手軽に意思力を上げるメンタルトリック「未来の0円より今の0円」
セルフコントロールを上げるメンタルトリックとは?
日ごろから「セルフコントロール」に関する話が多い当ブログ。なにせ、近年の心理学では「人生の成功に欠かせない万能能力」とまで言われてまして、そりゃあ気になるってもんです。
で、新しい論文(1)では「手軽にセルフコントロール能力を上げるメンタルトリックがあるよ!」って話になってて参考になりました。
30日後の0円と今の0円
これはカリフォルニア大学の実験で、まずは122人の学生に、
- いま15ドルをもらう
- 30日後に20ドルをもらう
の2つを選んでもらったんだそうな。目先の欲望を選ぶか、それとも少しガマンして大きな額を取るか。セルフコントロール実験としては定番の手法ですねー。
が、ここで少し違うのは、選択の際に学生を2つのグループにわけたとこ。
- 「いま1500円をもらうか、それとも30日後に2000円をもらうのと、どちらがいいですか?」と聞く
- 「いま1500円をもらって30日後に0円になるのと、いま0円をもらって30日後に2000円が手に入るのと、どちらがいいですか?」と聞く
って感じで聞き方を変えたんだそうな。1番めのグループは選択肢がそれぞれ独立しているのに対し、2番めは「今の自分」と「将来の自分」につながりをもたせたわけですな。
その結果は、みなさんのご想像どおり。2番めのグループのほうが、「30日後に2000円をもらう」を選ぶ確率が格段にアップしたんですよ。
想像力を効かせると衝動そのものが消える
さらに研究チームは別の調査もしてまして、参加者の脳をスキャンしたうえで、再び参加者たちに上の実験と同じような選択をしてもらったんですね。すると、
- 単純に「いまの1500円と30日後の2000円」を選んだ参加者は、脳の「意思力」に関係するエリアが活性化していた
- 「いま1500円をもらって30日後に0円」の方法で選んだ参加者は、脳の「想像力」に関係するエリアが活性化していた
って違いが出たんだそうな。この結果に対して研究者いわく、
意思力は「目先の欲望」にストップをかける働きを持つ。そのいっぽうで想像力は、「目先の欲望」が形成されるのを防ぐのかもしれない。
とのこと。意思力は衝動のブレーキとして働くんだけど、想像力は衝動そのものを打ち消す働きを持つのでないか、と。おもしろいですねぇ。
人間はみんなガマンが嫌いな生き物だ。しかし今回の研究結果では、イマジネーションによって自制心が維持しやすくなることを示した。意思の力を使うよりも現実的だろう。
ってことでして、いろいろと使い勝手がよさそうなテクニックですなー。