人生の成功に不可欠なセルフコントロール能力を2倍に高める手法とは?
数ある心理実験のなかでも、もっとも有名なのが「マシュマロテスト」であります。ざっくり言えば、4歳ぐらいの子供に「目の前のマシュマロをがまんできたら、あとでもう一個あげるよ」と言ってみる実験でして、ここで目先のマシュマロを耐えられた子供ほど後の人生に成功しやすかったというんですな。そこらへん、くわしくは「マシュマロを制する者は人生を制す!」などをどーぞ。
で、この「マシュマロをがまんできる能力」(=目先の欲望をこらえて長期的な利益をゲットできる能力)を伸ばすのは難しいよなーってのが心理学界のコンセンサスだったりします。セルフコントロール能力の改善は地道にコツコツと積み上げていかねばならないものなんで、どうしても時間がかかっちゃうんですよね。
が、新しいデータ(1)では「マシュマロテスト」を再現してみたところ、「がまん力って結構ラクに上がるんじゃない?」って結論が出てておもしろいです。
これはコロラド大学ボルダー校の研究で、有名なマシュマロテストとほぼ同じ条件下で追試を行ったもの。しかし、その際にちょっとひねりを加えてまして、
- 子供たちに同じ色のTシャツを着させる
- 全員に「同じTシャツを着た子供の写真」を見せて「この子たちはマシュマロをがまんできるんですよ」と伝える
って感じにしたんだそうな。つまり、「ほかの人も同じようにしたんですよー」と言って圧力をかけたわけですね。
さて、その結果がどうだったかといえば、
- 「ほかの子もがまんできたよー」と言われた子供は、そうでない子供に比べて、マシュマロをがまんする確率が2倍になった!
って感じです。いやー、この手の実験で2倍もの差が出るケースは珍しいっすね。
研究チームいわく、
子供たちのセルフコントロール能力は、彼らが生まれつき持つ能力だけに左右されるわけではない。実際にはコンテクストが重要だ。周囲の人間がどんなことをしているのかが、実は非常に重要なのだ。
とのこと。つまり、心理学でいう「ピアプレッシャー」を使えば、実はセルフコントロール能力は簡単に上がるんだ、と。要は飲食店のトイレでよく見る「いつもキレイに使ってくれてありがとうございます」って貼り紙と同じようなものでして、言われてみればそうですよね。
さらに、
私たちは、よくセルフコントロール能力を「意志力」の問題だと考えがちだ。生まれつきの才能で決まる、何かミステリアスなパワーのようにとらえてしまうのだ。
しかし、現実にはセルフコントロール能力は変えうる。人間は、新しい状況ならセルフコントロール能力の使い方を学ぶことができるし、社会的な理由があったほうがその影響は深まる。
だそうで、人間の意志力はピアプレッシャーで楽に変わるってことっすな。以前には「人間の集中力は伝染する!」なんて話もありましたが、どうやらセルフコントロール能力も伝染するんですねぇ。
そんなわけで、「意志力がなくて……」とお悩みの方は、とりあえずセルフコントロール能力が高そうな人が多いコミュニティに身を置くのも一興なんでしょうな。