一気に痩せたほうがいいのか、それともジワジワ痩せたほうがいいのか?問題を1年かけて調べたぞ!という実験の話
「太った人は痩せたほうがいい」って話に異論がある人は少ないでしょうが、まだまだ議論が続いているのは、
- 一気に痩せたほうがいいのか、それともジワジワ痩せたほうがいいのか?
って問題であります。ダイエットの初期にがっつりとカロリーを減らしてハイスピードで痩せるのと、毎日コツコツとカロリー制限をして長期的に痩せていくのでは、どちらが痩せやすくて健康も崩さずにすむのか?ってポイントっすね。
で、新しいデータ(R)は、この問題を割と長期的に調べてくれていて勉強になります。
具体的には、肥満に悩む101人の女性(45 〜 65歳 )を対象に12ヶ月の介入を行った長期テストで、このタイプの実験としては参加者の数も期間も非常にいい感じではないかと。参加者のBMIは30〜40のあいだでして、かなりの体型な方だけを選んだみたい(ただし糖尿病や骨粗しょう症にはかかっていない)。
でもって、実験中は参加者を層別ランダム化して2つのグループに分けてます。
- ジワジワとダイエットするグループ
- 急激にダイエットするグループ
ジワジワグループは維持カロリー(いまの体重を保つために必要なカロリー)から25〜35%を引いた食事を続け、急激グループは維持カロリーから65〜75%を引いた食事を続けたとのこと。当然、急激グループのほうがスピーディに体重が減るので、カロリー制限が4ヶ月目に達するか、またはBMIが20になった時点でもとの食事にもどしたんだそうな。
また、両グループとも基本的には「置き換えダイエット」の手法を使っていて、KicStartっていう有名な減量シェイクとホエイプロテイン・アイソレートを使って全体のカロリーを削減したみたい。にしても1日65〜75%のカロリー制限を続けるのはかなりツラそうですな‥…。
では、12ヶ月後にどんな違いが出たのかをざっと見てみましょうー。
- ジワジワグループにくらべて、急激ダイエットグループは……
- より多く体重が減っていた(-15.3 kg vs. -8.4 kg)
- 脂肪の総量もより多く減っていた(-10.2 kg vs. -5.5 kg)
- 腹部皮下脂肪もより多く減っていた(-29% vs. -14%)
- 内臓脂肪もより多く減っていた(-52% vs. -21%)
- ウエストとヒップの比率も改善(-4.1% vs. -0.6%)
というわけで、序盤に激しいカロリー制限を行ったグループのほうが良い成績が出てたりします。全体的には体脂肪がかなり減っていて、これを見ると「ダイエットはスタートダッシュをかましたほうがいいのかも?」って気がしてくるわけですね。
もっとも、急激ダイエットグループにも欠点は確認されていて、
- 骨密度がやや減少していた(-3.3% vs. -1.3%)
- 筋肉量もやや多めに減っていた(-3.2 kg vs. -2.1 kg)
といったあたりはやや気がかりなポイントっすね(上記のメリットと比べると数値は小さめですが)。また、その他にも留意しておきたいのは、
- 年齢が高めな肥満の女性しか調べていたいので、男性や若者には当てはまらない可能性も高い(特に女性はダイエットで骨密度が減りやすい傾向もある)
- 実験では体重1kgあたり1gのタンパク質しか取ってないので、もうちょいプロテインを追加したら、筋肉減少などの副作用は防げた気もする
- この研究はホルモンの変化とかは調べてないので、急激なダイエットがもたらすダメージが他にもある可能性は否定できない
といったところでしょう。減量期は普段よりもタンパク質が必要なので、体重1kgあたり1gってのはちょっと少ないかなーって印象っすね(個人的には体重1kgあたり1.6gは欲しい)。
でもって、以上の話をまとめると、
- BMIがかなり大きめの女性は、序盤でガッツリカロリー制限をした方が結果は出やすいかも
- ガッツリカロリー制限は筋肉が減りやすくなるが、それでも脂肪減少のメリットの方が大きそう
- あと、急激なカロリー制限のほうが実験から脱落した人が少ないので(4人 vs. 12人)、置き換えダイエットは意外とキツくないのかも
って感じですね。まぁ個人的にはやはりパレオダイエットや地中海式などでジンワリ痩せていく方が心身にはよかろうと思ってますが、とにかくスピードを求める方は置き換えダイエットに挑むのもいいかもですな。