10代でまったく恋愛経験がない人は何か問題を抱えているのか?を調べた観察研究の話
「10代でまったく恋愛経験がない人は、なんか問題があるのか?」ってところを調べたおもしろいデータ(R)が出ておりました。私も10代のころは完全に”無風”の人生を過ごしてきた人間ですので、これは気になる話なわけです(なんせ非モテだったので)。
これはジョージア大学の研究で、「Healthy Teens Longitudinal Study」っていう統計データを使ったもの。高校2年生594人を対象にしたデータセットになっていて、
- 2003年から2009年まですべての生徒を追跡調査
- 全員に「過去3ヶ月のあいだに誰かとデートをしたり、親密な関係性を結んだことがありますか?」って質問を定期的にぶつける
- ついでに、学生たちの教師にもインタビューを行い、全員のコミュニケーション能力、リーダーシップの高さ、メンタルの状態などもチェックする
みたいな感じで調査を進めております。なんで研究チームがこういう調査をしたのかと言いますと、
多くの社会科学者は、思春期における恋愛関係が、個人の成長と幸福のために重要な要素だと考えている。そう考えると、デートをしない10代は、社会に適応できていないことになるのだろうか? 社会的なはみ出し者なのだろうか?
って問題意識があったからだそうな。10代で恋愛経験がないのはヤバいことなのか?ってことですね。
で、データをまとめた上で、全体の恋愛傾向を以下のように分類しております。
- 交際しないグループ:7年間のうちに1.1回しかデートをしていないか、まったくデートをしたことがないグループ。全体の16%を占める。
- 交際が増加したグループ:時間とともにデートの回数が増加したグループ。中学校では交際がなかったが、高校では交際の回数が増えていくケースが多い。7年間のうちに特定のパートナーを持った回数が平均3.5回で、全体の24%を占める。
- 交際が減ったグループ:中学校では交際をしていたが、それから数年間はデートの回数が減ったグループ。研究の期間中、平均で4.6回のデートしたと報告しており、全体の22%を占める。
- 交際が多いグループ:「特定のパートナーがいるか?」という質問に、ほぼ毎回「はい」と答えたグループ。研究の期間中、平均して5.9回のデートをしたと報告しており、全体の38%を占める。
ここからさらに、全学生のコミュ力や幸福度とくらべたところ、全体的にはこんな傾向が確認されました。
- もっともソーシャルスキルとリーダーシップの能力が高かったのは、まさかの「交際をしないグループ」だった
- ほぼ交際経験がないグループは、抑うつのスコアも低い傾向があり、悲しみや絶望などのネガティブな感情も経験していなかった
ってことで、実は恋愛経験がない若者のほうが実はコミュ力があり、精神的にも健康だったらしい。うーん、意外。
研究チームいわく、
交際をしない若者は、総じてうまくやっている。恋愛経験を若者の通過儀礼と考えるのは間違いだ。
とのこと。「非モテでパートナーがいないやつはダメだ!」みたいな考え方は実態に即してないぞ!ってことですな。
「交際経験がない若者ほど実は幸福」って傾向があらわれた理由は謎なんですけど、研究チームはこんなことを言っております。
先行研究によれば、恋愛関係にあるティーンエージャーは、うつ病の症状を経験しやすい傾向がある。恋愛関係は複雑で、長続きしないことも多い。事実、青年期の自殺の主な予測因子の1つは、特定のパートナーとの破局だ。
10代の恋愛といえばよいことだらけのようだが、実際には恋愛なんてトラブル続きなことが多いし、いざ破局したらそのダメージは甚大だしで、実際には幸福度の低下につながっちゃうケースも多いのでは?ってことですな。まぁ10代のころに何もなかった人間としては「そういうもんですかねー」ぐらいの感想ですが(笑
さらにチームいわく、
いまの世界では、みんなたくさんの性的指向を持ち、それぞれに多数の選択肢を持っている。交際がないからといって社会に適応していないわけではないし、社会的能力が欠如しているわけでもない。それぞれの学生は、それぞれに独自のライフスタイルを選び、どちらの選択肢が正しいといったこともない。
ってことで、選択肢が増えた現代では「恋愛の地位も下がってるんやで!」って視点が強調されておりました。まぁ10代のころに何もなかった人間としては「そういうもんですかねー」ぐらいの感想ですが(2回目