とは?
- 基礎的な後悔とは、現在の状態に集中するあまり、将来への備えを怠ってしまうことで発生する後悔である。経済学者は、これを「時間的割引」と呼ぶ。
- 「基礎的な後悔」から学ぶには、「もしも」という視点からの脱却が必要になる。物事がうまくいかないとき、私たちはしばしば、その背景を見るのではなく自分自身を責めてしまうが、これは「根本的な帰属エラー」と呼ばれる認知バイアスである。しかし、自分を責めることをやめ、状況を認めれば、コントロールできることとできないことをより明確にすることができる。
- たとえば、試験勉強を途中で止めてしまい、「自分は何事も長続きしないタイプなのだ……」といった帰属エラーが起きた場合は、「そもそも、なぜ勉強を途中でやめたのだろう?」と考えてみたうえで、「教材のレベルが高すぎだったので、口コミを調べればもっと難易度がフィットしたものが見つかるかもしれない」などと考えていく。これにより、帰属エラーを抜けて、後悔を有効に使うことが可能となる。
勇気の後悔とは?
- 勇気の後悔は、「もっとリスクを取ればよかった!」というタイプの後悔である。応募しなかった職、先延ばしにしていた旅行など、たいていは「本当はやりたかった行動を取らなかった」というタイプの後悔である。過去を振り返ってみて、「もっと行動してればなぁ……」と思うものがあれば、それは「勇気の後悔」を経験している状態と言える。
- 数ある後悔の中でも、勇気の後悔はめちゃくちゃ定番だが、うまく使うことにより「人間としての成長」「世界の楽しみをより味わうこと」「人生の退屈さを覆る経験をすること」などにつながる。
- 勇気の後悔は、自分が慣れ親しんだことや快適なことに固執することで起きる。人生で安全策を取っていると、最初は快適に感じるかもしれないが、あとで後悔を残す危険が高まる。また、多くの研究では、人は「行動したことで起きる後悔」よりも「行動しなかったことで起きる効果」を重く見る傾向があり、「やらない後悔」を防いでおくに越したことはない。
- 勇気の後悔につながる行動には、以下のようなものがある。
- キャリアで安全策をとってしまった
- 世界を旅行しなかった
- もっと多彩な体験をしなかった
- 他人が望んでいることしかしなかった
道徳的な後悔とは?
- 道徳的な後悔は、自分の倫理観や信念に反することをしたときに起こる後悔を意味する。「もしもっと正しいことをしていれば......」と振り返るようなことがあれば、それは道徳的な後悔だと言える。このタイプの後悔は、最も長びく傾向があり、人生にも最も強い影響を与える傾向がある。
- 道徳的な後悔は、大きく5つのタイプに分類できる。
- 加害による後悔:誰かの悪口などを言って傷つけたことへの後悔。
- 裏切りによる後悔:友人を裏切って信頼を失ったことなどへの後悔。
- 不誠実による後悔:信頼する相手との約束を破ったことなどへの後悔。
- 堕落による後悔:社会悪とされていることをやってしまった後悔。
- 冒涜による後悔:社会の伝統や自分のルールを破ってしまったことへの後悔。
つながりの後悔とは?
- つながり後悔とは、特定の人と思うような関係を築けなかったときに起こる後悔を意味する。共同体、親子、兄弟、友人など、あらゆる関係性への後悔が対象となる。
- もっとも多いのは「なんだか気まずくて、ケンカ別れした友人と会えない!」みたいなケースで、再会のときに会話がうまくできなくなることへの恐怖がジャマをしてしまう。しかし、多くの研究では、この手の問題で相手とさ再会した場合、最初こそ気まずく感じるものの、すぐに以前よりも強い関係を築くことができることがわかっている。
- そのため、筆者は「もし大事な関係が崩れてしまったのなら、すぐに電話をかけるか直に会うようにしよう。それで感じたことを素直に伝えれば、たいていの問題は解決される」とコメントしている。
ってことで、いろいろ書いてみましたが、長くなったので今回はこのへんで。次回は、「後悔の種類はわかったけど、それじゃあ具体的には何をすればいいの?」ってところを見ていくことにします。どうぞよしなにー。