牛乳を飲むとウエストが細くなって糖尿リスクも減るんじゃないの?というメタ分析のお話
「乳製品はアリかナシか?」って問題はなかなかややこしいものがありまして、
などなど、良い話から悪い話までいろいろあって判断が難しいんですよね。
で、新しいデータ(R)も牛乳に関する新たなポイントをあつかっていて、まずはテーマをざっくりまとめると、
- 牛乳を飲むと体重が減ったり、ウエストサイズが小さくなったりするの?
- 牛乳を飲むとインスリン抵抗性に良いの悪いの?
って感じになります。インスリン抵抗性はご存じのとおり糖尿病のリスク要因なんですが、実は昔から「牛乳が効く!」って報告がチラホラあったんですよ(ただし「全く効果がない!」ってデータも多かったりする)。
ってことでチームは先行研究から30件のRCTを選びまして、2900人の参加者のデータをメタ分析してくれております。残念ながら研究の事前登録は行われてないし、PRISMAのガイドラインも採用されてないんですが、それなりの参考にはなりましょう。
でもって、そこで出た結論は以下のようになりました。
- 14件のデータが、牛乳でHOMA-IR(インスリン抵抗性の指標)が改善すると報告していた(プラセボに比べて標準化差が1.21の違い。BMIが大きめな人ほど効果も大きい)
- 13件のデータが、牛乳でウエストサイズが減ると報告していた。コントロール群と比べて1.09cmの違い。
- 25件のデータが、牛乳で体重が減ると報告していた。コントロール群と比べて0.42kgの違い。
ってことで、どうやら定期的に牛乳を飲むと体型とインスリン抵抗性が改善するっぽい。特段に騒ぐほどの数値でもないですけど、牛乳好きにはうれしい結果じゃないでしょうか。
ただまぁこの研究には気になる点もありまして、
- 研究結果のバラつきがやたらと大きい( I2=92% 〜 94%)
- 全体の26%はバイアスリスクが高いと判定されている(出版バイアスの可能性は低い)
ってとこは悩ましいっすね。特にバラつきの大きさを見てると、リンゴとオレンジを比較しちゃってる可能性もあるかなーと。
また、このデータだけだと牛乳の何が効いてるのかもよくわからないんですけど、
- いちおう過去のメタ分析(R)だと、「牛乳は満足感が高いから食事の摂取量を減らす働きがあるよー」って結果が出てる
- 「高脂肪の牛乳が逆に肥満リスクを下げる!」って報告も意外と多い(R)
って傾向は出てますんで、牛乳の食品満足度の高さがダイエットにつながり、体重が減った結果としてインスリン抵抗性が改善するって経路はありそうにも思うわけです(あとは牛乳のビタミンDがインスリン抵抗性に効いてる可能性もありますが)。
そんなわけで、この結果を持って「糖尿予防の牛乳だ!」とか「ダイエットには牛乳だ!」とまでは申せませんが、とにかく牛乳にはそれなりに健康に役立つ見込みがありそうだなーぐらいにとらえておくといいんじゃないでしょうか。