老化のマイナスイメージを取り除くだけでも寿命は激しくのびる
自分は若いと思うと本当に健康になる
「若作りで本当に体が若返る」ってデータが昔からあるわけです。
当ブログで紹介したところでは、70〜80代の男女に20年前の服を着てもらったら1週間で炎症が減ったとか、「自分は若い!」と思ってる人は病院にかかる確率が25%下がるとか。心と体は連動してるんで、気の持ちようだけでも結構な差が出るんですな。
ってところで、近ごろフレームワークスインスティテュート(FWI)が、「老化は悪い!って思い込みを変えようぜ!」ってレポート(1)を出してて楽しゅうございました。
老化は悪だ!の考え方を変えると寿命がのびる
FWIは世界の社会学者が集まった組織で、90年代から、データにもとづいていろんな提言をしております。このレポートもそのひとつで、「最近のエイジズムってヒドくない?」ってのがテーマになっております。いわゆる年齢差別ですな。
ここでいうエイジズムは、たんに周囲が高齢者を下に見るケースだけでなく、
- 高齢者自身が「自分なんてもう年寄りだから…」と思い込んじゃう
- 周囲が高齢者を過保護にしすぎちゃう
といったあたりもふくんでおります。高齢者へ過剰な親切をしすぎたせいで、逆に相手に「ああ、自分はもう年寄りなのだ…」と思わせちゃうようなケースもふくむわけですね。難しいですなぁ。
まぁあんまり細かい定義について考えると泥沼なんで、とりあえずここでは「ムダに老化を悪者にしないほうがいいよ」ぐらいの提言だとお考えください。このレポートに出てる例でいうと、660人を調べた2002年の観察研究(2)なんかでは、「老化はいいことだ」と考えてる人は、そうでない人にくらべて寿命が7.5年も長かったそうですからね。とりあえず老化へのネガティブバイアスは取り除いたほうが吉。
老化のネガティブバイアスを取り除くには?
では、老化のバイアスを取り除くにはどうすればいいの? って話ですが、このレポートではいくつかのアイデアを提言しております。
1.暗黙のバイアスに気づく
日常的に自分が「老化」に対してどれだけマイナスイメージを持ってるかに注意を払う方法。といっても、そもそも暗黙のバイアスに気づくのは超難しいので、普段から意識しとくしかなさげ。
ここでもっとも有効なのは「自分の老化」に対するリアクションを利用する方法でしょう。たとえば、鏡を見て小じわに気づいてドキッとしたときなどに、「なぜいま心がざわついたのだろう…」とか「この感情はどこから来たんだろう?」といった質問で深掘りしていく感じ。自動思考キャッチトレーニングと同じように、自分の自動的な反応に気づく作業をくり返すわけですね。
2.バイアスの入れ替え
ネガティブなバイアスに気づいたら、その思い込みに当てはまらないような人物に注目してみる。「老化で体が動かなくなる…」みたいなバイアスがあったら、100才を過ぎてから逆に心肺機能が向上したおじいちゃんやら、世界一長生きしたジャンヌ・カルマンさんに思いをはせてみるとか。ほかにも、年を取っても自分のバイアスとは違う暮らしをしているご長寿さんなら誰でもOK。
3.入れ替えたバイアスの個人化
高齢者をすべて「老人」としてひとくくりにしちゃうと、多くの人はネガティブなバイアスのほうにハマってしまいがち。なので、自分のバイアスに反する老人の暮らしをくわしく想像してみる。100歳でも超元気なおじいちゃんは、どんな風に毎日を過ごしてるのか?とか、日々の問題をどう処理してるのか?とか。
4.視点の交換
もし自分が、他人の老化に対してネガティブなバイアスを持っていた場合は、いったんその人の視点になったところを想像してみる。もし自分のなかに「老人を子供のように扱ってしまう」ってバイアスがあったときは、自分が子供のように話しかけられてるとこをイメージするとか。
まとめ
ってことで、こうして見ると、やっぱネガティブなバイアスは一朝一夕に変えらえるもんじゃなさそう。認知行動療法の世界でも、認知のエラーを正すのには1〜2年ぐらいかかるのが普通なんで、いたしかたないことではありますが。
まぁあんま面倒なことを考えるとイヤになっちゃうんで、「日ごろから『老い』に対するバイアスを意識しとく」ぐらいはしとくといいんじゃないでしょうか。なにせバイアスのタネはいろんなとこに転がってて、たとえば当ブログでよく使う「アンチエイジング」なんかにも、「『アンチ』は老化を下に見る前提がふくまれてるからダメだ!」って意見もありますからねぇ。
その代わりに近年では「オプティマルエイジング」みたいな言葉も出てきてますけど、どうもわかりにくいんで、当ブログではいまもアンチエイジングって言葉を使っております。どうぞよしなに。