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「自然」ヤバい。結局、リラックス法としては最強かも

Nature

 自然のリラックス効果はどれぐらい?
自然はメンタルにいいよーって話を何度か書いてますが、近年では「Shinrinyoku(森林浴)」なんて単語を海外サイトでも見かけるようになりました。当ブログでも、


なんて話を紹介してまいりました。


となると、次に気になるのが「自然のリラックス効果ってどれぐらいなの?」ってとこでしょう。過去に紹介したように、瞑想や運動でもリラックス効果は得られるわけですが、これらの手法と比べたときの効果はどうなのか、と。




瞑想や運動よりもリラックス効果は高い…かも
といったところで、新たに「自然のリラックス効果」をガッツリ調べてくれた研究(1)が出まして、なかなか良い感じです。


これは、過去に出た「自然とメンタル」に関する871人分のデータをメタ分析したもの。科学的な信頼性はかなり高めであります。


で、まずは大事な結論から言っちゃうと、

  • 自然とふれ合うと副交感神経が活発化(効果量0.71)し、確実にリラックスする

みたいな感じ。ご存じのとおり、副交感神経は、くつろいでいる時や睡眠時などに働き出す自律神経であります。


効果量0.71ってのは結構ナイスな数字で、たとえば瞑想とか運動によるリラックス効果(副交感神経の活性レベル)はだいたい0.1〜0.5ぐらいなイメージ(2,3)。もちろん単純な比較はできないんですけど、「なんだかんだで自然が一番手軽にメンタル改善できるんじゃない?」と思わせるには十分な結果ではないかと。


人間の幸せには3つの感情システムの調整が必要
これだけの効果が出る理由について、研究者は「自然が人間の感情コントロールシステムを調整するから」って仮説を推奨しております。人類の進化の過程で、ヒトの心には3種類のシステムができあがったというんですな。

  • ドライブ:「喜び」や「快楽」といったポジティブな感情を作り、獲物や食事を探すためのモチベーションを生み出すシステム。おもにドーパミンで制御されている。
  • コンテントメント:「安らぎ」や「親切心」といったポジティブな感情を作り、同じ種属とのコミュニケーションに役立つシステム。オキシトシンなどで制御されている。
  • スレット:「不安」や「警戒」といったネガティブな感情を作り、外敵や危険から身を守るためのシステム。アドレナリンやコルチゾールで制御されている。

ヒトが幸福に暮らすためには、これら3つのシステムが、すべてバランス良く機能しているのが大事なんだって話です。不安が暴走したらマズいのは当たり前ですが、快楽ばかりを追求する人生もよくないし、安らぎだけに生きてたら前に進めませんしね。


で、今回の研究でわかったことは、

  • 都市部の暮らしは、とにかくドライブとスレットだけを活性化させる

ってことです。まぁ都市部には誘惑も危険も多いんで、当然の結果ではあります。つまり、都会暮らしにはポジティブもネガティブもあるんだけど、とにかく「コンテントメント」だけが足りないわけですな。


まとめ
以上の話をまとめると、

  • 現代人が幸福度を高めるには、まずは「コンテントメント」に注力すべし
  • コンテントメントを高める方法はいろいろあるが、なかでも「自然」は手軽で効果がデカい

って感じです。にしても、この論文の「感情の3システム」って枠組みは、いろいろと応用が効きそうでいいですなー。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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