内向的で暗いな人が外向的で明るい人より大きく優っている能力とは?
こないだも書いたとおり、私は根っから内向的な人間なんですよ。そのおかげで損もあれば得もあったなーと思うわけですが、近ごろ出た論文(1)だと「内向的な人は生まれつき他人の行動を読むのがうまい!」って結論になってておもしろいです。
生まれつき他人の行動を読むのがうまい人と下手な人
これはイエール大学の研究で、被験者は1143人の男女。まずは全員にオンラインでアンケートをお願いして、他人が「こんな場面ではどんな行動を取るだろうか?」を予測する能力をチェックしたんですね。
実際に使われたテストはこちらにありますんで、興味がある方はどうぞ(英語ですが)。アンケートのタイトルは「あなたは天然の社会心理学者?」というもので、生まれつき他人の心や行動を読むのがうまい人は何が違うのか?を調べたわけっすな。
で、ここでは6つの実験が行われてまして、それぞれの目的をざっくり紹介しますと、
- 実験1:他人の心を読むスキルにはどれぐらいの個人差があるか?
- 実験2:個人のどんな違いが心を読むスキルの違いを生むのか?
- 実験3〜5:上記の実験で確認された現象のチェック
- 実験6:心理的なスキルで他人の行動を正しく予想できるのか?
みたいな感じになってます。他人の心や行動を読むのがうまい人の特性を、いろんな形でチェックしていったんですね。
内向的でメランコリックな人ほど他人の行動を読む
さて、それでどんな結果が出たかというと、
- 孤独で自尊心が低い人は他人を読むのがうまい!
- 同じく内向的な人も他人を読むのがうまい!
だったらしい。内向的でメランコリックで孤独な人は、外交的な人よりも格段に他人の行動を正確に予想したらしい。いやー、10年前の自分みたいなキャラだ(笑)
研究者いわく、
一部の人は、社会心理学を学んでいなくとも、対人関係にまつわる心理現象を正解に判断することができた。おそらく、このような人たちは、まだ学問的には確立していない心理現象も正確に予想できるのかもしれない。
とのこと。内向的な人ってのは、生まれつきの社会心理学者でる傾向が強いんだ、と。このあたりは、内向的な人間がちゃんと進化の過程を生き延びてきた理由なんでしょうな。
なぜ内向人間ほど他人の行動を読めるのか?
でもって、内向的な人ほど他人の行動が読めるのは、
- シンプルに外向的な人よりも他人を観察してる時間が長い
- 世の中にそんなに期待してないので、動機バイアス(世の中に「こうあってくれ!」と希望するために起こすエラー)が少ない
- ずーっと自分の内面を考えてるので、自然と心の動きへの理解が深まる
の3点が大きいらしい。確かに、物静かな人ほど他人を丁寧に観察してたりしますからねぇ。外向的な人よりも「動機バイアス」が少ないってのはちょっと笑っちゃいましたが。
そんなわけで、これといった処方箋のある話じゃないんですけど、私と同じく内向人間の皆さまにおかれましては、ぜひ「自分はナチュラルボーン社会心理学者なのだ!」と考えた上で、そのメリットを活かすように動いた方が実りが多いかもしれません。どうぞよしなに。