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幸福になるためのタスク管理法「パーソナルプロジェクト分析(PPA)」入門 #3「インパクトマトリックス編」

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パーソナルプロジェクト分析入門」の3回めです。


ここまで、自分が取り組んでいるプロジェクトをリストアップしたうえで、それぞれが自分の感情にあたえる影響などを細かくチェックしてきました。今回はさらに進んで、各プロジェクトごとの影響を分析していきましょう。




ステップ5.プロジェクトインパクトマトリックス
人生でひとつのプロジェクトにしか取り組んでいない人はいないはず。たいていは平均でつねに10〜15種類のプロジェクトを抱えていて、それぞれが複雑にからみあっております。このへんをときほぐさないと、「どのプロジェクトが幸福感に効くの?」ってとこがわかりづらいんですよね。


ってことで使うのが、「プロジェクトインパクトマトリックス」であります。

スクリーンショット 2017 06 10 13 33 40

こんな感じの表に、ステップ1で選んだ10のプロジェクトを入力。そのうえで、各プロジェクトが与えあう影響を採点していきましょう。具体的な採点の方法は、

  • とても良い影響がある:++
  • 良い影響がある:+
  • ニュートラル:0
  • 悪い影響がある:ー
  • とても悪い影響がある:ーー


って感じです。といってもわかりにくと思うんで、私の例の一部をあげときます。

Ppa3


たとえば「ベンチプレスで100kgをあげるぞ!」 ってプロジェクトは、「テコンドーで黒帯を取る」ってプロジェクトに役立つとかんがえられるので「++」の評価。「瞑想リトリート」はストレス低減の効果で仕事が進みそうなので、「年間に13冊の書籍を作るぞ!」ってプロジェクトへの影響には「+」をつけております。


ここで大事なのは、「プロジェクトA→B」への影響と「プロジェクトB→A」への影響が必ずしも同じにはならないとこ。たとえば「猫と遊ぶ」プロジェクトが「年間書籍13冊」プロジェクトに対して良い影響をあたえますが(猫と遊ぶと仕事のストレスが消えるので)、「年間書籍13冊」プロジェクトは「猫と遊ぶ」プロジェクトには悪い影響をあたえております(たんに仕事量が多くて猫と遊ぶ時間が減るから)。


このあたりを考えつつパーソナルプロジェクトの相関関係をみていくと、かなり人生の見通しが開けてよろしいのではないかと思います。プロジェクトインパクトマトリックスのPDFも置いときますんで、適宜お使いくださいませ。


ステップ6.プロジェクトのヒエラルキー分析
ここまでのステップでも、だいぶパーソナルプロジェクトの見晴らしはよくなったはず。ここでダメ押しとして、さらに各プロジェクトの「意味」や「意義」を深掘りしていくといい感じです。


具体的には、それぞれのプロジェクトのヒエラルキーを探っていくのが基本になります。

▼プロジェクトの上位分析

まずはステップ1で選んだ10のパーソナルプロジェクトから、さらに自分が「これは大事だ!」と思う5つをチョイス。それぞれに対して、

  • このプロジェクトをふくむ、より長期的なプロジェクト、またはもっとスケールが大きいプロジェクトはなにか?
  • そもそも、自分はなぜこのプロジェクトをやっているのか?

って質問をくり返していきます。たとえば、「食べ過ぎを止める!」ってプロジェクトを展開させるには、

  1. 食べ過ぎを止める ← その目的は?
  2. 体重を10キロ減らす ← その目的は?
  3. もっと見た目をよくする ← その目的は?
  4. 彼女を作る ← その目的は?
  5. 他人とつながる ← その目的は?

って感じになります。どうしても上位のプロジェクトを思いつかなくなったら終了。

また、ひとつのプロジェクトに複数の上位プロジェクトが見つかるケースもよくあります。その場合も、

  1. 食べ過ぎを止める ← その目的は?
  2. 健康になる ← その目的は?
  3. 劣等感を減らす ← その目的は?

といった感じで、すべての上位プロジェクトを洗い出していくのが大事。この作業の過程で「あれ?この上位プロジェクトのほうがしっくりくるな…」と思ったら、現在のプロジェクトリストに組み直せばOKであります。


ちなみに、この手の作業は認知行動療法でもよく使いまして、自分の価値観を洗い出すのに有効かと思います。これまた意外と楽しい作業ですんで、お試しになってみるといいかと。


▼プロジェクトの下位分析

今度はプロジェクトを下の方向に分析していきます。こちらも自分が「これは大事だ!」と思う5つのプロジェクトを選んで、

  • このプロジェクトを進めるために必要なプロジェクトはなにか?
  • このプロジェクトよりも小さなプロジェクトはなにか?

 って質問をくり返していきます。たとえば、「食べ過ぎを止める!」ってプロジェクトを展開させるには、

  1. 食べ過ぎを止める ← 必要なプロジェクトは?
  2. 食べ過ぎに関する本を読む ← 必要なプロジェクトは?
  3. 本を買いに行く ← 必要なプロジェクトは?

みたいな感じ。下位分析の場合はプロジェクトがどんどん枝分かれしていくのが普通でして、

  1. 食べ過ぎを止める ← 必要なプロジェクトは?
  2. ストレスを減らす ← 必要なプロジェクトは?
    1. スケジュールを変える ← 必要なプロジェクトは?
      1. 仕事の量を調整する ← 必要なプロジェクトは?
    2. 猫と遊ぶ ← 必要なプロジェクトは?
      1. 猫を飼う ← 必要なプロジェクトは?
    3. 瞑想を学ぶ ← 必要なプロジェクトは?

といったようになっていくかと思います。これも「これ以下のプロジェクトはない!」って追い込めたら終了。そのなかで「こっっちのほうが幸せになれるんじゃない?」と思うものがあれば、やはり現在のプロジェクトリストに組み直していきましょう。


まとめ
ってことで、パーソナルプロジェクト分析に使うツールはこれが全部です。すべてをやるだけでも、なんとなく「あー、自分はこんな人間なんだ」とか「こういうタイプのプロジェクトを増やしたほうが幸せになれそうだな…」といった方向性が見えてきて楽しいかと思います。


そんなところで次回は、ここまでで紹介したツールをいかに実生活で使っていくかを軽く見ていこうかと。ではまたー。
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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。