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今週半ばの小ネタ:「どうぶつの森」で幸福に、心臓に負担がかかる性格、運動するほど腸内環境改善

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

 

「どうぶつの森」で遊ぶほど幸福になれる?

ゲームって言うほど悪くないんじゃない?」みたいな話が増えつつある昨今。新しいデータ(R)では、「ゲームをやるほど幸福になるかもよ?」って結論になってておもしろかったです。

 

 

これはオックスフォード大学の研究で、エレクトロニック・アーツと任天堂とコラボした珍しい内容になっております。具体的には両社から「プラント vs. ゾンビ」と「どうぶつの森」のプレイヤーを集めてもらい、何十万人もの成人にアンケートを実施したんだそうな。どっちも中毒性が高いゲームっすね(「プラント vs. ゾンビ」とかめちゃくちゃ遊んだなぁ……)。

 

 

プレイヤーに何を尋ねたのかと言いますと、

 

  • 過去2週間にポジティブな感情およびネガティブな感情のどっちを体験したか?
  • 過去2週間の間にどれぐらいゲームで遊んだか?(回数と時間)

 

ってのを調べたんだそうな。最終的には、「プラント vs. ゾンビ」から471人、「どうぶつの森」から2,756人の答えが集まりまして、すべての相関をチェックしたところ、

 

  • 2週間の間にゲームで遊んだ時間が長いほど幸福度が高かった

 

って感じだったそうな。もちろん、この研究にはいろいろと注意点がありまして、

 

  • ゲームで遊んでた人とそうでない人の幸福度の差はかなり小さい
  • みんな後からゲームのプレイ時間を見積ったので実際のプレイ時間とズレが大きそう
  • まだプレプリントの論文でしかない(つまり査読は受けてない)

 

ってあたりは大きいので、眉につばしながら受け取っていただければと。まー「スーパーベターになろう!」などを読んでてても、ゲームが幸福度を高めるって話にはそれなりの正当性があると思いますんで、あとは「どういうプレイの仕方をするとゲームで幸福度が上がるのか?」ってあたりを調べて欲しいとこです。

 

 

 

心臓病のリスクが高まりやすいかもしれない性格とは?

心臓病のリスクが高まる性格はこれだ!」みたいな研究(R)が出ておりました。これは、過去にカーネギーメロン大学が行った「ピッツバーグ寒冷化研究3」って実験のデータを使ったもので、このなかには、

 

  • 難しいタスク(トリーアの社会ストレステスト)を行う際にどんな心理的な反応を示すか?
  • 血圧、心拍数、HRVの変化はどんなもんか?

 

って検査がふくまれてたんだそうな。最後には196人分のデータをまとめてまして、どんなことがわかったのかと言いますと、

 

  • 認知的な敵意がある人(簡単に言えば「皮肉」ばっか言ってる人)は、なかなかストレスに慣れないので心疾患リスクが高まるかも!

 

って感じだったらしい。普通は同じようなストレスを何度も経験すると体が慣れてくるもんですけど、皮肉好きな人にはこの現象が見られないため、時間の経過とともに心血管系への負担が増大するかもしれないらしい。皮肉屋はネガティブなことに慣れないので、ずっと同じストレスを感じ続けるんじゃないか、と。

 

 

研究者いわく、

 

皮肉な敵意はより認知的なもので、他人の動機、意図、信頼性についての否定的な信念、思考、態度から構成される。つまり、疑心暗鬼、信頼感の欠如、他者に対する皮肉な信念が強いのだと考えられる。

 

とのこと。皮肉が多い人ってのは他人への信頼感が育まれていないため、そのせいで他者に対して慢性的なストレスにさいなまれてるのかも?って感じですかね。なんか分かりますなぁ。

 

 

 

運動するほど腸内環境が良くなる?

アスリートほど腸内環境が優秀って話は昔からよくあるんですけど、新しいデータ(R)も似たような結論を出しておりました。こちらは北京スポーツ大学の調査で、20〜24歳のアスリート31人を集めてみんなの糞便を採取。すべての腸内フローラの多様性とか細菌の量をチェックしたうえで、それぞれのスポーツのパフォーマンスレベルと比べたんだそうな。

 

 

その結果、どんな傾向が確認されたのかと言いますと、

 

  • 全国で活躍するレベルのハイパフォーマーほど腸内細菌の量が多く多様性が豊かだった
  • トレーニングの時間が長いアスリートほどパラバクテロイデスが多い傾向があった(俗に「痩せ菌」と言われる腸内細菌)
  • ハイパフォーマーは炭水化物の代謝システムが高い可能性も認められた

 

って感じだったそうな。これでちょっとおもしろいのが「トレーニング量に応じて腸内フローラが変化してる」ってとこで、やっぱ運動するほど腸内環境が良くなるのかも?と思わせるわけです(まぁ長時間のランニングとかをすると腸内環境が悪化するんで、そこらへんのさじ加減は難しいんですが)。

 

 

このあたりの相関はまだまだ調査が必要なんで断言が難しいですけど、とりあえず「腸内のためにも適度な運度をしとくといいかも?」ってことで。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。