フェイクニュースを信じ込みやすい人たちの唯一の共通点とは?
フェイクニュースを信じる人の特徴とは?
「フェイクニュースを信じた相手を説得するのはほぼ不可能!」とか「どんな専門家でも束になった素人の意見にはかなわない!」とか、とかく誤情報に関する研究が増えてきた昨今であります。
いろいろ見てると「もはやフェイクニュースに抗うのは無理なのでは…」って気分になるわけですが、新しい論文(1)では「そもそもフェイクニュースを信じるのはどういう人なの?」ってとこを掘り下げてて面白かったです。
参加者に間違った情報を伝えてみたら…
これはゲント大学の研究で、オンラインで集めた390人の男女が対象。どんな実験かと言うと、まずは全員に「ナタリーさん」という架空の女性のプロフィールを読んでもらったんですね。その際に全体を半分にわけまして、
- プロフィールの最後で、実はナタリーが過去に病院からドラッグを盗んで売りさばいていたという話が明らかにされる
- 普通のプロフィールを読む
の2パターンを読んでもらった後で「ナタリーをどう思うか?」と尋ねたんだそうな。当然、ナタリーの悪事を知らされたグループは、彼女にマイナスの印象を持ったわけです。
続いて、すべての参加者に認知テストを指示して、みんなの言語能力などをチェック。そのうえで、ナタリーの悪事を読んだグループに「あのプロフィールは実は間違いでした。彼女は何も悪いことをしていません」と伝えてから、再び人柄を採点してもらったんですね。つまり、ナタリーの話はフェイクニュースだったわけですな。
認知能力が低い人ほど誤情報に左右され続けた
すると、当然ながら全体的にナタリーの印象は改善してたんですが、ひとつだけ例外のポイントがありまして、
- 認知テストで点数が低かった人(標準偏差で1個分)は、ナタリーに悪い印象を持ち続けた
って傾向があったんだそうな。研究者いわく、
もちろん参加者はナタリーへの態度を変えた。しかし、認知能力が低い参加者の場合、あくまでも変わったのは態度だけで、心のなかではナタリーへのネガティブな印象をキープし続けた。
逆に、認知能力が高い参加者は、より柔軟にナタリーへの印象を変えることができた。
とのこと。ちなみに、この傾向は、「他者への寛容さ」や「権威主義」といった性格特性を取り除いても残ってたそうな。
認知能力は後天的に伸ばしづらいが、合理性ならトレーニングできる
まぁ「知性が低い人ほどスピリチュアルに走りがち」ってデータもありますし、「頭が良ければフェイクニュースにダマされない(またはダマされてもすくに考えを変えられる)」ってのは当然のような気もしますが、いまの時点では、認知能力が誤情報にどう作用してるのかはよくわかっておりません。認知能力がフェイクニュースの修正に役立ってるのかもしれないし、認知能力に関連する他の能力が関わってるのかもしれないし、そのへんは謎。
あと、残念ながら認知能力は生まれつき決まる側面が大きくて、後からトレーニングで伸ばすのはかなり困難だったりします。ただし、いっぽうで合理性やクリティカル・シンキングあたりは後天的に伸ばすのが可能で、認知能力をアシストしてくれるのが嬉しいところ。
その点では、自分のバイアスに気づく作業をくり返すのが、間違った情報にダマされないコツなんでしょうねぇ。