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秋のサフラン祭り:メンタル改善?非アルコール性脂肪肝が改善?抗がん作用も?などなど


  

高い抗酸化&抗炎症作用を持つスパイスといえばサフランターメリックと並んで大きな期待を寄せられてるハーブですが、なんか近ごろサフラン系の研究がたくさん発表されたんでひとつにまとめときます。

 

 

といってもサフランをことさらにすごいと強調したいわけじゃなくて、たんに「たまたま同時期に複数のデータが出た」ってだけですのでそこはご留意ください。

 

サフランでメンタル改善?の割と良さげな研究

サフランがメンタルが改善するのでは?って話は昔からありましたけど、多くの研究は小規模だし、結果には一貫性がなかったりもするんですよ。

 

 

ってことで新しい研究(R)では、軽度から中等度のうつ病に悩んでる160人を対象に、8週間のランダム化比較試験を行ってくれておりました。確かに参加者数が多めでいいですね〜。

 

 

実験では、いままで使ってきた治療薬に加えて、

 

  1. 標準化されたサフラン抽出物(Lepticrosalides3.5%以上)14mg
  2. プラセボサプリ

 

のいずれかを飲んでもらいまして、8週間の経過をチェックしたんだそうな。すると、

 

  • 主要評価項目(MADRSうつ病スコア)はサフランを飲んだグループでやや改善した
  • SF-36のQOL調査では、両グループ間で統計的に有意な差は認められなかった

 

みたいな結果だったそうで、「うーん、まぁ飲んでも飲まなくてもいいけど、少しはマシなのかな?」ぐらいの印象ですかね。個人的にはこれぐらいの結果だと「メンタル改善のためにサフランだ!」とは言えない感じですけど、気になる方はどうぞ。

 

 

 

サフランでメンタル改善?その2

で、サフランとメンタルについては、別のデータ(R)も出ておりました。こちらの研究の問題意識は、

 

  • 太りすぎな人のメンタル悪化にサフランは効くか?

 

みたいな感じです。というのも、先行研究などでは過体重な人の約13%、肥満な人の約23%がうつ病を患ってるって傾向が確認されてまして、どうやらうつ病のリスクってのは体重とともに増加するみたいなんですよね(特に女性にこの傾向が強い)。

 

 

ということで、こちらのランダム化比較試験では、過体重かつ軽度から中等度のうつ病に悩む73人の女性に対して、サフラン30mg(15mgを1日2回)またはプラセボを摂取してもらい12週間の違いを見ております。

 

 

メンタルの変化についてはテスト開始時から2週間ごとに4回のチェックを行い、同時に体組成の違いも調べたとのこと。その結果は、

 

  • サフランはうつ病をちょっとだけ改善したが、食欲不振と体重には影響を与えなかった

 

だったそうで、こちらも「まったく劇的な効果ではないものの、ちょっとだけ変化が起きる」ぐらいの感じっすね。 んー、やっぱメンタル目的で飲んでもいいけど微妙ですかねぇ。

 

 

 

サフランで非アルコール性脂肪肝改善?のまぁまぁな研究

続いて、「サフランでNAFLD(非アルコール性脂肪肝)が改善するかも?」みたいな話(R)です。NAFLDはいまだ謎が多い症状なんですが、炎症や代謝異常と結びついてるのは間違いないので、サフランが効果を発揮する可能性はあるんですよ(サフランは抗酸化性能が高いんで)。

 

 

ってことで、このランダム化比較試験では、76人のNAFLD患者がサフラン100mgまたはプラセボを摂取して、12週間後の違いをチェックしております。結果はこんな感じ。

 

  • サフランを飲んだグループは……

    • CRP(主要評価項目)とレプチンの減少が大きかった

    • ALT(肝機能の指標)とマロンジアルデヒドも減少したが有意ではなかった

    • 抗酸化力が増加したがこちらも有意ではなかった

    • AST、アディポネクチン、TNF-α、体組成に関しては有意差はなかった

 

という感じだったとのこと。NAFLDの治療に役立つとは言えないレベルですが、炎症の改善には使えそうな雰囲気はありますね。サフランの抗炎症は昔からよく言われてるので、だいたいこんなもんだろうなー、という印象。

 

 

 

サフラン抗がん作用あるかも?

最後は、サフランの抗がん作用についてまとめたレビュー論文(R)になります。「抗がん」と聞くと怪しい感じもありますけど、抗炎症作用を持つ物質はわりとそういう話が出がちなんですよね。

 

 

といっても、これは生体外研究のデータをまとめたもので、あくまで「サフランが癌に効いてもおかしくない働きを持ってるかもよー」レベルの話なのでご注意ください。その点をふまえた上で、レビューの結論をざっくりまとめると、

 

  • サフランは多くの種類の癌細胞に選択的な毒性効果を持つ

 

のようになります。これがどういうことかと言いますと、

 

  1. 多くの化学療法は、たんに分裂が早い細胞を標的にしているだけなので、健康な細胞にもダメージを与えてしまう(骨髄とか消化管とか)

  2. しかし、サフランは健康な細胞に悪影響をおよぼさず、がん細胞だけをターゲットにできる………といいなぁ

 

みたいな話です。あくまでマウス実験やらin vivoの研究がメインなんですが、これがヒトでも確認されたらすごいですわな。とりあえず今後に期待ってことで。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。