幸福になるためのタスク管理法「パーソナルプロジェクト分析(PPA)」入門 #1「プロジェクト採点編」
幸福になるためのタスク管理法「PPA」
世にはたくさんのタスク管理術がありますが、近ごろよさげだなーと思ったのが「パーソナルプロジェクト分析(PPA)」の手法であります。
考案したのは「自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義」で有名なブライアン・リトル先生。パーソナリティ心理学の超大御所ですね。
PPAがユニークなのは、「人生の質を高めるためのタスク管理」に特化してるとこでしょう。ガンガン仕事をこなすだけじゃ意味がないから、ちゃんと幸せになれるようにタスクを調整しよう!って発想ですね。非常に共感できる考え方ではないかと。
その効果については30年以上の研究データがありまして、いちいち紹介するのはムリなんで、興味がある方はケンブリッジ大学のリスト(1)などをご参照ください。とにかく、心理学の世界じゃ定評がある手法のひとつであります。
ってことで、ここではPPAのやり方をおおまかにまとめて行こうかと。長くなりそうなので、だいたい3回ぐらいのシリーズになる予定。
ステップ1.個人プロジェクトのリストアップ
まずは、「自分がとりくんでいるプロジェクト」をリストアップしていきます。ノートに書くもよし、リストアプリに並べるもよし、とにかく思いつくままにすべての「いま取り組んでいるプロジェクト」または「これから取り組もうとしている」を書き出せばOK。
プロジェクトといっても身構える必要はなくて、「友達ともっと遊ぶ」みたいな願望でも問題なし。仕事、プライベート、余暇、スポーツなどなど、あらゆる分野から手当たりしだいにやりたいことを抜き出すのがポイントであります。
具体例としては、
- お菓子の量を減らす
- TOEICで900点を取る
- 部屋を掃除する
- 猫と遊ぶ
- 今年はアフリカに行く
- もっと良い人間になる
- 年に本を100冊読む
- 営業成績1位を目指す
- 借金をすべて返す
といった感じ。明確なゴールがないフンワリした目標でも、自分がやってみたいと思えばプロジェクトに加えてかまいません。
書き出すための時間は10〜15分が目安。その間に思いつくだけリストアップしてくださいませ。リトル博士の調査では、多くの人はつねに15のパーソナルプロジェクトに取り組んでいるそうな。
シンプルな作業ながら、自分のパーソナルプロジェクトを並べるだけでも「いまの暮らしぶり」とか「性格の特徴」みたいなものが浮かび上がってきておもしろいもんです。
ステップ2.プロジェクトのレーティング
続いて、リストアップしたプロジェクトのなかから、自分が「これは重要だ!」と思うものを10個だけ選択。そのうえで、以下のような「PPAレーティングマトリックス」のプロジェクト名に書き出していきます。
そのうえで、それぞれのプロジェクトの「重要性」や「困難さ」を10点満点で採点してってくださいませ。各項目の意味は以下のような感じ。
- 重要性:そのプロジェクトが自分にとってどれだけ重要かどうか
- 困難さ:そのプロジェクト実行する際の難しさ
- 透明性:友人や家族がそのプロジェクトの進み具合を知れる、または理解できるかどうか
- 管理性:そのプロジェクトに対して、どれだけ「自分でコントロールできる!」って感覚があるか
- 責任:そのプロジェクトには社会的な責任があるかどうか
- 時間適正:そのプロジェクトをやるだけの十分な時間があるかどうか
- 成功率:そのプロジェクトを達成、または満足できるレベルまでこなせる確率は高いか
- 自己同一性:そのプロジェクトが、自分のアイデンティティに沿っていると感じられるかどうか。または、自分のキャラを正確に表現できるようなプロジェクトかどうか
- 他者からの重要性:他人から見て、そのプロジェクトが重要かどうか
- 価値観の一致:そのプロジェクトが、自分の人生の価値観と合っているかどうか
- 進捗状況:いまの時点で、そのプロジェクトをどれだけ達成できているか
- やりがい度:そのプロジェクトにやりがいが感じられるかどうか
- 没頭度:そのプロジェクトに夢中になれるかどうか
- 支持レベル:そのプロジェクトを達成するためにサポートが得られるかどうか(金銭的なサポートでもアドバイスでも何でもOK)
- 自律性:そのプロジェクトに対して、誰からの強制でもなく「自分の意思でやるのだ!」と感じているかどうか
一般的なタスク管理術だと「重要性」と「時間」ぐらいで優先度を決めるケースが多いですけど、ここでは「他人の目」「自分の意思」「価値観」までをふくむのが面白いですねー。
ってことで第1回はこのへんで。次回は、このマトリックスをさらに深掘りしていくことになります。いちおうPPAレーティングマトリックスのPDFファイルも置いときますんで、適宜お使いください。