「糖質制限 VS. 高糖質」1年で本当に糖尿病に効くのはどっちだ?みたいな実験
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/06/vs-1.html?m=0
糖質制限で糖尿はどこまで改善する?
糖尿病をやわらげるにはカロリー制限と運動がベストなのは間違いないんですが、近ごろは「糖質制限こそ至高!」みたいな話もよく聞くわけです。糖があふれてるんだから糖質を減らせばいいんじゃないの?ってアイデアは直感的にわかりやすいですもんね。
ただ、いまのところ「糖質制限が糖尿に効く!」とバッチリ示した実験が少ないのが難しいところ。まだなんとも言えない状況だったりするわけです。
そんななか、近ごろチェックしたアデレード大学の論文(1)は、なかなか良い感じでした。
糖質制限と高糖質の違いを1年くらべた
これは糖尿病に悩む115人の患者さんを対象にした研究で、年齢は35から68才。実験期間はなんと1年で、この手の研究としてはかなり頑張った内容になっております。
実験では、参加者を2つのグループにわけまして、
- 糖質制限ダイエット:糖質は1日50グラムまで。糖質14%、タンパク質28%、脂肪58%で構成
- 高糖質ダイエット:糖質53%、タンパク質17%、脂肪30%で構成
って感じ。1日の食事量は、みんな普段の摂取カロリーからマイナス30%にしぼったそうな。
さらに全員にエクササイズも指示されまして、1回60分の有酸素と筋トレを週3で行ったみたい。つまり、標準的な糖尿治療のプロトコルを使いつつ、糖質の量だけを変えて違いをみたわけですな。
基本的にはどっちもあんま変わらない
で、結果です。
- 体重:糖質制限は9.8kg減、高糖質は10.1kg減
- HbA1c:両グループとも1%減
- 空腹時血糖:糖質制限は0.7 mmol/L 減、高糖質は1.5 mmol/L 減
- LDLコレステロール:糖質制限は0.1 mmol/L 減、高糖質は0.2 mmol/L 減
- HDLコレステロール:糖質制限は0.1 mmol/L 増、高糖質は0.06 mmol/L 増
- 体内の炎症(CRP):糖質制限は0.9 mmol/L 減、高糖質は1.2 mmol/L 減
- インスリン抵抗性:両グループとも同じぐらい改善
- 血糖変動:糖質制限のほうが2倍ほど安定(=1日の血糖値の上がり下がりの幅が安定している)
というわけで、個人的な所感をまとめると、
- なんだかんだでカロリー制限と運動が糖尿病改善の基本。この2つををやっとけば、糖質の量に関わらず基本的な数値は改善する。体重の減り方もほとんど同じ(というか高糖質のほうが多めに体重が減っている)。
- ただし、この実験では、糖質制限のほうが脂質と血糖変動の数字が良くなっている。過去のデータだと糖質制限でLDLが増えたって報告もあるので、このあたりは謎。この実験では不飽和脂肪酸をメインに使ってるのと、糖質制限グループのほうが高タンパク食なんで、そのせいかも。
みたいな感じです。まー、やっぱ糖質量にはこだわらなくてよさげですが、ひょっとしたら糖質制限で心疾患リスクが下がるかも?ぐらいの印象でしょうか。糖質制限に向いてる方なら、試してもいいかもですねー。