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今週半ばの小ネタ:;プチ断食で免疫改善?他人からの理解最強説、孤独と空腹は同じ説

Summary

ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

     

 

 

プチ断食でアスリートの免疫が改善?

プチ断食でアスリートの免疫システムが改善!」ってデータ(R)が出ておりました。一定の空腹期間を作るプチ断食によって、アスリートの炎症が改善したというんですよ。

 

 

これはパドバ大学などの調査で、23 歳以下のプロサイクリスト16人が対象。実験では全体を2 つのグループに分けまして、

 

  1. プチ断食:食事の時間を午前 10 時から午後 6 時までに限る
  2. 普通食:午前 7 時から午後 9 時のあいだで好きなように食べる

 

って感じで食事タイミングを制限して4週間の違いを見たらしい。もちろん両グループの摂取カロリーは同じになるよう調整されております。

 

 

で、その上でエルゴメーター テストや血液検査をしたところ、

 

  • プチ断食をしたグループは、対照群と比べて体脂肪がより多く減っていた(体脂肪率が1%減少)
  • 免疫システムの働きを示す血液マーカーにも改善が見られた
  • プチ断食をしてもサイクリングのパフォーマンスは低下しなかった

 

って違いがあったらしい。研究チームいわく、

 

16/8のプチ断食プロトコル(要するにリーンゲインズ)は、有酸素運動のパフォーマンスに影響を与えることなく、体組成と炎症マーカーを改善する可能性を示唆する。

 

とのこと。まーあまりにもサンプルが少ないんでアレですが、個人的には今後もリーンゲインズを続けるモチベーションに使うつもり。

 

 

 

やっぱ他人からの理解って大事よなーみたいな話

理解の言葉でメンタルが癒える!」って話(R)が出ておりました。「理解の言葉」ってのは、例えば、

 

  • そういう気持ちになるのもわかるなー
  • それで落ち込むのは当然だよねー

 

みたいなフレーズのことです。相手がこちらの内面を理解してくれた!と思えるような言葉のことっすね(本当に理解してくれたかはさておき)。

 

 

これは300人以上の男女を対象にしたテストで、ざっとデザインはこんな感じ。

 

  1. みんなに「過去に経験したネガティブな体験を思い出してくださいねー」と指示して、嫌な気分になってもらう

  2. その後、全体の半分には「理解の言葉」を聞いてもらい、残り半分には「無理解の言葉」を聞いてもらう(「なんでそんな怒ってるの?」とか「悲しいわけがわからない」みたいな)

 

すると、当然ながら「理解の言葉」を聞いたグループは一気に気分が改善し、ポジティブな気分がグンと増えたそうな。直感的にもわかりやすい結論ですね。

 

 

チームいわく、

 

否定的な感情を処理しようとすると、逆にネガティブな影響力が強まることが多い。しかし、ここで誰かがあなたの感情を正当化すると、肯定的な感情がバッファとして働く。

 

感情の正当化は私たちの感情を保護し、対人関係やセラピーでも好奇心を保つことができるようになる。理解されていると感じた人は、自分の変化についてのフィードバックを素直に受けとることができる。

 

とのこと。対人コミュニケーションの基礎みたいな話ですけど、ともすれば人間ってのは「その感情に対処するにはね」とか「その問題を解決するには」みたいにプラクティカルな助言をしたくなる傾向がありますんで、そこをグッとこらえて「まずは相手の感情の正当化が先だ!」と思い出すのは有用でしょうね。

 

 

 

孤独は腹が減ってるのと同じ説

新型コロナのせいで社会的な孤立が普通になった昨今、新しいデータ(R)は「孤独な状況に置かれた脳は空腹と同じ反応を示す!」みたいな知見を報告しておりました。

 

 

実験デザインはシンプルなものでして、

 

  1. 40人の学生を集め、10時間ほど隔離状態に置いて人に会わせないようにする
  2. さらに、全員を10時間なんにも食べられない状態に置く
  3. それぞれの条件で、「数人が仲良くしゃべってる写真」「うまそうなパスタの写真」などを見せる
  4. 脳がどのような反応をしてるかスキャンで計測する

 

みたいになってます。「隔離状態」に置かれた参加者はスマホを使えず、食べ物は研究者がドアの前まで運んで、絶対にコミュニケーションを取れないようにしたそうな。

 

 

で、どんなことがわかったかと言いますと、

 

  • 他人と10時間接触しなかった人は、中脳の一部を占める神経核(黒質)が活性化していた!
  • このような脳の反応は、10時間の絶食とほぼ変わらなかった

 

だったそうです。

 

 

黒質は食べ物やドラッグへの欲求コントロールに関わる神経細胞で、「人体が危険な状態にあるからもっと食べ物をよこせ!」といったシグナルを送る働きをしております。要するに、社会的な接触への渇望はカロリーが足りないときの反応とそっくりなんだ、と(脳の他の領域だと活性化パターンは違ったんだけど、黒質についてはかなり重複してた)。

 

 

人間は社会的な動物なので、孤独が空腹なみの渇望感を生み出すのは理解できる話っすね。社会的な孤立はよくないんだよーってのが、あらためてわかる事例でありました。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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