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幸福になるためのタスク管理法「パーソナルプロジェクト分析(PPA)」入門 #4「プロジェクト評価編」

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 PPAツールをいかに実生活に活かすか

パーソナルプロジェクト分析入門」の4回めです。ここまでパーソナルプロジェクト分析(PPA)に使う技法を紹介してきたんで、ここでは「ツールをどう活かせばいいの?」みたいなところをまとめとこうかと。

 

 

ざっくりおさらいすると「パーソナルプロジェクト」は「毎日続けるいろんな行動」のことです。というと一般的な「タスク」の概念と変わらないようですが、ここに「文脈もいっしょに考えないと意味なくない?」ってアイデアを足したのがポイント。

 

 

たとえば「体を鍛える」ってパーソナルプロジェクトがあった場合、

 

  • モテたいから鍛える
  • 糖尿病を治すために鍛える

 

の2つでは、困難さや達成感が違ってくるのは当然ですからね。このへんを考えないと優先順位もつけらんないし、いくらタスクをこなしても不幸になるばっかじゃないの?というわけで、書き出したプロジェクトを採点したり、プロジェクトが引き起こす感情をまとめてみたりと、いろんなツールで今の暮らしをチェックしたんですな。

 

 

ただし、「パーソナルプロジェクト分析」のツールには、これという決まった使い方がなかったりします。PPAってのはオープンエンドな手法を採用してまして、「プロジェクトを分析したら後は自分で答えを出してね!」って考え方なんですね。マーケティングツールみたいなもんですな。

 

 

とはいえ、ある程度のガイドラインがあったほうが便利でしょうから、ここでは「PPAツールの分析をどう使うの?」ってあたりを。

 



 

 

使い方1.「幸福感」をあげる

まずは「PPAツール」で日々の幸福度を上げるには?ってとこから。このへんはブライアン・リトル博士が何度か検証を行ってくれてまして、まず第1のポイントとしては、

 

  • 「プロジェクトの意味」と「プロジェクトの成功度」のバランスが一番大事!

 

って結果が出ております。自分にとって重要でありながら、同時に成功度も高くないと幸福度はあがらないんだよ、と。

 

 

ただし、ここで難しいのは、基本的に両者がトレードオフの関係にあるとこ。たとえば「トイレの後は手を洗う」ってプロジェクトは成功度が高いでしょうが、身についたところで人生の意味が深まることはなさそうですからね。

 

 

ってことで、幸福度をうまく上げるためには、意味と成功率のバランスを取るのが大事。具体的には「PPAレーティングマトリックス」を見つつ、以下の項目をチェックしていきましょう。

 

  • プロジェクトの意味に関わる項目
    • 重要性
    • 自己同一性
    • 価値観の一致
    • 他者からの重要性
    • 自律性

 

  • プロジェクトの成功度に関わる項目
    • 困難さ(低いほどよい)
    • 成功率
    • 支持レベル
    • 進捗状況
    • 時間適正

 

これらの数値をプロジェクトごとにくらべてみて、もっとも「意味」と「成功」の数値のバランスがよいものを選べばOKであります。

 

 

バランスが良いプロジェクトをいくつか選んだら(5つぐらいが基本)、続いて「プロジェクトインパクトマトリックス」をチェック。選んだプロジェクトの関係性をながめつつ、「もっとも幸せになれるものってなによ?」を抜き出していくとよい感じ。あとは、その優先順位に従ってプロジェクトをこなしていただければ。

 

 

ちなみに「英語をペラペラに」みたいな成功率が低そうなプロジェクトは、とりあえず「プロジェクトの下位分析」をやってみたうえで、「英語の問題集を一冊解く」ぐらいの難易度に変えてみればよいかと思います。

 

 

使い方2.「人間関係」を改善する

良い人間関係は暮らしの満足度を左右する大事な要素。もちろんパーソナルプロジェクトも周囲の関係なしには成り立ちません。

 

 

リトル博士いわく、「パーソナルプロジェクトを周囲と共有するほど人間関係は良くなる」とのこと。プロジェクトをわかちあうことで共感が高まり、自然と人間関係が改善されてくわけっすね。

 

 

ってことで、人間関係に効かせたい場合は、「PPAレーティングマトリックス」の以下の項目をチェック。

 

  • 透明性
  • 他者からの重要性
  • 支持レベル

 

これらの数値が抜きん出たプロジェクトを優先すれば、人間関係が良い方向にむかいやすくなるわけですな。

 

 

使い方3.「ストレス度」を把握する

似たようなプロジェクトをこなしていても、人によってストレスの感じ方は違うもの。一般的に、ストレス度が高いプロジェクトの量が多い人ほど、メンタルをやられてたり、体を壊してたりするケースが多いことがわかってるんですな。

 

 

ここで大いに役立つのが「プロジェクトの感情マトリックス」であります。使い方は簡単で、

 

  1. ポジティブな感情のポイントを足して平均を出す(愛情、喜び、希望)
  2. ネガティブな感情のポイントを足して平均を出す(悲しさ、怖れ、怒り、イライラ、不安、落ち込み)
  3. 2つの平均をくらべる

 

これだけ。どれだけ「PPAレーティングマトリックス」の「やりがい度」が高くても、ネガティブな感情のほうが大きい場合は、ちょっと考えたほうがいいかも。

 

 

使い方4.「コアプロジェクト」を把握する

「コアプロジェクト」ってのは、自分の存在を左右するレベルの活動のこと。最近の認知行動療法でも「自分が本当に望むものを把握するのは超大事!」とよく言われるとおり、人生の方向を決めてくれる重要なポイントであります。

 

 

こいつが定まってないと、つい目先の欲望に流されたり、大して影響のないプロジェクトへムダに時間を使いがち。その結果として生活の質も下がっちゃうんですな。

 

 

コアプロジェクトを見つけるには、「PPAレーティングマトリックス」のなかから、

 

  • 重要性
  • 価値観との一致
  • 自己同一性

 

を探すのが基本。この3つの合計点が高いものほど、自分にとってのコアプロジェクトである可能性は高まります。

 

 

同時に「プロジェクトインパクトマトリックス」 を見てみるのも良い方法です。マトリックスの全体を見わたしてみると、「なんだか++の数が多いなぁ…」って項目があるのに気づくはず。それがコアプロジェクトである可能性が大です。

 

 

というのも「パーソナルプロジェクト」ってのは、「コアがうまくいってると全体的なプロジェクトも上手く進みやすい」って傾向があるんですよ。まずコアを押さえることで、人生がスムーズに運びやすくなりやすいわけっすね。

 

 

まとめ

そんなわけで、PPAツールの大きな使い方をまとめてみました。まぁツールにプロジェクトを書き込むだけでも、なんとなく自分の人生が大きな視点で浮かび上がってきますんで、日々の指針にはなるかと思います。

 

 

くり返しになりますが、あくまで「パーソナルプロジェクト分析」はオープンエンドなシステム。定期的にプロジェクトを棚おろしして、アップデートしていくのが肝だったりします。まずはゲーム感覚で楽しんでいただければ幸い。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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