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女性は生理周期によってカフェインのパフォーマンスアップ効果が変わるのか?問題

 

数ある運動系サプリのなかで、もっとも研究が進んでいる成分といえばカフェイン。あくまで条件つきではありますが、カフェインで運動のパフォーマンスが上がるのはほぼ確実でしょう。

 

 

ただし、そこで最近よく耳にするのが「女性は生理周期でカフェインの影響が異なるのでは?」ってポイントであります。女性ホルモンによる気分や血圧の変動が、運動のパフォーマンス変動に影響をあたえる可能性は昔からよく言われてきたんですよね。

 

 

ってことで新しいデータ(R)は、生理周期とカフェインの関係を調べてくれていて勉強になりました。この手の問題を調べた研究は今までになかったはずなんで、非常によろしいのではないでしょうか。

 

 

これは、18歳から40歳までの女性13人を対象としたテストで、二重盲検ランダム化クロスオーバーを採用しております。参加者の年齢は平均31歳で平均BMIは21.2、最大酸素摂取量は48.1 mL/kg/分なんで、身体能力が結構ある人だけを選んでる感じですね。

 

 

実験期間は4週間で、デザインはこんな感じになってます。

 

  1. 運動する60分前にカフェインカプセルまたは偽のカプセルを飲んでもらう(カフェインの量は体重1kgあたり3mg)
  2. 卵胞期初期、排卵前、黄体中期のそれぞれの周期でサイクリングをしてもらう
  3. どのタイミングでカフェインの効果がもっとも高くなったかをチェックする

 

ってことで、女性ホルモンの分泌量によってカフェインの効果の違いをチェックしたわけですね。

 

 

でもって、どんな傾向が確認されたかと言いますと、

 

  • プラセボと比較した場合、3つの月経期の全てでカフェインはピークパワーを有意に増加させた。データ上は、いちおう黄体中期の伸びが一番大きいものの、全体的にみれば月経期による効果の違いはそんなにない感じ

 

  • ベースラインと比較した場合、カフェインは卵胞期初期で最大酸素摂取量を大きく増加させたが、排卵前または黄体中期では影響がなかった

 

みたいになってます。最大酸素摂取量の変化については、卵胞期初期ならカフェインで4.5%の改善が認められたそうで、これは悪くない数字っすね(最大酸素摂取量が上がったってのは、要するに持久力が上がったってことです)。

 

 

というわけで、この実験を見る限りは、

 

  • エクササイズの量を増やしたい時は、卵胞期初期にカフェインを使うといい‥…のか?

 

ぐらいの気がするわけですけど、この実験にはいろいろと難点がありまして、

 

  • カフェインの作用への個人差がやたらと大きい
  • サンプルサイズが小さいんで検出されなかった可能性も高い
  • そもそもカフェインの量が少ない

 

ってあたりは悩ましいところです。特に影響が大きそうなのは最後のポイントで、たいていの実験では体重1kgあたり6mgのカフェインを使ってるんですよね。対して今回の実験は体重1kgあたり3mgなんで、本来のカフェインの力が出なかったのかなーって印象であります。

 

 

まぁまだ研究例が少ないジャンルなんで、どう考えるかは難しいんですけど、

 

  • 現時点では生理周期によるカフェインの変動は気にしなくて良さげ
  • カフェインを使うなら体重1kgあたり6mgを飲むのが良さげ

 

ぐらいのことは言えそうであります。どうぞよしなに。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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