2022年に読んだ303冊と、2022年に見た映像コンテンツ152本から、特に良かったものを選ぶエントリ
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年の瀬!ということで、今年読んだ303冊と今年見た映像コンテンツ152本から、特に「良いねー」と思ったトップ10を、それぞれまとめておきますので、年末年始の読書の参考にどうぞ。
ちなみに、今年は「進化論マーケティング」「YOUR TIME ユア・タイム」という本を出版しましたので、こちらも合わせてよろしくお願いたしまーす。
とにかくすぐ役に立つ5冊
まずは、読んですぐ日々の生活に活かせるタイプの本から。今年は以下の5冊が良かったですねー。
- ゴットマン式コミュニケーション術:コミュニケーションに人生をかけている博士が、数十年の研究をまとめた集大成。
- ユーモアは最強の武器である:言語化が難しい「笑い」のノウハウを、可能な限り実践に落とし込んでみせた一冊。
- 脳の外で考える:私たちが持つ思考力を存分に活かすには、脳だけでなく身体も使わねばならないのだ!っポイントを手際よくまとめた一冊。
- 代替行動の臨床実践ガイド:夜更かしがやめられない! ギャンブルがやめられない! といった悪癖を修正するための現実的な方法を教えてくれる有用な本。
- 動機づけ面接を身につける:実証データが抱負な心理療法として有名な「動機づけ面接」を、個人で実践できるように構成されたナイスな本。
世界の見方が変わる5冊
続きましては、「おお!世界はこうも解釈できるのか!」というセンス・オブ・ワンダーを与えてくれる本です。
- 脳は世界をどう見ているのか:脳は世界を座標で処理している!というアイデアをもとに、脳のあらゆる機能を説明していて驚かされる一冊。
- 脳の地図を書き換える:脳のポテンシャルについて考えつつ、しまいには「人間に新たな感覚を生み出すには?」や「いかに人間の機能を拡張するか?」まで進む、畏敬の念に満ちた一冊。
- 私たちはどう学んでいるのか:世の中にはびこる「学習とはこういうものだ」というイメージを、認知科学の視点からコテンパンに叩き直す本。
- 人類の起源:ゲノム解析の技術でわかった、“人類の起源”に関する最新の知見をまとめたよ!という本。人類の新たな通史が展開されていて、間違いなく世界の見方が変わるでしょう。
- 因果推論の科学:データから因果関係を求めていく手法を教えてくれる本だけど、「因果とはそもそもなにか?」ってところを考えさせられた結果、世界の見方が少し変わっていく内容になっております。
世の中の解像度が上がる5冊
さらに、世の中で起きている事件や現象について、さらに深い理解を与えてくれる本もまとめておきます。
- ステータス・ゲームの心理学:いかに人間がマウンティングが好きな生物かってあたりを、心理学や人類学の知見を総動員して教えてくれる本。社会を理解するフレームワークのひとつとして知っておくと良いでしょう。
- ルーズな文化とタイトな文化:「世界にはタイトな文化とルーズな文化があり、この分類でいろんなことが説明できる!」と主張し、実際にこの視点から世の様々な事象を解読していく本。
- 「修養」の日本近代:「教養」や「自分磨き」や「意識高い系」の起源を明治までさかのぼり、「時代は変わらんなぁ」という事実を教えてくれる本。
- マスメディアとは何か:「マスコミの影響怖い!」や「ネットの悪しき影響が!」といった世間のイメージを、実証的に否定してくれるナイスな一冊。
- 僕らはまだ、臨床研究論文の本当の読み方を知らない。:「研究論文をどう読むか?」ってテーマを、初心者でも理解できるレベルまで落とし込んでみせた最初の一冊に好適な本。
おもしろ小説5冊
今年も楽しい小説が読めて幸せでしたが、特に以下の5冊が印象に残りました。
- 禁色:昼ドラ並みのエグい復讐譚を、ゴージャスな美文で描いた三島由紀夫の傑作。
- ある男:入れ替わりミステリに見せかけて、実は「ワンハリ」と同じような「物語のちから」を描いた秀作。
- レペゼン母:60代の母親がラップバトルの舞台に立つ姿を描くすごい話。リリックの説得力がすばらしい。
- プロジェクト・ヘイル・メアリー:ソリッド・シチュエーション・スリラーからガチのハードSFに展開していく、異世界交流バディSFの傑作。
- 我が友、スミス:筋トレにのめり込んでいく女性を主人公にしつつ、「ヒトが変わるとはいかなることか?」を掘り下げた本。筋トレ好きなら確実に楽しめるでしょう。
おもしろ映像コンテンツ
最後は今年良かった映像コンテンツです。ここだけは、個人的に印象深かったトップ10の順に並べてます。
- ベター・コール・ソウル:悪徳弁護士がどん底に落ち込んでいく様子を描くドラマ。高度な映像と高度なストーリテリングがあいまって、ここ10年でもベスト級の傑作だと思う。
- トップガン マーヴェリック:ここ数年、すっかり“生き様ドキュメンタリー映画マン”になったトム・クルーズの最高傑作。すでに映画とは別物のエンタメになっていて、もはや怖いレベル。
- RRR:アクション映画としては、現時点で世界の最先端。熱量で言えば今年のベスト。
- コーダ あいのうた:映画史上もっとも「泣き」の手数が多い作品のひとつで、漫才におけるインディアンスのような作品。
- ハウス・オブ・グッチ:ゲスでしょうもない理由で起きた殺人事件を、抜群の演技力と演出力で描き、あたかも格調高い文芸作のように見せてしまう珍品。最初から最後までずっとおもしろい。
- THE FIRST SLAM DUNK:ほぼ全編が試合シーンしかないのに、スポーツの面白さを高精度で描くことにより、なかば強引に感動させられてしまう変な傑作。
- 犬王:社会に弾かれた者のリベンジを描く、室町版ボヘミアン・ラプソディ。今年の「勢いで持っていかれる映画」のベスト。
- TITANE/チタン:車フェチの女性シリアルキラーが車の子供を産むまでを描く、アート系フェティッシュ映画の秀作。
- すずめの戸締まり:「天災は忘れたころにやってくる」を物語のメタファーとしてエンタメ化した、実は変わったことをしている作品。
- ドリームプラン:感動スポ根映画に見せかけて、実際には「極度の逆境を乗り越える男の狂気」を描いた珍妙な作品。ウィル・スミスのビンタ事件ばっか話題になったのが残念。