トウガラシの辛味成分「カプサイシン」で筋トレがはかどるぞ!という実験のお話
カプサイシンといえば、トウガラシにふくまれる辛味成分。一般的にはダイエットに効く成分として知られているわけですが、最近は「運動のパフォーマンスアップにもいいのでは?」とか言われております。カプサイシンには代謝アップ作用があるんで、そのぶん身体機能も上がるんじゃないかと考えられるんすよね。
といったところで、近ごろは「カプサイシンは筋トレにもいいぞ!」と主張するデータ(R)が出ておりました。
これは11人の男性を対象にしたテストで、少なくとも1年間は週3〜5日の筋トレを続けてる人だけを選んだとのこと。年齢は平均で23.3歳で、BMIは22前後になっております。
まずは実験の流れを簡単に紹介すると、こんな感じです。
- 被験者に12mgのカプサイシン(またはプラセボ薬)を飲んでもらい、それから45分間の休息
- 軽いウォームアップをしつつ再び12mgのカプサイシン(またはプラセボ薬)を飲んでもらう
- 最大パワーの100%で5kmのランニングをしてから10分の休憩
- 1RM70%の負荷でスクワットを4セット
そんなわけで、合計24mgのカプサイシンを取りつつスクワットをして、本当にパフォーマンスが高まるかどうかをチェックしたわけですね。実験はクロスオーバー試験になっていて、各参加者は7日間の間隔をあけて2回の検査を受けております。
ときに、ここでわざわざカプサイシンの投与を2回に分けた理由としては、
- カプサイシンは摂取から約45分で血中濃度がピークに達して、約105分以内に血中からほぼ完全に消失する
って性質があるからです。このあたりは、カプサイシンを運動に使う人は押さえておきたい知識っすね。
でもって、それでどんな結果が出たのかと言いますと、
- 5キロのランニングでカプサイシンの効果を計測すると、RPE(主観的な運動のツラさ)が8.1±1.3から6.9±0.9に低下した(効果量d=1.0)。
- また、ランニング時のピークの心拍数に影響はなかったが、カプサイシンの平均心拍数(153±13bpm)はプラセボ(158±12bpm)より有意に低かった(効果量d=0.4)
- スクワットでカプサイシンの効果を計測すると、1セットあたりのレップ数がプラセボ(30.5±10.2回)よりもカプサイシン(34.9±8.2回)のほうが増えた
という感じになってまして、シンプルに言い換えてみると、
- カプサイシンは運動のツラさを減らすのに役立つ!(それゆえに筋トレの回数も増やせる)
って傾向が見て取れるわけであります。どうらやカプサイシンの刺激が主観的なエクササイズの疲労度を軽くしてくれるみたいなんすよね。
ちなみに、同じ研究チームは、過去に1500m走でもカプサイシンの効果を調べてまして(R)、このケースでもカプサイシンを12mg飲んだグループはパフォーマンスが改善し(371.6±40.8秒 vs 376.7±39秒)、主観的な運動の辛さが低下してたりします(18.0±1.9 vs 18.8±1.3ポイント)。
そんなわけで、まだ「カプサイシンは確実なパフォーマンスアップサプリだ!」とまでは言えないものの、なかなか可能性がある成分だとは言えるんじゃないでしょうか。もっとも、カプサイシンは胃腸を荒らしやすい成分なんで、筋トレ用に使いたい時は「カプシEx」みたいに身体に優しいものを使ったほうがいいんじゃないかと思った次第です(値段が高いのが難点ですが)。