近赤外線で筋トレのパワーが最大10%も上がる!という実験のお話
「赤外線で筋トレがはかどる!」という風変わりなデータ(R)が出ておりました。なんだか怪しげに思われそうですが、実はそこそこ見込みがある話なんでメモっときましょう。
これは20人の健康な男女を対象にしたテストでして、全体を2つのグループに分けてます。
- 筋トレの休憩中に「近赤外線デバイス」を当てる
- 筋トレの休憩中に「ニセの近赤外線」を当てる
近赤外線デバイスってのは、その名のとおり、トレーニングで酷使した筋肉に0.7 - 2.5 μmの電磁波を当てる治療器のこと。こいつで筋肉の回復が速くなるんじゃないか?ってのが研究チームの仮説であります。
で、もうちょい詳しく実験を説明すると、
- レッグエクステンションを4セット
- セット間の休憩中に近赤外線治療を4分
- トレーニングのパフォーマンスが変わったかをチェック
みたいになってます。近赤外線を使って、最大の筋力や平均パワーにどれぐらいの違いが出たかを調べたわけですね。
そこでどんな違いが確認されたかと言いますと、
- 近赤外線を使ったグループのほうが、最後のセットまでパフォーマンスが維持された!(平均で7〜10%の改善)
だったそうです。当然ながら、普通に筋トレをしてれば後半に進むに従ってパフォーマンスが落ちるものですが、近赤外線を使ったら、この問題が起きなかったんだ、と。光療法って筋トレにも使えるものなんですねぇ。
では、なんで近赤外線が筋トレに効くのかといいますと、まず前提として、筋肉に酸素を運んでいるミオグロビンってタンパク質は、赤外線に反応する性質を持っているんですよ。でもって、
- ミオグロビンが赤外線に反応
- 運搬中の酸素がリリースされる
- ミトコンドリアの働きが良くなる
- 筋肉にパワーが行き渡り、筋トレがはかどる!
みたいな流れでパフォーマンスアップにつながっていくらしいんですな。なるほどねぇ。
というか、実はこのような知見は目新しいものではないようで、すでに2016年には「光療法で筋トレの回数が上がる!疲労感も改善する!」ってなメタ分析(R)が出てたりしたそうな(16件の先行研究をまとめたもの)。さらに2013年の系統的レビュー(R)でも、「光療法で筋肉のダメージ回復スピードが速くなる」なんて結論が出てまして、わりと精度が高い話だった模様。うーん、知らんかった。
ただ、今回の実験に限っていうならば、
- セット間の休憩が4分なので、ちょっと筋トレのリカバリーには長すぎやしないか?
- この研究では専用の高価なデバイスを使ってるので、Amazonで売ってるような安いデバイスで同じ効果が得られるかは割と疑問(実験用デバイスはとにかく出力が大きい)
みたいな問題がありまして、「よっしゃ!近赤外線デバイスを買ってジムに行くぞ!」とはならないのが残念なポイント。実験レベルのガジェットが出たら買ってもいいような気がしますが‥‥。