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君はまだわざわざ会社に出勤しながら働いとるのかね?というフロリダ国際大学の研究

Medvedev

 

近ごろの心理学の世界では「出勤っていらなくね?」って考え方が普通なわけです。過去にも「出勤はオワコン!在宅ワークのほうがみんな幸せになれるよ!」ってデータを取り上げましたが、どうやら会社になんか行かずに自宅で仕事をしてた方が能率は上がるし、従業員の幸福感も高い傾向があるんですよね。

 

 

まぁ考えてみれば、いまみたいに「みんなで一カ所に集まって頑張ろう!」みたいな働き方って産業革命の名残りがデカいので、情報処理の作業がメインになった現代では食い違いも出てきちゃうわけですよ。だったら別に出勤にこだわる必要もないですもんね。

 

 

といったところで新しい論文(1)では、「どんな人が在宅勤務のメリットを受けやすいのか?」って問題について調べてておもしろいです。

 



 

これはフロリダ国際大学のリサーチで、273人の会社員が対象。みんなに自宅で働いてもらった効果を確かめたんですけど、その際に以下の4ポイントをチェックしたんですな。

 

  1. 仕事の複雑さ:難しい作業が多い人は、在宅勤務に向きか不向きか
  2. 問題の量:解決すべき問題が多い人は、在宅勤務に向きか不向きか
  3. 相互依存レベル:いつも職場で同僚と持ちつ持たれつの関係を築いてる人は、在宅勤務に向きか不向きか
  4. ソーシャルサポート:自分の仕事を支援してくれるような職場で働いている人は、在宅勤務に向きか不向きか

 

さて、それで何がわかったかと言いますと、

 

  • ポイント1:複雑な仕事を抱えてる人ほど、自宅で仕事をしたほうがパフォーマンスが上がる。実際に会社からの評価も高かった。

 

  • ポイント2:解決すべき問題の量が多い人ほど、やっぱり自宅仕事のほうがパフォーマンスは上がる。

 

  • ポイント3:職場で同僚に頼るケースが多い人ほど、自宅で働いた方がメリットを得やすい

 

  • ポイント4:自分のことを支援してくれない職場で働いている人ほど、在宅勤務のメリットが得られやすい

 

みたいな感じです。基本的にはどんな人でも自宅で作業したほうがパフォーマンスは上がりやすいんだけど、その効果には段々があるわけですな。

 

 

いちおう、それぞれのポイントを解説しとくと、

 

  • 複雑な仕事を抱えてる人は、自宅の方がジャマが入りにくいおかげで能率が上がる。解決すべき問題の量多い人のパフォーマンスが上がる理由も同じ。これはわかりやすいですね。

 

  • 職場で同僚に頼ることが多い人は、自宅の方が自立心が芽生えるせいで逆に作業パフォーマンスが上がる。これはちょっと意外かも。

 

  • 支援がない職場はそもそもブラックだと思われるので、自宅で働いた方がパフォーマンスが上がる。言われてみりゃそうですな。

 

といったところ。つまり、以上の話をまとめると、

 

  • 会社から難しい仕事を任されるようなデキる人ほど自宅で働くべし!
  • 他人を当てにしてばかりの人も自宅で働くべし!

 

みたいになりましょうか。「デキる男はなぜ自宅で働くのか?」みたいな新書が作れそうなデータですね(笑)

 

 

研究者いわく、

 

多くの労働者にとって、在宅勤務には明確にパフォーマンスアップが期待できるし、デメリットはほとんど確認されなかった。なかには在宅勤務でメリットが得られない人もいるが、その場合でも、パフォーマンスの低下が起きる心配もない。

 

とのこと。副作用もなく、かなりの確率で能率が上がるというんだから、いよいよ「出勤ってなんだろう‥‥」みたいな気分になりますなぁ。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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