心配性の人がモチベーションを上げたければ「都会の写真」か「自然の怖さ」を表現した写真を見よう
「自然はメンタルに効く!」って話を何度か書いております。もともとヒトの身体には「自然への欲求」がプリインストールされているため、森や川を見ると自動的に脳の働きが回復していくようなんですな。
心配性の人は「都会」のイメージでメンタルが回復する
が、新たに出た論文(1)では、「心配性の人は都市のほうが脳が回復する!」ってデータが出てておもしろいです。研究者いわく、
これまでの研究により、ヒトの認知機能は自然が多い環境のほうが回復しやすいことがわかっている。しかし、この見方は一方的ではないだろうか?
とのこと。自然がメンタルに効くのは間違いないんだけど、そこにはもうちょい細かなニュアンスがあるんじゃなかろうか、と。
これはプロビデンス大学の研究者による実験で、参加者の神経症傾向をチェックしたあとで、「AとNを使わずにエッセイを書いてください」と頼んだんだそうな。めんどうな作業でメンタルを消耗させたわけですね。
その後、みんなに「自然」と「都市」に関する言葉と写真を見てもらったところ、
- 心配性な人は「都会」の写真を見たほうが脳の疲れが回復した!
- 心配性じゃない人は「自然」の写真を見たほうが脳の疲れが回復した!
といった傾向がハッキリ出たそうな。心配性の人は「都会」のイメージでメンタルが回復するという、人間の本能に逆らった結果が出ております。おもしろいですねぇ。
ウッディ・アレンに自然は似合わない
が、この実験には続きがありまして、
- 心配性な人は「自然の恐ろしさ」を表す写真を見たほうが回復した!
- 心配性じゃない人は「都会の静けさ」を表す写真を見たほうが回復した!
って結果も出てるんですな。「自然の恐ろしさ」ってのは「崖」とか「吠える熊」とか「雷」みたいなやつで、「都会の静けさ」ってのは「図書館」とか「喫茶店」みたいなやつ。つまり、
- 心配性じゃない人は普通に静かな環境で脳が回復する
- 心配性の人は不安やイライラをかき立てる環境のほう回復する
ってことですな。研究者いわく、
人間は自分のパーソナリティに合った環境でうまく機能する。ウッディ・アレンのように神経質な人物が森のなかにいる場面を想像して欲しい。おそらく彼は元気になるよりも不愉快な気分になるだろう。
とのこと。確かにウッディ・アレンに自然は似合いませんな(笑)
心配性の人がもう1度やる気を出したければ不安な環境に身を置く
こういった現象が起きる原因については論文に書かれてないんですが、おそらくは「人見知りの第一の強みは「不安感」」で書いたこととつながってるんじゃないかと。
ざっくり言えば、神経症傾向人は、気持ちがやすらぐ環境だと脳のパフォーマンスが下がってしまい、逆に不安を感じたほうが機能が高まるって話であります。さらにくわしくは「ネガティブ思考で成功するための「防衛的ペシミスト」活用法」などをご参照ください。
もちろん、この実験は短期間の話なんで、「心配性の人はつねに不安な環境に身を置こう!」ってことじゃありません。長期的にみれば、心配性の人も静かな自然環境で気持ちをリラックスさせたほうがいいのは間違いないです。
つまりこの実験から学べることは、
- ヘトヘトに疲れる作業をしたあとで、もう1回「やる気」を出さねばならないような場面では、
- 心配性の人は不安をかき立てるような環境に身を置いたほうがよい
- 心配性じゃない人は静かに休める環境に身を置いたほうがよい
ってことかと思います。わたしも心配性な人間なんで、このあたりはよくわかるなぁ。リラックスできる環境だと一気にやる気がなくなるんですよね…。