筋トレをしまくればダイエット時の「痩せにくい体になっちゃう問題」を食い止められるか?
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体重を一気に減らすと、どうしても安静時の代謝と活動エネルギー消費が下がっちゃうのは間違いないところ。要するに「脂肪が燃えにくい体」になっちゃうわけですけど、ここでまだ謎が多いのは、
- 筋トレで代謝の低下を止めることができるか?
って問題です。筋トレは基本的に安静時の代謝を高める働きがあるんで、「体重を減らすと脂肪が燃えにくくなっちゃう問題」にも役立つのではないか?ってポイントっすね。
ということで新しい研究(R)では、筋トレが減量時における代謝の低下対策に役立つかどうかを調べてくれておりました。このタイプの研究って増量時に行われたものが多かったので、なかなかよろしいんじゃないでしょうか。
研究には肥満体な男性7人と女性9人が参加しまして、みんながどんな暮らしを行なってたかと言いますと、
- みんな週6日で1日90分の運動を行った。運動は激しいサーキット系の筋トレおよび有酸素トレーニングで構成され、1日3時間までの運動が奨励されていた
- 参加者はカロリー制限を指示され、これを30週続けた
- 検査は6週目と30週目に行われ、体組成はDEXAで推定。一日の総エネルギー消費量は二重標識水で判断した
みたいになってます。基本的に皆さんかなりハードなトレーニングを課せられてまして、これをカロリー制限しながら行うのは辛かったろうなぁ……とか思うわけです。
でもって、そこでどんな結果が出たかというと、こんな感じです。
- 体組成の変化:参加者は平均で体重が37.9%減少。筋肉と脂肪量の両方が減少したが、筋肉の減少よりも体脂肪の減少の方がはるかに大きかった(体重減少のうち筋肉の減少は17.4%にとどまり、残りは体脂肪だった)。また、体脂肪率は49%から28%に減少した
- 安静時代謝の変化:30週目までに、安静時代謝はベースラインから1日あたり800kcal近く減少した。これは、年齢、性別、体組成から予測された安静時代謝よりも、1日あたり500kcal以上低かった(かなり激しい低下と考えてよい)
- 1日の総エネルギー消費量:6週目のテストでは、総エネルギー消費量は1日あたり800kcal以上増加した(これは運動量が大幅に増加したので当たり前)。しかし、30週目までには1日の総エネルギー消費量は大きく減少した(こちらは体重が減ったのが原因だと思われる)
- 身体活動のエネルギー消費量:身体活動エネルギー消費は、ベースラインと比較して6週目に有意に増加した。30週目には6週目よりも減少していたが、ベースラインのレベルよりも有意に高かった
- 体重減少量と代謝適応(消費カロリーが減っちゃう減少)の相関関係は0.61だった(わりと高め)
ということで、ざっくりと結果を見てみましたが、個人的な注目ポイントとしましては、
- こんだけ急激に体重を減らしても、肥満の人はそんなに筋肉が落ちずに脂肪がメインで減るんだなぁ(もちろん標準体重の人だったら同じようにはいかないでしょうが)
- 筋肉がそこそこ維持されてたのに、やっぱ安静時代謝はめちゃくちゃ減るんだなぁ(ただし、これは水分量などの変化や臓器の熱産生を考慮してないので、数字が多めに出てる可能性はある)
ってあたりですね。要するに大きくまとめると、
- 高ボリュームな筋トレをしても、激しいダイエット時の代謝低下をふせぐ役には立たなそう……
ってことでして、つまるところは「代謝の低下を防ぐにはジワジワと体脂肪を削るしかないかなー」って結論に落ち着きそうな気がしております。