体脂肪を減らしてダイエットに役立つ…かもしれない腸内細菌はこれだ!
プロバイオティクスで肥満は防げるか?
こないだ「腸内フローラとダイエット」の話をちらっと紹介したところ、「くわしく!」というご要望をいただきましたんで、もうちょい書いてみます。
もともと「腸内細菌がデブに関係してるんじゃない?」って説は動物実験(1)から出てきたもの。痩せたマウスの腸内細菌を太ったマウスに移したら、一気にデブマウスがスリムになったんですよね。
そこから一気にヒトを対象にした研究が進みまして、参加者の便を調べまくったところ、
- ファーミキューテスが多い人は太め!
- バクテロイデスが多い人は痩せてる!
って傾向がわかったんですね(2,3)。そんなわけで、ファーミキューテスを「デブ菌」、バクテロイデスを「痩せ菌」などと呼ぶようになった、と。
ただ、だからといって単純に「ファーミキューテスを減らせばOK!」って話にはならないのが人体のおもしろさ。なんせ腸内細菌の働きは複雑なんで、人によって反応も変わってきちゃうんですよ。
実際、プロバイオティクスと肥満の関係は科学の世界でもまだ意見がわかれてまして、例えば2014年のレビュー論文(4)によれば、
ガセリ菌SBT 2055とラクトバチルス・ラムノサスATCC 53103、さらにラクトバチルス・ラムノサスATCC 53102とビフィズス菌BB-12の組み合わせにより、体脂肪と体重が減り、体重の増加を抑えられることがわかった。
みたいな感じ。「ガセリ菌SBT 2055」は俗にいう「ガセリ菌SP株」のことで、雪印メグミルクのヨーグルトが「内臓脂肪を減らす!」と宣伝しているのも、あながち眉唾でもないわけですね(まったく確定した話でもないですが)。
いっぽうで2012年に出た別のレビュー論文(5)だと、「特定のガセリ菌とラクトバチルス・プランタルムは肥満を防ぐ効果があるかも」としながらも、別種の乳酸菌には逆に体重を増やす可能性もあると指摘しております。いやー、難しいですね。
いまのところはガセリ菌SP株がもっとも有力
そんなわけで、以上のデータをふまえると、現時点でもっともダイエットに役立ちそうなのは「ガセリ菌SP株」かと思います。
ガセリ菌は腸内で感染を防ぐ働きをしてるんですが、ここ数年でダイエットに関する研究が増えたんですよ。例えば2015年に日本で行われた実験(6)だと、ガセリ菌が入った発酵乳を2週間にわたって飲んだ参加者は、便として排出される脂肪の量が激増したんですな(下グラフ参照)。
ご覧のとおり、かなり明確な差が出ております。なんでもガセリ菌には、小腸が脂肪を吸収するのをブロックする働きがあるみたい。
また、2013年の論文(7)でも「ガセリ菌でBMIと内臓脂肪の数値が下がった!」なんて結果がでてまして、どうやら脂肪の排出量が増えたおかげで摂取カロリーが減ったのが原因みたい。おもしろいですねぇ。
もちろん、まだまだデータが少ない段階なんで、これがどこまで一般的な現象なのかは不明。さらには、お腹の調子がいい人には関係がない可能性もあったりします。あくまで現時点ではガセリ菌が有力だってぐらいの話なので、そこはご注意ください。
まあ、よしんばダイエット効果がないとしても、お腹の具合が悪い人はガセリ菌をとっておいて損はないはず。ガセリ菌は、メグミルクのようなヨーグルトはもちろん、キムチやザワークラウト、ピクルスといった発酵食品にもたくさん入ってますんで、積極的に食べてくださいませ。
「サプリでガッツリ試したい!」という方には、スワンソンの「ラクトバチルス ガセリ」が定番です。どうぞよしなに。