運動のあとも脂肪が燃えやすい体になる「アフターバーン」はどこまで実力があるのか?のメタ分析
運動をすると、その後でじっとしててもカロリーが燃えやすくなる現象がありますな。俗に「アフターバーン」などと言われる状態でして、運動をするとしばらく安静時の代謝が上がると考えられてるんですね。
が、よくわからないのが、
- アフターバーンって本当に存在するの?
- 存在するとしたらどれぐらいの効果がどれぐらい続くの?
みたいなポイントです。もちろんアフターバーンを報告したデータは過去にもいくつかあるんですけど、正味な実力はよくわかってなかったりするんですよ。
ということで、新しいメタ分析(R)では「アフターバーン」について深掘りしてくれてて参考になりました。
こいつがどんな内容なのかと言いますと、
- 822人の被験者を対象とした22件の研究をピックアップし、そのうち18件がメタ分析にふくまれた
- 研究の基準としては、間接熱量測定(酸素消費量を測定し、その測定値を用いてエネルギー消費量を決定する手法)で、運動の開始時と終了時の安静辞退者を評価したものだけを選んでいる
- ほとんどの研究は、あまり運動をしない過体重または肥満のグループが対象
- 最も短い研究は10日間で、いくつかの研究は2~6週間。大多数の研究は12週間以上で、最長は1年だった
みたいになってます。最終的なメタ分析にふくまれた被験者の数は少ないものの、興味深い内容をあつかってて非常によろしいのではないでしょうか。
ってことで、以下に結果を箇条書きにしていきまーす。
- 有酸素運動と筋トレを併用した場合、安静時代謝は有意には増加しないっぽい
- ただし、信頼区間は1日あたり-13~+161kcalの範囲なんで、だいぶメリットのほうに振ってる印象ではある平均値は1日あたり+74kcalだった
- また、2つの外れ値を除去すると、全体の所見は統計的に有意になり、平均値は1日あたり+61kcal、信頼区間は27~95kcalだった
- 有酸素運動だけで見た場合も安静時代謝を有意には増加させなかったが、信頼区間はわりと偏っていた(-58~+221kcal/日、平均値は82)。
- 筋トレだけで見た場合は、1日平均96kcalの安静時代謝を有意に増加させた(信頼区間は45~147kcal)
- 体重の変化については、「体重に変化なし」と報告した研究では、運動で安静時代謝が有意に増えていた(平均+66kcal/日、信頼区間+3~+129)。「体重が増えた」と報告した研究では、有意な増加は認められなかった
ってことで、どうも筋トレだと1日あたり平均100kcal近く増加するものの、有酸素運動だと似たような現象は起きないっぽい(信頼区間には偏りがあったけども)。筋トレが代謝に影響する理由はまだ謎があるものの、おそらくは筋タンパク質合成と筋肉それ自体の量が増えることによるのだろうなーって感じっすね。
一方で有酸素運動の結果はばらつきが大きくて、運動後に代謝が増えるって研究もあれば、まったく逆を示したものもあったりします。ここらへんは謎ですけど、有酸素運動で筋肉にダメージがあるせいなのかもだし、安静時代謝を測定したタイミングの問題かも知んないですね。
そんなわけで、全体的には「筋トレはカロリーを燃えやすい体にしやすい」ってのは言えそうですが、
- 肥満と過体重の人がメインなので、普通体型の人で同じ傾向が確認されるのかはわからない
- このメタ分析だと、どんなタイプの筋トレが安静時代謝に影響しやすいのかはわからない
といったあたりはご注意ください。おそらく筋タンパク質合成が関わってるはずなんで、筋肥大を狙ったボリュームが多めなトレーニングがいいんだろうなーとは推測してますが。