鉄分でムダに体を老けさせない4つのポイント
「鉄分のとり過ぎがヤバい!」って話の続きです。前回をざっくりまとめると、
- 鉄分は体内でタンパク質と結びついてフェリチンになる
- フェリチンは超酸化しやすい
- フェリチンが増えると細胞がジワジワダメージを受ける
- 体が老けまくり!
といったところです。もちろん鉄不足はよくないものの、どっちかといえば過剰のほうがマズいかもしれないレベル。
では、「鉄分の害を防ぐにはどうすりゃいいの?」ってのが今回のお題です。
対策1.地中海式ダイエット
当ブログではおなじみ「地中海式ダイエット」。とにかくデータ数が多い食事法でして、アンチエイジングの効果は折り紙つきであります。「どんな方法なの?」という方は「地中海式ダイエット基礎編」をどーぞ。
「地中海式ダイエットって鉄問題にも効くんじゃない?」と言われだしたのは最近の話で、2007年の調査(1)が起点になっております。
これはヴァーヘニンゲン大学の論文で、ギリシャで伝統的な地中海食を続ける人たちと、普通のオランダ人の状態をくらべたんですね。すると、
- ギリシャ人は血中のフェリチンレベルがオランダ人の半分!(69.8 vs 134.2)
って結果だったんですな。地中海食を続ける人のほうが、欧米食よりも格段に酸化レベルが低かったんだ、と。
ここまでの差が出た理由は不明ながら、
- 地中海食はレッドミート(鉄分が多い)の消費量が少ない
- 食物繊維が多いから鉄分の吸収率が低いのかも?
ってあたりが有力候補になっとります。要は魚メインで野菜をいっぱい食えってこってすな。
対策2.プチ断食
こちらも当ブログではおなじみですね。実はプチ断食の手法は鉄対策にも効くんですよ。
その理由は、プチ断食によってヘプシジンってホルモンが増えるから(2)。ヘプシジンは鉄分の代謝をコントロールする役割を持っていて、こいつが増えると腸内の鉄分吸収率は減るようになってるんですな。
そのいっぽうで、逆にヘプシジンを減らす働きを持つのがIGF-1って成長ホルモン。カラダの発達には鉄分が欠かせないんで、自然と吸収率をあげようとするわけですね。
IGF-1は筋肉の成長には欠かせないものの、こいつが多すぎれば発がん率が高まっちゃう諸刃の剣。プチ断食のアンチエイジング効果は、鉄の代謝が変わったおかげでもあるのかもですな。
対策3.献血
前回もちらっと書いたとおり、男性より女性のほうが寿命が長いのは、定期的に血液を排出している可能性が高め。血液といっしょに、余計な鉄分が外に出てるわけですね(そのせいで女性のほうが貧血が多かったりもしますが)。
この件についてはいくつかの観察研究がありまして、いずれも「よく献血をしている人は若い!」って結論になってたりします。たとえば、
- 181人の血液を調べたら、過去半年以内に献血をしていた人はインスリン抵抗性が改善していた(2005年,3)
- 2862人を9年にわたって追いかけたところ、調査のスタート時点から2年前までに献血をした参加者は心疾患リスクが88%も低下していた(1998年,4)
みたいか感じ。観察研究なんでハッキリは言えないものの、なかなか凄い結果になっとります。
これを視る限り、年に1回ぐらいのペースでもいいから献血をしといたほうがいいかも。だいたい1回500ccの献血で200〜250mgの鉄分が体外に出まして、フェリチンのレベルが37%ほど減ると考えられておりますので。
対策4.ポリフェノール
ポリフェノールが体にいいのは有名な話。実は、その原因のひとつとして「鉄分の吸収をブロックするからじゃない?」って考え方もあるんですよ。
実際、ポリフェノールが鉄と結びついて体の外に出るってデータは豊富(5)で、とくにケルセチン(タマネギに多い成分)の効果が高いと考えられております。
また、1983年の実験(6)だと、コーヒーや緑茶のポリフェノールもかなり鉄分には有効。だいたいコーヒーが40%、緑茶が64%ほど鉄分の吸収を減らす作用が確認されております。逆に言えば、貧血気味の人は緑茶を飲みすぎないほうが吉。
まとめ
ってことで、わりと精度の高い鉄分対策をまとめてみました。くり返しになりますが、鉄不足も体にはダメージがありますんで、まずは血液検査などで自分のフェリチンレベルをチェックしていただければと思います。貧血検査をやってるクリニックなら、すぐに診てくれるはず。