幸福な人は不幸な人より13%も生産性が高いのではないか?説
EL BORDEさんの記事で、わたくしこんなことを言っております。
実は最近の研究で、幸福度の高い人ほど生産性が高く、お金も稼ぐ傾向にあることがわかっています。つまり、「儲かるから幸せ」ではなく、「幸福だからこそ儲かるし、生産性も高まる」のです。
これはショーン・エイカーさんの「幸福優位7つの法則」などで有名になった話で、世の中を見てると「成功したから幸福」になるよりも「幸福だから社会的に成功する」ってケースのほうが多いのでは?などと言われてるわけです。
では、具体的に「幸福感はどれぐらい生産性を高めるのだろう?」ってことで、オックスフォード大学やエラスムス大学などのチームが調査(R)をしてくれておりました。
研究の舞台はイギリスで最大のコールセンターで、ここで営業職として働く1,793人を集めて、
- 「これから6ヶ月間、週単位で自分の幸福度を評価してくださいねー」とお願いする
- 同時に、勤怠、売上への貢献度、顧客満足度のデータを集める
- すべてのデータを照らし合わせて、幸福度と生産性の関係を調べる
って感じの調査をしてます。幸福と生産性の研究って過去にもあったんですけど、今回のは前よりも厳しめなデザインになってていい感じです。ちなみに、参加者の幸福度は、各自の主観を5点満点で採点してもらったらしい。
でもって、おおよその結果は以下のようになってます。
- その週に「幸福だ」と答えた人は、「不幸だ」と答えた人よりも13%売り上げがよかった
- 幸福な労働者は、不幸な労働者よりも働く時間が長くなったわけではない(つまり、幸福な人は仕事の効率が上がった)
予想どおり幸福な人のほうが生産性が高かったみたいで、13%ってのはなかなかの数字っすね。
研究チームいわく、
幸福感の強い労働者は時間当たりのコール数が多く、さらに重要なことに、より多くのコールを売り上げにつなげていた。
幸福と生産性の関係はしばしば議論されてきたが、今回の研究は、両者の因果関係を示す強力な証拠を提供している。
とのことで、確かに幸福と生産性に関する良い証拠だなーとか思うわけです。
余談ですが、ちょっと前にはウォーリック大学が「労働者の幸福度を高めたらどうなるの?」みたいな実験をしてまして(R)、こちらでは、
- 幸せな気分が高まった人は生産性が12%上がった
なんて数字を報告してたりします。今回のテストとだいぶ近いっすね。
こういった現象が起きる理由はもちろん「幸福感によりモチベーションが上がる」からで、先行研究(R)でも「幸せを感じている人ほど努力を惜しまないし困難やトラブルに強いってな傾向は確認されてたりします。そりゃ落ち込んでるとき頑張ろうとは思いづらいですからねぇ。
もっとも「幸福が成功を生む!」って考え方はまだそこまで固まった話でもなく、「長期的には幸福度の影響は低いのでは?」みたいな知見もある点はご了承ください。ここらへんの議論は難しいんだけど、個人的には「別に幸福度が高い人に副作用が確認されてるわけでもないから、先に幸福度を高める介入はアリじゃないかなー」ぐらいに思ってますが。