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料理スパイスの「サフラン」が関節の痛みをやわらげるかもしんないぞ!というお話

 

サフランは抗炎症効果が高い!って話は何度かしていて、

 

 

といったおもしろい結果が出てたりします。もうちょい研究の積み重ねは必要ながら、抗炎症効果についてはいい線行ってるスパイスのひとつじゃないかと思うわけです。

 

 

でもって、新しい研究(R)は「サフランで関節リウマチがやわらぐんじゃない?」って結論でして、お悩みの方には参考になりそうであります。

 

 

念のため説明しておくと、関節リウマチは慢性的な炎症性の自己免疫疾患で、肩や腰に痛み、腫れ、こわばりが起きちゃう状態のこと。幸い私は未体験ですけど、とにかくQOLがだだ下がりする恐ろしい症状のひとつであります。

 

 

で、今回の実験がどんなもんだったかと言いますと、

 

  1. 関節リウマチに悩むの女性61人が対象(平均52歳)
  2. 1日100ミリグラムのサフラン、または同等のプラセボサプリを飲むグループのどちらかにランダムに割り付ける
  3. 3カ月の経過をチェックする

 

みたいになってます。おもにチェックしたのは炎症性マーカーと「症状のせいでどれぐらい活動が制限されてるか?」などで、その他にBMIや抗酸化能の変化なんかも見ております。

 

 

その結果がどうだったかと言いますと、

 

  • サフランを飲んだグループは炎症の3つのマーカーで有意な改善がみられた(IFN-γが-3%、hs-CRPが-26%、ESRが-20%)

 

  • むくみ、痛む関節の数、痛みの強さについては、サフランを飲んだグループは3カ月の時点で改善が見られた(むくみが-34%、痛い関節の数が-26%、痛みの強さが-30%)

 

って感じです。というわけで、研究デザインはちゃんとしてるし、参加者のコンプライアンスも高いし、なかなか良さげなデータではないでしょうか。

 

 

ただ、ざっと目についた問題点としては、

 

  • 事前登録では「酸化マーカーをメインに調べるよ!」と言ってたが、実際はメインとして扱われてない(なんで変わったかは謎)

 

  • あと、こんだけいろんなポイントを調べるときは複数比較の問題が起きないように統計処理すべきだけど、なんも行われていない(つまり、本当は効果がないのに「効果あり!」って結果が出やすくなってる。特にP値が0.05に近いのは結果が間違ってるかも)

 

  • 試験中、参加者は関節リウマチの薬物治療も並行して受けてるんで、サフラン単体の効果がよくわからん

 

といったところは悩みどころっすね。だからといって今回の結果がダメだとは言わないものの、ちょい眉にツバをつけたほうがいいかなーと思うのも確かではあります。

 

 

とりあえず、今回の試験は、サフランが関節リウマチに効くかどうかを調べた初の試験なので、「希望はわりとありそうだが実験に制限があるので試すのは慎重に!」ぐらいの結論になりましょう。まぁ1日100mgぐらいのサフランなら別に副作用も出ないでしょうから、試してみたい方はお医者さんに相談のうえどーぞ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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