アメリカ食品医薬品局「豆が心臓にいいって話、あれやっぱナシで!」
豆が心臓にいい!は本当か?
大昔から「豆で長生きできる!」 みたいな説があるんですよ。大豆のタンパク質を摂取すると、コレステロールが下がって心疾患にかかりにくくなるというんですな。
このネタ元は1990年にアメリカ食品医薬品局(FDA)が発足させた「ヘルスクレーム制度」であります。研究者が厳しいチェックを行った食品にだけ「健康表示」を許す制度で、ここでお墨付きが出たものは、かなり信頼できると考えられてるんですな。
FDAが認めた12の健康表示
で、ヘルスクレーム制度で11番目に認められたのが「大豆タンパク質」。いろんなデータをチェックした結果、「『大豆タンパクは心臓に効く』と表示してもいいよ!」って許可が出たんですよ。
ちなみに、FDAが認めた健康表示はこれまで12件しかなくて、
- カルシウムが骨粗鬆症に効くよ!
- 塩分を減らすと高血圧に効くよ!
- 脂質を減らすと癌予防になるよ!
- 飽和脂肪酸とコレステロールを減らすと心疾患に効くよ!
- 食物繊維は癌予防になるよ!
- 果物や野菜の水溶性食物繊維は心疾患リスクを減らすよ!
- 野菜と果物は癌予防になるよ!
- 葉酸は神経の先天性異常に効くよ!
- 糖アルコールは虫歯予防になるよ!
- オオバコや全粒粉の水溶性食物繊維は冠動脈心疾患に効くよ!
- ステロールは心疾患リスクを減らすよ!
- 大豆タンパク質は心疾患リスクに効くよ!
って感じ。数十年の研究で、これだけしか認められてないわけですな。
FDA認可ってのは結構な権威でして、私も「大豆タンパクはいろいろと問題がありつつも、心臓にいいのは間違いないんだろうなー」などと思っておりました。
大豆に心疾患リスクを減らす効果はない?
が、近ごろFDAが新しいアナウンス(1)を出しまして、「大豆タンパクが心臓病にいいって話、やっぱナシで!」って結論になっててビビりました。
これはFDAによるレビュー論文でして、過去に出た「大豆タンパクと心臓」に関する約150件のデータをチェックしたもの。
その結論をざっくり抜き出すと、
私たちは、大豆タンパクが心臓に良いという主張を取り消す必要があると考える。この主張が1999年に認められてから膨大な研究が世に出たが、大豆タンパクと心臓病の相関には一致しない点が多いからだ。
って感じになっております。いろいろ調べ直してみたら、大豆タンパク質に特別なメリットがあったわけじゃなかったよーってことですな。
いちおう、大豆タンパクには“やや”LDLコレステロールを下げる効果があるようなんですが、だからといって心臓にいいとは限らないのが難しいところ。
大豆タンパクがコレステロールを下げるのは確かだが、それから科学の世界では、コレステロールさえ下げればいいわけではないことがわかってきた。実際は、コレステロールを下げる行為が害になることもあるのだ。
いずれにせよ、現時点でわかっているのは、どのような臨床試験においても「豆を食べるほど心臓にいい」という主張は明らかになっていないということだ。
近年では「コレステロールは悪ではない!」みたいな話も増えてますし、「善玉コレステロールが増えればいいってもんでもない!」なんて主張があったりもしますからねぇ。このあたりの話には納得であります。
まとめ
もちろん、これはたんに「豆には特殊な御利益がない」って話でして、「豆は体に悪い!」って話じゃないのでご注意ください。コレステロールの問題は難しとこですが、とりあえずは、
などを参考にしていただければ幸い。まずはコレステロールの性能に気を配ってみるのがよいのではないかと思う次第です。