合成ビタミンはダメ!天然ビタミンのほうが吸収率はいい!はどこまで本当か
合成ビタミンは吸収率が悪い?
サプリに関するご質問をいただきました。
ビタミン剤に関して質問があります。
私はアメリカ在住ですが、garden of life というサプリメーカーのものを使っています。パレオさんが使ってらっしゃる、nature’s way とか、now の方が価格が安くていいのですが、garden of life は、合成のビタミン剤は吸収が良くないということで、全てを野菜や果物から作っているので高いということです。これに関してパレオさんのご意見を教えていただければと。
とのこと。合成と天然のビタミンやミネラルは、吸収率に違いがあるのではないか?と。
合成ビタミンはよくない!って考え方は昔からあって、極端なところでは「合成ビタミンCに発がん性が!」といったニュースが流れたこともございました。まぁ、このニュースについては「酵素は分子構造式(いわゆる亀の甲)には現れない」といった謎理論が展開されてるので無視すればよいとして、直感的に「天然のほうがいいのでは?」といった気になるのは理解できるとこです。
ビタミンによって体内の使われ方は変わる
で、ざっくりした結論から言えば、「どっちがいいかはビタミンによって違います」って感じです。栄養素によって人工と合成で吸収率が変わってくるんで、いちがいに「こっちはダメ!」とは言えないんすよね(1)。
代表的な例をあげると、
- ビタミンA:天然モノはレチノールで、合成モノはパルミチン酸など。サプリの場合は動物の脂肪から作られたりする。天然と合成のどっちがいいかは不明で、ある研究では「人工は吸収率が悪い!」って結果もあれば、別の研究では「人工ものは過剰摂取につながるよ!」って結果も出てたり(2)。というか、ビタミンAのサプリは昔から健康リスクが言われてるので、そもそもサプリを買うのはオススメしないんですけども。
- ビタミンB群:天然のほうが合成より2倍ぐらいは吸収率がいい(3)。ただし葉酸だけは例外で、こちらは人工のほうが吸収率がいいことがわかっている。ちなみに、合成ナイアシンは抗栄養素として働く可能性があるので注意。ビタミンB12
- ビタミンC:天然でも合成でも特に違いはなし(4)。もともと、天然ものと化学式が同じ成分をビタミンCと呼んでるので当たり前ですが。ただ当ブログでは、そもそもビタミンCサプリには意味がないと思ってたりもします。
- ビタミンD:サプリの場合は、植物から抽出するか魚の肝臓に入ってる7-デヒドロコレステロールに紫外線を当てて作るケースが多め。なので、別に天然とか合成を区別する必要もなし。ビタミンD3かどうかに気を配ればOK。
- ビタミンE:天然のほうが吸収率は上(5)。合成でビタミンEを作った場合、そのうち50%は体内で使えないものだったり。
- ビタミンK:まず大きくはビタミンK1とK2にわかれて、さらにMK4(合成)とMK7(天然)っていうサブタイプにわかれるややこしい成分(6)。サプリの場合は間違いなくK2のほうが吸収率は高く、さらにMK7のほうが体内で使われやすい。
って感じです。全体的には天然が有利なものの、成分によってバラバラなんで、なんとも言いづらいとこなんですよね。
天然と合成にこだわるメリットは少ないかも
ただ、個人的に思うのは「そもそも完全に天然由来のサプリを手に入れるのは超難しいのでは?」ってことです。というのも、全体の10%ぐらいが天然であれば「ナチュラルサプリ!」と宣伝できるので、合成ビタミンをまったく使ってないメーカーってほぼ存在しないはずなんですよ。
ちゃんとしたデータはないものの、一説には90〜95%の商品は合成ビタミンを使ってると考えられてたりもします。そう考えると、合成と天然にこだわる理由はあんまない気がしますねぇ。
それよりも個人的に注意したいポイントとしては、
- どんな栄養でも食物から摂るのがベストなのは間違いない(食品にふくまれるフラボノイドなどのおかげで、ビタミンの吸収率が格段に高くなるので)
- 現代の日本人にとって大半のサプリは不要なので(というか有害なケースも多い)、自分のライフスタイルをチェックしたうえで、足りなそうなものだけを使う(私の場合はビタミンDとマグネシウム)
といったところに気を配ったほうが有用ではないかと思います。ちなみに、ここでは天然と合成で効果が変わってくる理由については触れませんが、気になる方は「異性体」でググッてみてくださいませ。