プロテインで食欲は減る!しかし、長期的にはどうかな?というメタ分析の話
タンパク質には満腹効果がある!ってのはよく言われることで、糖や脂肪よりも食後の満足感が高いのはそこそこ確立された話(R)。なので、体づくりに取り組む人などは、筋肉を増やすだけでなくカロリー制限に苦しまないためにもプロテインを使ったりするんですよね。
ならば、とりあえずタンパク質をガンガン増やせば食欲に苦しまずに済むのでは?って考えが浮かぶわけですが、新たなメタ分析(R)では、そんなうまい話が本当にあるのか?というポイントを調べてくれておりました。
まずはこの研究で何を調べたのかと言いますと、
- タンパク質をとったらすぐに食欲は減るのか?
- 長期にわたってたくさんタンパク質をとり続けたら食欲はコントロールできるのか?
- タンパク質を増やせば食欲系のホルモンを調整できるのか?
みたいになります。短期と長期の2パターンで高タンパクが食欲に与える影響をチェックしてくれたわけっすね。
この調査でピックアップされたデータの内訳を申し上げますと、
- 短期試験が49件で、長期試験が19件
- タンパク質摂取により空腹感や満腹感が変化するかをチェック
- その他、コレシストキニン(CCK)、グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)、胃抑制ペプチド(GIP)、ペプチドYY(PYY)などの食欲系ホルモンの変化もチェック
みたいになってます。ここでいう「短期」はタンパク質摂取後5.5時間以内のことで、「長期」は3日から9ヶ月の期間まで幅広く取ってます。3日を長期と呼んでいいのか?みたいな疑問もありましょうが、ここは温かい目で見る感じでひとつ。
でもって、ざざーっと結果を見てみますと、
- 短期のテストでは、統計学的に有意なレベルでタンパク質は空腹感を減少させ、満腹感を増加させることが示された
- タンパク質ととると食欲ブーストホルモン(グレリン)が-20.46pg/mL減り、満腹系のホルモン(CCK)も+29.95pg/mLほど増える。ただし、PYYなどには影響がなかった(食欲を減らすホルモン)
- 少ないタンパク質よりも高タンパク質(1回35g以上)のほうが食欲は減りやすい
- タンパク源としてホエイプロテインを使った場合、空腹感とグレリンの減少、満腹感とGLP-1の増加がみられたが、CCK、GIP、およびPYYについては統計的に有意な結果は得られなかった
- もっとも、長期的に高タンパク質を撮り続けると、満腹感におよぼす影響はほとんどなくなるっぽい
って感じです。短期的にプロテインをガッと増やすと食欲のコントロールに効くんだけど、長期的にはやっぱ体が慣れちゃうのかなーってとこですね。もちろん、そもそも長期的なタンパク質の効果を調べたデータが少ないので、まだハッキリとは言えないとこではありますが。
今回の研究だと、「どれぐらい高タンパク食を続けると食欲への影響はなくなるの?」ってポイントはわからないんですけど、一部の研究だと「高タンパクのスナックバーを食べ続けたら2週間ぐらいで空腹レベルが元に戻ったよ」って結果も出てまして、タンパク質の食欲抑制効果は意外と早くおさまっちゃうのかもですね。
もっとも、だからと言って長期的には高タンパク食が無意味ってわけではなく、
- いつものタンパク質量からズレた場合は、食欲を抑える効果が高まる!
みたいに考えるべきなのかーって気がしております。漫然と高タンパク食を続けるんじゃなくて、体脂肪を重点的に落としたい期間だけ一気にプロテインを増やす!みたいな考え方っすね。つまり、
- いつもは中程度(体重1kgあたり1.4〜1.6gぐらい)のタンパク質を摂っておく
- 体脂肪を削るために総カロリーを減らす場合は体重1kgあたり2〜3gぐらいのタンパク質へ一気に増やす
- それでも食欲がコントロールできないなら、高タンパクはあきらめて食物繊維や水分を増やす宝庫王でかgなえる
みたいな感じになるんじゃないでしょうか。いずれにせよ、高タンパク食を長く続けると食欲のコントロール効果が落ちる可能性は高そうなんで、それに合わせて量を調整するのがいいんじゃないかと。